Excelの関数や数式は種類が非常に多いため、初心者が最初から全部覚える必要はありません。実務では、足し算・合計・平均・件数集計・条件判定・検索など、よく使う処理から覚えるだけでも多くの作業を効率化できます。
特に最初に覚えたいのは、四則演算、SUM、AVERAGE、COUNT・COUNTA、IF、COUNTIF、SUMIF、ROUND、IFERRORなどです。さらに商品表や社員名簿などから情報を取り出す仕事では、XLOOKUPやVLOOKUPも役立ちます。
この記事では、Excelが苦手な人でもそのまま試せるように、「何ができる関数なのか」「どんな場面で使うのか」「実際にどう入力するのか」を具体例とともに解説します。
- まず知っておきたい「数式」と「関数」の違い
- 1.SUM関数:数値を合計する
- 2.AVERAGE関数:平均を求める
- 3.MAX・MIN関数:最大値と最小値を調べる
- 4.COUNT・COUNTA関数:データの件数を数える
- 5.IF関数:条件によって表示内容を変える
- 6.COUNTIF関数:条件に合うデータだけ数える
- 7.SUMIF関数:条件に合うデータだけ合計する
- 8.ROUND・ROUNDUP・ROUNDDOWN関数:端数を処理する
- 9.IFERROR関数:エラーを見やすい表示に変える
- 10.XLOOKUP関数:別の表から対応する情報を探す
- 11.VLOOKUP関数:既存のExcelファイルでよく見かける検索関数
- 12.TODAY関数:今日の日付を自動表示する
- 13.文字列を「&」でつなげる
- 14.絶対参照「$」を覚えると数式コピーで困りにくい
- 15.複数条件が必要になったらCOUNTIFS・SUMIFSへ進む
- 初心者はどの順番で覚えればいい?
- 関数を丸暗記するより「やりたいこと」から探すのがコツ
- まとめ:まずはSUM・IF・COUNTIFなど頻出関数から覚えよう
まず知っておきたい「数式」と「関数」の違い
Excelの数式は基本的に半角の「=」から始めます。例えばA2セルの金額とB2セルの金額を足したければ、結果を表示したいセルへ=A2+B2と入力します。
掛け算には「*」、割り算には「/」を使用します。例えば単価がB2、数量がC2なら、金額を求める数式は=B2*C2です。「×」を入力するのではなく、アスタリスクを使う点を覚えておきましょう。
一方、関数はExcelに用意されている計算機能です。例えばA2からA10までを合計する場合、一つずつ=A2+A3+A4...と書かなくても、SUM関数を使って=SUM(A2:A10)と簡潔に指定できます。
1.SUM関数:数値を合計する
SUM関数はExcelで最初に覚えたい代表的な関数です。売上、数量、経費、勤務時間など、指定した範囲の数値を合計できます。
例えばB2からB10までに売上金額が入力されているなら、合計は=SUM(B2:B10)で求められます。「B2:B10」はB2からB10までという意味です。
離れたセルを合計したい場合は=SUM(B2,D2,F2)のような指定も可能です。日常的な表計算では非常によく使うため、SUMは優先して覚えておきたい関数です。
2.AVERAGE関数:平均を求める
AVERAGE関数は、指定した数値の平均値を求めます。テストの平均点、平均売上、平均作業時間などを計算するときに便利です。
例えばC2からC31までに1か月分の売上が入力されているなら、=AVERAGE(C2:C31)と入力することで平均を計算できます。
合計ならSUM、平均ならAVERAGEという組み合わせで覚えておくと分かりやすいでしょう。
3.MAX・MIN関数:最大値と最小値を調べる
MAX関数は範囲内で最も大きな数値、MIN関数は最も小さな数値を求めます。売上最高額・最低額、最高点・最低点などを調べるときに利用できます。
例えばB2:B100の最高売上なら=MAX(B2:B100)、最低売上なら=MIN(B2:B100)です。
大量のデータを目で探す必要がなくなるため、SUMやAVERAGEとセットで覚えておくと便利です。
4.COUNT・COUNTA関数:データの件数を数える
件数を数えるときにはCOUNT系の関数を使います。ただし、COUNTとCOUNTAでは数える対象が違うので注意が必要です。
=COUNT(A2:A100)は、基本的に範囲内の「数値が入っているセル」を数えます。一方、=COUNTA(A2:A100)は空白ではないセルを数えるため、氏名や商品名など文字列の件数を調べる場合にも利用できます。
例えばA列に顧客名が並んでいる場合、入力済みの顧客数を数える目的ならCOUNTAの方が適しています。「COUNT=数値」「COUNTA=空白ではないセル」と覚えると区別しやすくなります。
5.IF関数:条件によって表示内容を変える
IF関数は、「条件を満たしたらA、満たさなければB」という処理を行います。Excelの実務で非常によく使う重要な関数です。
例えばB2の点数が60点以上なら「合格」、それ未満なら「不合格」と表示する場合は、=IF(B2>=60,"合格","不合格")とします。
考え方は「もしB2が60以上なら合格、それ以外なら不合格」です。最初は記号が複雑に見えますが、IF関数は勤怠、成績、在庫管理、売上管理など非常に多くの表で応用できます。
6.COUNTIF関数:条件に合うデータだけ数える
COUNTIF関数は、指定した条件を満たすセルが何個あるか数える関数です。単なる件数ならCOUNT・COUNTA、条件付きの件数ならCOUNTIFと考えると分かりやすくなります。
例えばC2:C100に「完了」「未完了」というステータスが入力されており、「完了」が何件あるか調べる場合は=COUNTIF(C2:C100,"完了")と入力します。
アンケートで「はい」の人数を数える、社員一覧から特定部署の人数を数える、注文表から「発送済み」の件数を調べる、といった場面でも便利です。
7.SUMIF関数:条件に合うデータだけ合計する
SUMIF関数はCOUNTIFの合計版と考えると理解しやすい関数です。特定条件に該当するデータだけを合計できます。
例えばA2:A100に担当者名、B2:B100に売上金額があり、「田中」さんの売上だけ合計したい場合は=SUMIF(A2:A100,"田中",B2:B100)とします。
部署別売上、商品別売上、費目別経費などを集計するときに役立ちます。複数条件で集計する必要が出てきたら、後からSUMIFSやCOUNTIFSへステップアップするとよいでしょう。
8.ROUND・ROUNDUP・ROUNDDOWN関数:端数を処理する
金額や割合を扱う表では、小数点以下を丸める処理もよく発生します。ROUNDは四捨五入、ROUNDUPは切り上げ、ROUNDDOWNは切り捨てです。
例えばA2の値を小数第1位までに四捨五入するなら=ROUND(A2,1)、整数へ四捨五入するなら=ROUND(A2,0)です。
表示形式で小数点以下を見えなくする操作と、ROUNDで実際の計算結果を丸める操作は同じではありません。金額計算などでは「表示だけ丸めたいのか、計算値そのものを丸めたいのか」を区別することが重要です。
9.IFERROR関数:エラーを見やすい表示に変える
Excelでは計算できない場合に「#N/A」「#DIV/0!」などのエラーが表示されることがあります。IFERROR関数を使えば、エラーだった場合に別の文字や値を表示できます。
例えば=IFERROR(A2/B2,"")なら、A2÷B2を計算し、エラーになった場合は空欄を表示します。=IFERROR(A2/B2,"計算不可")とすれば「計算不可」と表示できます。
ただし、IFERRORでエラーを隠すだけでは根本原因が解決しない場合があります。本来入力されるべきデータが欠けているなど、異常を発見する必要がある表では安易にエラーを隠さないことも大切です。
10.XLOOKUP関数:別の表から対応する情報を探す
XLOOKUP関数は、商品コードや社員番号などを手掛かりにして、対応する商品名・価格・氏名などを別の範囲から取得するときに便利です。対応するExcel環境では、検索処理を覚えるなら有力な選択肢です。
例えばA2に商品コード、商品マスターのF2:F100に商品コード、G2:G100に商品名がある場合、=XLOOKUP(A2,F2:F100,G2:G100,"該当なし")のように指定できます。
これは「A2の商品コードをF列から探し、見つかった行のG列の商品名を返す。見つからなければ『該当なし』と表示する」という意味です。
11.VLOOKUP関数:既存のExcelファイルでよく見かける検索関数
VLOOKUP関数も、検索値に対応する情報を表から取得する定番関数です。現在はXLOOKUPが利用できる環境も増えていますが、会社で以前から使用しているExcelファイルではVLOOKUPを目にする機会が多くあります。
例えばF2:H100の商品マスターについて、A2の商品コードをF列から探し、その範囲の2列目にある商品名を取得するなら=VLOOKUP(A2,F2:H100,2,FALSE)とします。
VLOOKUPは検索する列と取得する列の位置関係などに制約があるため、新しく数式を作る場合は利用環境に応じてXLOOKUPも検討するとよいでしょう。一方、既存ファイルを理解するためにはVLOOKUPの基本も知っておくと役立ちます。
12.TODAY関数:今日の日付を自動表示する
TODAY関数は現在の日付を取得します。入力方法は非常に簡単で、=TODAY()です。
例えば請求書の作成日、管理表の基準日、期限までの日数計算などに利用できます。A2に締切日が入っていれば、=A2-TODAY()という考え方で今日から締切までの日数を計算できます。
TODAYは固定した日付を入力する機能ではなく、再計算によって現在の日付を返す関数です。「作成した日の記録をずっと残したい」という用途では、固定値として日付を入力する方が適している場合があります。
13.文字列を「&」でつなげる
関数ではありませんが、実務で覚えておくと便利なのが「&」による文字列の連結です。複数セルの文字を一つにまとめられます。
例えばA2に「山田」、B2に「太郎」と入力されている場合、=A2&B2なら「山田太郎」となります。名字と名前の間に空白を入れたいなら=A2&" "&B2のように指定できます。
「株式会社」と会社名を組み合わせる、住所の都道府県と市区町村を結合するなど、データ整理で意外と頻繁に使います。
14.絶対参照「$」を覚えると数式コピーで困りにくい
Excel初心者が関数と一緒に覚えておきたいのが絶対参照です。数式を下へコピーしたとき、通常の「A1」のような参照はコピー先に応じて変化します。
一方、$A$1のように「$」を付けると、そのセルを固定して参照できます。例えばB列の商品価格に、E1へ入力した消費税率を掛けるなら、=B2*$E$1のようにすれば、数式を下へコピーしても税率の参照先はE1のままです。
「最初の行では計算できたのに、下へコピーすると答えがおかしくなる」というトラブルは参照先のずれが原因であることが多いため、関数と同時に相対参照・絶対参照の違いを覚えておくと一気に実務力が上がります。
15.複数条件が必要になったらCOUNTIFS・SUMIFSへ進む
COUNTIFやSUMIFに慣れたら、複数の条件を扱えるCOUNTIFS・SUMIFSを覚えると集計の幅が広がります。
例えば「東京支店」かつ「完了」の件数を数える、といった処理にはCOUNTIFSが利用できます。A列が支店、B列が状態なら、=COUNTIFS(A2:A100,"東京支店",B2:B100,"完了")のように指定します。
実務では「営業部かつ今月」「商品Aかつ東京」「完了かつ担当者が田中」のような複数条件が頻繁に出てきます。最初から無理に覚えず、COUNTIF・SUMIFを理解してから進むと分かりやすいでしょう。
初心者はどの順番で覚えればいい?
関数名を大量に暗記するより、実際の作業に合わせて段階的に覚える方が定着します。最初は次の順序がおすすめです。
- 四則演算:
+ - * /を使えるようにする - SUM・AVERAGE・MAX・MIN:基本的な数値集計を覚える
- COUNT・COUNTA:件数を数えられるようにする
- IF:条件分岐を覚える
- COUNTIF・SUMIF:条件付き集計を覚える
- ROUND・IFERROR:結果を整える
- XLOOKUP・VLOOKUP:別表から情報を検索する
- $による絶対参照:数式を正しくコピーできるようにする
- COUNTIFS・SUMIFS:複数条件の集計へ進む
この程度を使えるようになるだけでも、売上表、勤怠表、顧客一覧、在庫表、アンケート集計など多くのExcel作業に対応しやすくなります。
関数を丸暗記するより「やりたいこと」から探すのがコツ
Excelが苦手な人ほど「関数を何個覚えればいいのだろう」と考えがちですが、関数名そのものを暗記する必要はありません。「合計したいならSUM」「条件によって結果を変えたいならIF」「条件に合う件数ならCOUNTIF」のように、目的と関数を結び付けて覚える方が実用的です。
例えば「営業部の売上だけ合計したい」という作業が出てきたらSUMIF、「商品コードを入力すると商品名を自動表示したい」ならXLOOKUP、と必要になったタイミングで調べながら使えば十分です。
MicrosoftのExcelヘルプには関数の構文や使用例も掲載されています。正確な引数や対応バージョンを確認したい場合は公式情報を参照すると安心です。[参照] Microsoft Excel ヘルプ
まとめ:まずはSUM・IF・COUNTIFなど頻出関数から覚えよう
Excel初心者が最初から何百種類もの関数を覚える必要はありません。まずSUM、AVERAGE、MAX、MIN、COUNT、COUNTA、IF、COUNTIF、SUMIF、ROUND、IFERRORを使えるようになるだけでも、日常的な集計や管理表の作業はかなり楽になります。
さらにデータ検索が必要ならXLOOKUPやVLOOKUP、複数条件の集計が必要になったらCOUNTIFSやSUMIFSへ進みましょう。また、関数そのものと同じくらい「$」を使った絶対参照を理解しておくことも重要です。
最も効果的なのは、関数一覧を丸暗記することではなく、実際のExcel表で「合計する」「条件を付ける」「数える」「探す」という小さな作業を繰り返すことです。分からなくなったら目的から関数を調べ、実際のセルで試す習慣をつけると、数式への苦手意識も徐々に減らしていけます。


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