Photoshopを起動しただけで突然終了し、「問題が発生しました」「レポートを送信しますか?」といったクラッシュレポート画面が表示されることがあります。数日前までは再起動すれば使えていたのに、急に毎回起動できなくなった場合、環境設定ファイルの破損、GPUやグラフィックドライバー、プラグイン、フォントなど複数の原因が考えられます。
絵を描くためにPhotoshopを使い、ブラシやツール設定を長期間カスタマイズしている場合、いきなり「環境設定を削除」するのはおすすめできません。Adobe公式も、環境設定をリセットする前に設定フォルダーをバックアップすることを推奨しています。また、Adobeはカスタムブラシについて、環境設定ファイルが削除・リセット・破損すると失われる可能性があるため、ブラシライブラリとして書き出して保存するよう案内しています。
最も安全なのは、環境設定フォルダーを削除せず丸ごとコピーしてバックアップし、元フォルダーは名前を変更してPhotoshopを起動する方法です。これなら初期設定で起動できるか確認しつつ、元の設定を残しておけます。この記事では、ブラシや設定をできるだけ守りながらPhotoshopの起動クラッシュを切り分ける手順を解説します。
- 環境設定をリセットすると何が変わる?
- 起動できない状態では「削除」ではなく設定フォルダーをバックアップする
- AppDataが見えない場合の開き方
- 設定フォルダーは削除せず「名前変更」で切り分ける
- 初期設定なら起動できた場合は環境設定破損の可能性が高い
- Photoshopが一度でも起動できたらブラシをABRで書き出す
- 環境設定を触る前に試せる「プラグインを読み込まない起動」
- 最近のアップデート直後からならPhotoshop本体のバージョンも確認
- GPUやグラフィックドライバーでも起動直後に落ちることがある
- ブラシを使う人はペンタブレットのドライバーも確認する
- フォントキャッシュが原因で起動時に落ちるケースもある
- ディスクの空き容量も確認する
- 作品ファイルとブラシ設定は別物なのでPSDが消えるわけではない
- 再インストールは最初に行わなくてもよい
- おすすめの対処順序
- 設定フォルダーを戻す方法
- ブラシが特に大切なら復旧後すぐに個別バックアップする
- まとめ|環境設定は消す前に丸ごと保存し、名前変更で安全に切り分ける
環境設定をリセットすると何が変わる?
Photoshopの環境設定には、単純な画面表示だけでなく、インターフェイス、ファイル保存、パフォーマンス、ワークスペース、キーボードショートカット、ツール関連など多くのカスタマイズ情報が保存されています。Adobe公式でも、破損した環境設定ファイルが予期しない動作の原因になることがあると説明しています。Adobe公式:Photoshopの環境設定をリセットする方法[参照]
リセットするとPhotoshopは初期状態に近い設定で起動します。そのため、自分で変更していた画面配置やパフォーマンス設定などが初期値へ戻る可能性があります。
特に絵を描く人が注意したいのがブラシです。Adobeは、現在のブラシプリセットが環境設定ファイルに保存されている場合があり、環境設定ファイルの削除・リセット・破損によって失われる可能性があると案内しています。カスタムブラシは通常、別途ABRファイルとして書き出しておくのが安全です。Adobe公式:カスタムブラシの保存[参照]
起動できない状態では「削除」ではなく設定フォルダーをバックアップする
Photoshopが開ければブラシパネルから「選択したブラシを書き出し」を実行できますが、起動直後にクラッシュする場合はそれができません。その場合でも、Photoshopの設定フォルダー自体をコピーして保存できます。
Adobe公式によるWindows版の環境設定フォルダーは、おおむね次の場所です。
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Adobe\Adobe Photoshop バージョン\Adobe Photoshop バージョン Settings
macOSでは次の場所です。
/Users/ユーザー名/Library/Preferences/Adobe Photoshop バージョン Settings
Photoshopを完全に終了した状態で、この「Adobe Photoshop ○○ Settings」フォルダーをデスクトップや別ドライブへ丸ごとコピーします。Adobeも環境設定のバックアップ方法として、この設定フォルダーを別の場所へコピーする方法を正式に案内しています。Adobe公式:環境設定のバックアップと復元[参照]
AppDataが見えない場合の開き方
WindowsのAppDataフォルダーは通常、隠しフォルダーになっています。そのためエクスプローラーでユーザーフォルダーを開いても表示されない場合があります。
簡単なのは、WindowsキーとRキーを押して「ファイル名を指定して実行」を開き、次の文字列を入力する方法です。
%appdata%\Adobe
Enterを押すとAdobe関連の設定フォルダーへ移動できます。その中から使用しているPhotoshopのバージョンを探します。
設定フォルダーは削除せず「名前変更」で切り分ける
バックアップが取れたら、元のSettingsフォルダーを完全削除する必要はありません。例えば次のように名前を変更します。
Adobe Photoshop 2026 Settings
これを次のようにします。
Adobe Photoshop 2026 Settings_old
その状態でPhotoshopを起動すると、元の環境設定フォルダーを見つけられないため、新しい初期状態のSettingsフォルダーが自動生成されます。Adobe公式も、手動リセット方法として元フォルダーを削除または名前変更してから起動する方法を案内しています。
「削除」ではなく「名前変更」にしておけば、問題が解決しなかった場合でも元のフォルダーを戻せます。カスタマイズを大量に行っている場合には特にこの方法が安全です。
初期設定なら起動できた場合は環境設定破損の可能性が高い
Settingsフォルダーの名前を変更した状態でPhotoshopが正常起動するなら、以前の環境設定のどこかが破損していた可能性が高くなります。
ただし、起動できたからといって古いSettingsフォルダーをすぐ削除する必要はありません。まず新しい状態で数回Photoshopを起動・終了し、クラッシュが再発しないか確認します。
問題が再発しないことを確認してから、必要なブラシ、アクション、グラデーション、ツールプリセットなどを古いバックアップから復旧していくのが安全です。
Photoshopが一度でも起動できたらブラシをABRで書き出す
初期設定によってPhotoshopが起動できるようになり、何らかの方法で以前のブラシを復元できたら、最優先でカスタムブラシをファイルとして保存しておきます。
「ウィンドウ」→「ブラシ」を開き、残したいブラシまたはブラシグループを選択し、ブラシパネルのメニューから「選択したブラシを書き出し」を選びます。ABRファイルとして保存できます。
Adobeはプリセットについて、ブラシ、グラデーション、アクションなどをそれぞれのパネルから書き出せると案内しています。Adobe公式:プリセット・アクション・設定の移行[参照]
ABRファイルを外付けドライブやクラウドストレージにもコピーしておけば、Photoshopを再インストールした場合でも「ブラシを読み込み」から戻せます。
環境設定を触る前に試せる「プラグインを読み込まない起動」
Photoshopが起動直後にクラッシュする原因として、サードパーティ製プラグインもあります。最近Photoshop本体をアップデートした場合、それまで動いていた古いプラグインとの互換性が崩れるケースがあります。
Adobe公式では、Photoshopを終了し、Shiftキーを押したままPhotoshopを起動する方法を案内しています。「オプションプラグインとサードパーティプラグインの読み込みをスキップしますか」といった確認が表示されたら「はい」を選択します。Adobe公式:Photoshopのクラッシュ・フリーズ対処[参照]
この状態なら正常に起動する場合は、Photoshop本体よりも追加プラグインが原因である可能性があります。最近追加したプラグインや、Photoshop更新後に古くなったプラグインから確認します。
最近のアップデート直後からならPhotoshop本体のバージョンも確認
数日前まで普通に使えていたのに突然クラッシュするようになった場合、その期間にCreative CloudからPhotoshopが更新されていないか確認する価値があります。
Creative Cloudデスクトップアプリを開き、Photoshopの現在のバージョンと更新履歴を確認します。Adobeはクラッシュ時の基本手順として、まずPhotoshopを最新バージョンへ更新することを案内しています。
逆に「最新版へ更新した直後から必ず落ちる」という状況なら、Adobeが公開している既知の問題を確認したり、Creative Cloudから以前のバージョンをインストールして動作を比較したりすることで原因を切り分けられる場合があります。
GPUやグラフィックドライバーでも起動直後に落ちることがある
Photoshopは描画処理にGPUを利用しており、グラフィックスドライバーに問題があると起動時のクラッシュやフリーズが発生する場合があります。AdobeもGPU関連の代表的な症状として「Photoshopの起動時または特定機能使用時にクラッシュする」ケースを挙げています。Adobe公式:GPU・グラフィックドライバー問題の解決[参照]
Photoshopが起動できる瞬間があるなら、「編集」→「環境設定」→「パフォーマンス」で「グラフィックプロセッサーを使用」を一時的にオフにし、再起動して症状が消えるか確認します。
オフにすると安定する場合は、NVIDIA、AMD、Intelなど使用しているGPUメーカーから最新の適切なドライバーを導入し、再度確認します。GPUドライバー更新直後から不具合が出た場合には、逆にドライバー側の問題も疑います。
ブラシを使う人はペンタブレットのドライバーも確認する
イラスト用途では、Wacomなどのペンタブレットや液晶タブレットを利用していることも多いでしょう。Photoshop自体だけでなく、入力デバイスのドライバーや常駐ソフトとの組み合わせで問題が発生する場合もあります。
最近ペンタブレットドライバーを更新した、WindowsやmacOSを更新した、Photoshopを更新した、といったタイミングとクラッシュ開始時期が一致する場合は確認材料になります。
一度ペンタブレットを外した状態でPhotoshopを起動してみるなど、周辺機器を最小構成にして動作を比較すると原因を切り分けやすくなります。
フォントキャッシュが原因で起動時に落ちるケースもある
Photoshopは起動時に利用可能なフォント情報を読み込みます。破損したフォントやフォントキャッシュによって、起動時のクラッシュやフリーズが発生する場合があります。
Adobeのクラッシュ対処資料でも、不正なフォントがPhotoshop起動時のクラッシュやハングを引き起こす可能性があり、Photoshopフォントキャッシュのリセットが対策として挙げられています。Adobe公式:Photoshopのクラッシュ対策[参照]
直前に大量のフォントを追加した、新しいフリーフォントをインストールしてから症状が出た、といった場合は特に疑う価値があります。
ディスクの空き容量も確認する
Photoshopはメモリだけでなく、作業用ディスクとしてSSDやHDDを使用します。システムドライブの空き容量が極端に少ないと、起動や編集時の問題につながることがあります。
Windowsならエクスプローラーの「PC」、Macならストレージ設定から空き容量を確認します。巨大なPSD、一時ファイル、動画などでドライブがほぼ満杯になっていないか確認してください。
絵を描く用途ではPSDやPSBが大容量になりやすいため、Photoshopのトラブルとは別に定期的なデータ整理とバックアップも重要です。
作品ファイルとブラシ設定は別物なのでPSDが消えるわけではない
環境設定をリセットすることと、制作したPSDやJPEGなどの作品ファイルを削除することは別です。通常、環境設定フォルダーをリセットしても自分で保存したPSDファイルそのものが削除されるわけではありません。
一方、ブラシ、ワークスペース、ツールプリセットなどPhotoshop内部でカスタマイズした情報は環境設定やプリセットと関係するため、バックアップが重要になります。
「絵のデータ」と「Photoshopの使い勝手を作っている設定」を分けて考えると理解しやすいでしょう。作品データも念のため別ドライブへバックアップしてから大きなトラブルシューティングを行うとさらに安全です。
再インストールは最初に行わなくてもよい
Photoshopが起動しなくなると、すぐアンインストール・再インストールしたくなりますが、環境設定やプラグインが原因の場合、再インストールだけでは問題が残るケースもあります。
また、アンインストール時の選択肢によって設定やプリセットの扱いも変わるため、ブラシを大量にカスタマイズしている人ほど慎重に進めたほうがよいでしょう。
まず「プラグインをスキップして起動」「設定フォルダーをバックアップして名前変更」「GPUやドライバーを確認」という順番で原因を切り分け、それでも改善しない場合に再インストールを検討するほうが安全です。
おすすめの対処順序
Photoshopが現在まったく起動できず、カスタムブラシも失いたくない場合は、次の順序で試すとリスクを抑えられます。
- 制作中のPSDなど重要な作品データをバックアップする
- PhotoshopのSettingsフォルダーを丸ごと別の場所へコピーする
- Shiftキーを押しながら起動し、サードパーティプラグインを読み込まずに試す
- Photoshop・OS・GPUドライバーの更新状況を確認する
- 改善しなければSettingsフォルダーを削除せず「_old」などへ名前変更する
- Photoshopを起動して新しい環境設定を自動生成させる
- 正常起動するか数回確認する
- 必要なブラシやプリセットを慎重に復旧する
- 復旧できたブラシはABRファイルとして書き出す
この方法なら、いきなり大切なカスタム設定を完全削除する必要はありません。
設定フォルダーを戻す方法
環境設定を初期化しても原因が変わらず、元の設定へ戻したい場合はPhotoshopを完全に終了します。
新しく自動生成されたSettingsフォルダーを別名へ変更し、最初に保存しておいた古いSettingsフォルダーを元の名前・元の場所へ戻します。
Adobeもバックアップした環境設定を復元する際には、現在のSettingsフォルダーを移動または名前変更し、保存しておいたフォルダーを元の場所へコピーする方法を案内しています。ただし古い環境設定そのものがクラッシュ原因なら、元へ戻すと症状も再発するため注意してください。
ブラシが特に大切なら復旧後すぐに個別バックアップする
長年カスタマイズしたブラシは、Photoshop本体より再現が難しい資産になることがあります。環境設定フォルダーのコピーだけに頼らず、Photoshopが安定して起動できる状態になった時点でABRとして書き出しておくのがおすすめです。
ブラシだけでなく、アクション、グラデーション、ツールプリセットなども必要に応じて個別にエクスポートできます。Adobeは2026年現在、それぞれのプリセットパネルから個別に書き出し・読み込みする方法を案内しています。Adobe公式:プリセットの書き出しと読み込み[参照]
「Photoshopが動いている間はバックアップしなくても大丈夫」と考えず、自作ブラシを追加・変更したタイミングでABRを更新する習慣を付けると、今回のようなトラブルでも復旧しやすくなります。
まとめ|環境設定は消す前に丸ごと保存し、名前変更で安全に切り分ける
Photoshopが起動直後にクラッシュしてレポート送信画面が表示される場合、環境設定ファイルの破損は代表的な原因の一つですが、GPU、プラグイン、フォントなどほかの原因もあります。そのため、最初から大切な設定を完全削除する必要はありません。
ブラシや各種設定を大量にカスタマイズしているなら、まず「Adobe Photoshop ○○ Settings」フォルダーを丸ごと別の場所へコピーしてください。その後、元フォルダーを削除せず「Settings_old」などへ名前変更してPhotoshopを起動すれば、元データを残したまま初期環境でクラッシュが直るか確認できます。
さらに、Shiftキーを押しながら起動してプラグインを読み込まない方法、PhotoshopやGPUドライバーの更新確認なども先に試せます。Photoshopが再び起動できたら、重要なカスタムブラシはすぐABRファイルとして書き出して別の場所にも保存しておくと、今後環境設定をリセットする必要が生じても安心して復旧できるようになります。


コメント