企業の会計や販売、在庫、顧客などの情報を一元管理するERPを調べていると、Oracle(オラクル)の製品として「NetSuite(ネットスイート)」という名前を目にすることがあります。NetSuiteはクラウド型ERPとして提供されており、成長企業から中堅企業、グローバルに事業を展開する企業まで幅広い組織を対象としたビジネス管理プラットフォームです。
OracleとNetSuiteの関係は少し分かりにくく、「NetSuiteはOracleのERPなのか」「Oracle Fusion Cloud ERPとは何が違うのか」と疑問を持つこともあるでしょう。本記事では、Oracle NetSuiteとはどのようなサービスなのか、Oracleとの関係、主要機能、想定される企業像まで分かりやすく解説します。
Oracleは「NetSuite」というクラウドERPを提供している
NetSuiteはOracle傘下で提供されているクラウドベースのERP・ビジネス管理製品です。Oracleの公式サイトでも「Oracle NetSuite」として紹介されています。
NetSuiteではERPを中心として、財務管理、会計、在庫管理、受注管理、調達など企業経営に必要となるさまざまな業務をクラウド上で管理できます。個別の業務システムをバラバラに導入するのではなく、企業活動に関係する情報を統合して扱えることが大きな特徴です。
OracleはNetSuiteについて、ERP/財務、CRM、Eコマースなどの機能を備えた統合クラウド・ビジネス・ソフトウェア・スイートとして説明しています。NetSuiteの位置付けを確認したい場合はOracleおよびNetSuiteの公式情報を確認するのが確実です。
[参照] Oracle公式サイト:Oracle NetSuite
NetSuiteとOracleはどのような関係なのか
NetSuiteはもともとOracleがゼロから開発して誕生したサービスではありません。NetSuiteは独立したクラウドソフトウェア企業として成長し、その後Oracleによって買収されました。
Oracleは2016年11月、NetSuiteの買収を完了したことを発表しています。そのため現在NetSuiteについて調べると、「NetSuite」だけでなく「Oracle NetSuite」という名称を目にすることがあります。
[参照] Oracle:Oracle Completes Tender Offer Acquisition of NetSuite
つまり、「OracleがNetSuiteというクラウドERPを提供している」という理解で大きな問題はありません。一方で、NetSuiteにはOracleによる買収以前から続く独自の製品・ブランドとしての歴史があるため、OracleのほかのERP製品とは区別して考える必要があります。
NetSuiteは中小・中堅企業向けERPなのか
NetSuiteは中小・中堅企業や成長企業におけるERPの選択肢として広く位置付けられているクラウドサービスです。ただし、「小規模企業だけのERP」と理解するのは適切ではありません。
NetSuiteの公式情報では、スタートアップ、急成長企業、ファミリービジネス、中規模企業、プライベートエクイティ投資先企業など、さまざまな企業向けのソリューションが案内されています。また、多国籍・多拠点で事業を展開する企業に対応する機能も用意されています。
例えば、事業が成長して「会計は会計ソフト、顧客管理は別のCRM、在庫はExcel」といった状態になっている企業では、部署間でデータが分断されやすくなります。NetSuiteのような統合型クラウドERPを導入することで、販売から会計までを同じプラットフォーム上で管理するという選択肢が生まれます。
NetSuiteでは何ができる?主な機能
NetSuiteの特徴を理解するには、単なる会計ソフトではなく、複数の業務領域を統合するクラウドプラットフォームとして考えると分かりやすくなります。企業によって導入する機能は異なりますが、代表的な領域として以下があります。
| 領域 | 主な用途 |
|---|---|
| ERP・財務管理 | 会計、財務、請求などの管理 |
| 受注管理 | 受注から出荷・請求までの業務管理 |
| 在庫管理 | 商品・在庫状況の把握と管理 |
| 調達 | 購買や仕入れに関する業務管理 |
| CRM | 顧客・営業活動などの管理 |
| コマース | オンライン販売を含むコマース業務 |
例えば、営業担当者が受注した取引を別途経理担当者が会計システムへ手入力する運用では、二重入力や入力ミスが発生する可能性があります。ERPを中心に業務を統合すれば、受注・在庫・請求・会計といった一連のデータをつなげて管理しやすくなります。
さらに、経営側にとっても複数のシステムから数字を集めてExcelで集計する作業を減らし、企業の状況を一元的に把握しやすくなる点がERP導入のメリットになります。
クラウドERPであることもNetSuiteの重要な特徴
NetSuiteはクラウドを前提として提供されるERPです。自社内にERP用サーバーを設置して運用する従来型のオンプレミスERPとは異なり、インターネットを通じてサービスを利用します。
クラウドERPでは、企業自身が基盤となるサーバーを購入してERP環境を構築する方式とは運用形態が異なります。拠点が増えたり、海外へ事業を拡大したりする企業にとっても、クラウド型で統合されたシステムは検討しやすい選択肢の一つです。
一方、クラウドERPだから導入するだけで業務が自動的に最適化されるわけではありません。既存業務の整理、データ移行、権限設計、他システムとの連携、カスタマイズ範囲などを事前に検討する必要があります。
NetSuite OneWorldはグローバル企業の管理にも対応する
NetSuiteには、複数の子会社や事業体を管理するためのNetSuite OneWorldがあります。複数の国・地域で事業を行う企業では、法人ごとに会計や業務システムが分断されることが課題になる場合があります。
NetSuite OneWorldは、複数子会社、複数通貨、税務・レポーティングなど、グローバルな事業管理を支援するための機能を提供しています。そのためNetSuiteは国内の中小企業だけを対象にした簡易ERPというより、成長に伴って拠点や法人が増える企業にも対応できるERPとして捉えるほうが実態に近いでしょう。
例えば、日本企業が米国やシンガポールなどに子会社を設立した場合、各法人の情報を個別管理するだけではグループ全体の状況を把握するのが難しくなります。こうした複数法人を持つ企業の管理もNetSuiteが想定する利用シーンの一つです。
Oracle Fusion Cloud ERPとNetSuiteは同じ製品ではない
OracleのERPを調べる際に注意したいのが、Oracle NetSuiteとOracle Fusion Cloud ERPは別の製品・サービスであるという点です。どちらもOracleのクラウドERPに関係する製品ですが、「OracleのERP」という言葉だけではどちらを指しているのか判断できないことがあります。
Oracleは「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning(ERP)」も提供しています。財務、プロジェクト管理、調達、リスク管理など企業向けの幅広い機能を備えたクラウドERPスイートです。
[参照] Oracle公式サイト:Oracle Fusion Cloud ERP
したがってERPを比較するときは、「Oracle製品かどうか」だけで決めるのではなく、企業規模、事業構造、海外拠点、必要な機能、既存システムとの連携、導入・運用体制などを踏まえて検討することが重要です。
NetSuiteが向いている企業を考えるポイント
NetSuiteは特に、事業成長によって業務システムが複雑になってきた企業で検討対象になりやすいERPです。例えば、複数の業務システムやExcelに情報が分散しており、経営情報を集約するのに時間がかかっているケースが考えられます。
また、海外展開や子会社の増加を予定している企業、会計だけでなく販売・在庫・顧客などの情報も統合したい企業にとっても候補になります。一方、必要な機能が非常に限定的な小規模事業者の場合には、よりシンプルな業務ソフトのほうが費用や運用負荷の面で適している可能性もあります。
ERPは企業の基幹業務に深く関係するため、「有名な製品だから」「クラウドだから」という理由だけで選択するのではなく、現在の業務課題と将来の事業計画を整理して比較することが大切です。
まとめ:NetSuiteはOracle傘下で提供されるクラウドERP
NetSuiteはOracle傘下で提供されているクラウドERP・統合ビジネス管理プラットフォームです。Oracleは2016年にNetSuiteの買収を完了しており、現在はOracle NetSuiteとして公式に展開されています。
NetSuiteはERP・財務管理を中心に、受注、在庫、調達、CRM、コマースなど幅広い業務領域をカバーします。中小・中堅企業や成長企業におけるERPの有力な選択肢の一つですが、複数子会社や海外拠点を持つ企業にも対応する機能があります。
また、OracleにはNetSuiteとは別にOracle Fusion Cloud ERPも存在します。ERPを導入する際には「OracleのERP」という大きなくくりだけで判断せず、NetSuiteとほかのOracle製品の違いを理解したうえで、自社の規模、業務要件、成長計画に適した製品を比較することが重要です。


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