Oracle(オラクル)はデータベースやクラウド基盤のイメージが強い企業ですが、CRM(顧客関係管理)に利用できるクラウド型ソリューションも提供しています。現在は単純な顧客名簿としてのCRMではなく、営業、マーケティング、カスタマーサービス、顧客データなどを連携する「Oracle Fusion Cloud Customer Experience(CX)」として幅広い製品群を展開しています。
営業部門で一般的なCRM・SFAに近い製品が「Oracle Fusion Cloud Sales」です。さらにOracle Service、Oracle Marketing、Oracle Unity Data Platformなどを組み合わせることで、顧客獲得から商談、契約、サポート、顧客維持までを広くカバーできます。
この記事では、OracleにCRMがあるのかを確認したうえで、Oracle SalesやOracle CXが何をできるのか、一般的なCRM・SFAとの違い、どのような企業に向いているのかを分かりやすく解説します。
- 結論:OracleはCRMソリューションを提供している
- 営業向けCRMの中心となる「Oracle Fusion Cloud Sales」
- OracleにはSFA(営業支援)機能もある
- OracleのCRMは営業だけではなくマーケティング・サービスまで広い
- Oracle Marketingではマーケティング活動も連携できる
- Oracle Unity Data Platformで顧客データを統合できる
- CRMとCDPは同じものではない
- OracleのCRMではAI活用も進んでいる
- Oracle CRM・CXが向いている企業とは
- OracleのCRMを選ぶときは製品名ではなく目的から考える
- まとめ:OracleにはCRMがあり、現在はOracle Fusion CXとして幅広く展開されている
結論:OracleはCRMソリューションを提供している
Oracleは公式サイトでCRMについて、顧客との関係を管理するソフトウェアシステムとして説明しており、Oracle自身もCRMに関係する製品・サービスを提供しています。[参照] Oracle公式「CRMとは」
ただし、現在のOracle製品を調べるときは「Oracle CRM」という単一の製品名だけを探すより、Oracle Fusion Cloud Customer Experience(CX)やOracle Fusion Cloud Salesという現在の製品体系で確認した方が分かりやすいでしょう。
Oracle公式では、Oracle Customer Experience(CX)について、マーケティング、セールス、サービスにまたがってビジネスデータを結び付けるアプリケーション群と説明しています。また「従来のCRMを超える」密接に連携されたアプリケーション・スイートとして位置付けています。[参照] Oracle Customer Experience(CX)公式ページ
営業向けCRMの中心となる「Oracle Fusion Cloud Sales」
営業部門がCRMを導入したい場合に中心的な候補となるのが「Oracle Fusion Cloud Sales」です。Oracle公式によると、Oracle Fusion Cloud Salesは営業、見積もり、購買、販売管理、請求、契約更新などを単一のプラットフォーム上で連携させる営業ソリューションです。[参照] Oracle Fusion Cloud Sales
一般的なCRM・SFAで求められる顧客・アカウント情報や営業活動、商談などの管理に加え、Oracleの他の業務データと組み合わせながら営業プロセスを管理できることが特徴です。
例えば法人営業で「A社の担当者は誰か」「現在どの商談が進んでいるか」「次にどの案件を優先すべきか」「今後どの程度の売上が見込めるか」といった情報を営業担当者やマネージャーが確認し、営業活動へ活用する用途が考えられます。
OracleにはSFA(営業支援)機能もある
CRMとよく一緒に登場する言葉が「SFA(Sales Force Automation)」です。CRMが顧客との関係を広く管理する考え方であるのに対し、SFAは営業担当者の活動や商談、営業プロセスを効率化することに重点を置きます。
Oracleは「Oracle Sales Force Automation」を提供しており、公式には顧客データと業務データをCRMで収集・連携し、営業担当者が顧客を理解したりセールスプロセスのタスクを自動化したりするための営業支援アプリケーションと説明しています。[参照] Oracle Sales Force Automation
そのため「OracleにCRMはありますか?」という問いだけでなく、「営業案件や顧客との接触履歴、営業活動を管理したい」という目的で探している場合にもOracleは候補になります。
OracleのCRMは営業だけではなくマーケティング・サービスまで広い
CRMを「営業担当者が顧客情報を入力するシステム」と考えると、Oracle CXの全体像は少し分かりにくいかもしれません。OracleはCRMを営業だけに限定せず、顧客とのさまざまな接点を管理する仕組みとして捉えています。
現在のOracle Fusion CX Applicationsでは、大きくSales(セールス)、Service(サービス)、Marketing(マーケティング)などが提供されています。[参照] Oracle CX製品一覧
例えば、マーケティング部門が見込顧客を獲得し、その情報を営業へ渡し、営業担当者が商談を進め、契約後にはカスタマーサービス部門が問い合わせへ対応するといった一連の顧客接点を連携させる考え方です。
Oracle Marketingではマーケティング活動も連携できる
Oracle Fusion Cloud Marketingは、マーケティング施策と顧客・企業データを結び付けるためのソリューションです。Oracle公式では、統合された顧客データとエンタープライズデータ、マーケティングのオーケストレーション、AIなどを組み合わせ、需要の特定や営業部門との連携を支援すると説明しています。[参照] Oracle Fusion Cloud Marketing
CRMでは「見込顧客を獲得したあと、営業へどうつなげるか」が重要です。マーケティングと営業が別々のシステムを利用すると、同じ顧客について情報が分断されることがあります。
Oracle CXではマーケティングと営業を一連の顧客ライフサイクルとして扱えるため、大規模な企業でマーケティングから営業までのデータ連携を重視する場合にも検討できます。
Oracle Unity Data Platformで顧客データを統合できる
現在のCRMでは、営業担当者が入力した会社名や電話番号だけでなく、Webサイト、アプリ、購入履歴、マーケティング、サービスなど複数の場所に存在する顧客データをどう統合するかも重要です。
Oracleは「Oracle Fusion Unity Data Platform」を提供しています。企業内に分散している顧客データを集約し、統合された顧客プロファイルとして利用できるようにするプラットフォームです。マーケティング、営業、サービス、ERPなどのデータを連携して活用できます。[参照] Oracle Unity Data Platform
例えば営業システムでは「商談中の顧客」、ECでは「商品を購入した顧客」、サポートシステムでは「問い合わせを行った顧客」と別々に記録されている情報を関連付ければ、より包括的に顧客を理解しやすくなります。
CRMとCDPは同じものではない
Oracle製品を調べていると「CRM」と「CDP(Customer Data Platform)」の両方が出てくるため、混同しやすい点には注意が必要です。
Oracle公式では、CRMを企業と顧客・見込顧客との関係やインタラクションを管理するためのテクノロジーと説明しています。一方CDPは、複数のソースからファーストパーティの顧客データを収集・統合し、顧客ごとの一貫したビューを作ることを主目的とします。[参照] Oracle公式「CDPとは」
簡単に整理すると、CRMは「顧客との関係・営業活動を管理する」役割が強く、CDPは「さまざまな場所にある顧客データをまとめて活用する」役割が強いと考えると理解しやすいでしょう。実際の企業システムでは両者を連携して利用することもあります。
OracleのCRMではAI活用も進んでいる
現在のOracle CXではAIも重要な要素になっています。Oracleは営業、サービス、マーケティングのワークフローに生成AIやエージェンティックAIを組み込み、顧客対応や業務判断を支援する方向へ製品を発展させています。[参照] Oracle AI for CX
Oracle Fusion Cloud Salesでも、AIエージェントを利用して定型業務を自動化したり、商談を進めるためのアクションを支援したりする機能が紹介されています。
従来型CRMの「顧客情報を記録して検索する」という役割から、現在は蓄積された顧客・業務データをAIで分析し、営業担当者が次に行うべき活動を支援する方向へ進化していると考えられます。
Oracle CRM・CXが向いている企業とは
Oracleの強みが生きやすいのは、単純な顧客名簿だけではなく、営業・マーケティング・サービス・財務・販売管理など複数の業務を連携したい企業です。特にすでにOracle Fusion Cloud Applicationsなどを利用している企業では、同じOracle製品群でデータを連携することが選択肢になります。
例えば「営業担当者が受注した後、その情報を販売管理や請求などの業務へつなげたい」「営業だけでなくマーケティングやサービス部門も同じ顧客情報を活用したい」といった企業では、Oracle CX全体を検討する意味があります。
一方、小規模な企業が「顧客100社の会社名・担当者・商談状況だけを簡単に管理したい」という用途なら、Oracleに限定せず、導入費用、運用負荷、必要な機能、既存システムとの連携などを含めて複数のCRMを比較した方がよいでしょう。
OracleのCRMを選ぶときは製品名ではなく目的から考える
OracleのCRM関連製品は範囲が広いため、「CRMが欲しい」というだけでは必要な製品を決めにくいことがあります。最初に自社が何を管理したいのかを整理することが重要です。
営業活動・商談・売上予測などが中心ならOracle Fusion Cloud Sales、マーケティング活動まで管理したいならOracle Marketing、顧客サポートを重視するならOracle Service、複数システムの顧客データ統合を重視するならOracle Unity Data Platformというように、目的によって検討対象が変わります。
また、CRM導入では機能の多さだけでなく、現在利用しているERPやデータベース、認証基盤、マーケティングツールなどとの連携も重要です。デモやOracleへの問い合わせを利用し、自社の要件に合う構成を確認してから選定するのが適切です。
まとめ:OracleにはCRMがあり、現在はOracle Fusion CXとして幅広く展開されている
OracleはCRM(顧客関係管理)ソリューションを提供しています。営業向けの中心的な製品としてOracle Fusion Cloud Salesがあり、SFAによる営業支援、顧客・商談情報の活用などを行えます。
さらにOracle Fusion Cloud Customer Experience(CX)として、SalesだけでなくService、Marketingなどのアプリケーションが提供されており、Oracle Unity Data Platformによる顧客データ統合も可能です。
そのためOracleのCRMは、単純な顧客情報管理だけを意味するのではなく、マーケティング→営業→顧客サービスという顧客との一連の関係を、企業の業務データと連携して管理する仕組みとして捉えると理解しやすくなります。
「OracleにCRMはあるか」という点については明確に「ある」と考えて問題ありません。ただし実際に導入製品を探す際は「Oracle CRM」という名称だけで探すのではなく、Oracle Fusion Cloud SalesやOracle Fusion Cloud Customer Experience(CX)という現在の製品体系から、自社に必要な機能を確認するのがよいでしょう。


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