Adobe Illustratorで文字を半透明にしたいとき、通常の「不透明度」を下げると文字オブジェクト全体が透明になってしまいます。塗りだけ薄くして、線(フチ)やドロップシャドウなどはそのまま残したい場合には、別の操作が必要です。
ポイントは、文字オブジェクト全体ではなく、アピアランスパネルにある「塗り」を対象にして不透明度を設定することです。アウトライン化する必要はなく、編集可能なテキストのまま設定できます。
ここではIllustratorで文字の塗りだけ不透明度を下げる基本手順と、線まで薄くなってしまう場合の原因、複数の塗りを使っている場合の注意点を解説します。
文字の塗りだけ不透明度を下げるなら「アピアランス」を使う
Illustratorでは、1つのオブジェクトに「塗り」「線」「効果」など複数の見た目を設定できます。それぞれを個別に管理するために使うのが「アピアランス」パネルです。
オブジェクト全体の不透明度を50%にすると、塗りだけでなく線や効果もまとめて50%になります。一方、アピアランスパネルで「塗り」を選択してから不透明度を変更すれば、塗りだけを半透明にできます。
Adobe公式でも、アピアランス属性として塗り・線・透明度・効果などを管理する仕組みが案内されています。[参照] Adobe Illustrator「アピアランス属性」
塗りだけ透明にする具体的な手順
まず選択ツールで対象となる文字オブジェクトを選択します。次に「ウィンドウ」から「アピアランス」を開き、アピアランスパネルを表示します。
アピアランスパネルには「文字」や「塗り」「線」など、選択しているオブジェクトの状態に応じた項目が表示されます。ここで透明にしたい「塗り」の項目を選択することが重要です。
その状態で不透明度を設定します。例えば塗りの不透明度を30%にすれば、塗りは薄くなりますが、別に設定している線は100%の濃さで残すことができます。
- 文字オブジェクトを選択する
- 「ウィンドウ」→「アピアランス」を開く
- 対象となる「塗り」を選択する
- その塗りに対する「不透明度」を変更する
- 線やほかのアピアランスが変化していないか確認する
線まで透明になる場合は「オブジェクト全体」を選んでいる可能性がある
「不透明度を50%にしたらフチまで薄くなった」という場合は、塗りではなくオブジェクト全体へ透明度を設定している可能性があります。
例えば、黒い塗り・赤い線を設定した文字があるとします。文字オブジェクトそのものの不透明度を50%にすると、黒い塗りも赤い線も50%になります。さらにオブジェクト全体に適用されている効果も見え方が変化する場合があります。
これに対してアピアランスパネルの黒い「塗り」だけを選択して50%にすれば、黒い部分だけが半透明になり、赤い線は元の濃さを維持できます。「何%にするか」より先に「どのアピアランス属性を選択しているか」を確認するのがコツです。
文字をアウトライン化しなくても設定できる
塗りだけ透明にするために、文字をアウトライン化する必要はありません。アピアランスを利用すれば、通常のテキストオブジェクトとして文字を編集できる状態を保ちながら見た目を調整できます。
例えば「SALE」という文字の塗りを半透明にして線を濃く残したあとでも、テキストを「SALE 50% OFF」などに書き換えることができます。後から文言を変更する可能性があるデザインでは大きなメリットです。
アウトライン化すると文字がパスになり、通常の文字入力として編集できなくなります。入稿上アウトライン化が必要な場合でも、編集用データを残したうえで最後に複製してアウトライン化するほうが安全です。
塗りを複数追加している場合は対象を間違えない
Illustratorのアピアランスでは、1つの文字に複数の塗りを追加することもできます。例えば青い塗りの上に半透明の白い塗りを重ねたり、それぞれに異なる効果を設定したりできます。
この場合は、アピアランスパネルに複数の「塗り」が並ぶため、透明にしたい塗りを正確に選択してから不透明度を変更します。違う塗りを選択すると、想定とは異なる部分が透明になることがあります。
複雑なデザインほど、オブジェクト全体の透明度を変更するより、アピアランスパネル内で対象となる塗り・線・効果を確認しながら調整したほうが管理しやすくなります。
「塗りなし」と「不透明度0%」は使い分ける
完全に塗りを見えなくしたい場合には「塗りなし」にする方法と、塗りを残したまま不透明度を0%にする方法があります。見た目だけなら似ていますが、アピアランス上の状態は同じではありません。
単純に文字を線だけにしたいのであれば、塗りを「なし」にするほうが分かりやすいでしょう。一方、後から透明度を20%、50%などへ戻したい場合や、塗りに効果を組み合わせている場合には、塗りを残して不透明度を調整する方法が便利です。
例えば白いフチを100%で残し、内側の黒い塗りだけ20%にすると、背景が透けて見える文字表現を作れます。写真の上に文字を配置するときなどにも利用できる方法です。
うまくいかないときに確認したいポイント
アピアランスパネルを使っても思った通りにならない場合は、まず文字そのものに設定されている塗りと、アピアランスパネルから追加した塗りが混在していないか確認します。Illustratorでは同じ文字に複数階層のアピアランスを設定できるため、複雑なデータでは原因が分かりにくくなることがあります。
また、グループ全体やレイヤー側に不透明度・描画モード・効果が設定されていると、個別の塗りを100%にしても全体として半透明に見える場合があります。アピアランスパネルで階層を確認すると原因を切り分けやすくなります。
透明効果の基本についてはAdobe公式の解説も確認できます。[参照] Adobe Illustrator「透明効果と描画モード」
まとめ:アピアランスの「塗り」を選んで不透明度を変更する
Illustratorで文字の塗りだけ不透明度を下げることは可能です。文字オブジェクト全体の不透明度を変更するのではなく、アピアランスパネルから対象の「塗り」を選択し、その塗りに対して不透明度を設定するのが基本です。
この方法なら、塗りを30%にしながら線を100%で残すといった表現ができます。テキストをアウトライン化する必要もないため、後から文字を修正することも可能です。
線まで薄くなってしまう場合はオブジェクト全体へ透明度を設定していないか確認し、複数の塗りがある場合は目的の塗りを選択できているか確認しましょう。Illustratorでは「オブジェクト全体の不透明度」と「個別の塗りの不透明度」を使い分けることで、文字の見た目を細かくコントロールできます。


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