ITエンジニアは全員プログラミングできる?コーディングが苦手でも優秀なエンジニアになれる理由

プログラミング

「ITエンジニア」と聞くと、一日中プログラムを書いている人を想像するかもしれません。しかし実際のIT業界には非常に多くの職種があり、すべてのエンジニアが同じレベルでプログラミングをするわけではありません。

アプリケーション開発者のように日常的に大量のコードを書く職種もあれば、ネットワーク、クラウド、セキュリティ、データベース、ITインフラ、プロジェクト管理など、コードを書く時間が比較的少ないエンジニアもいます。

また、コーディングの速さや上手さだけでエンジニアの優秀さが決まるわけでもありません。設計力、問題解決力、障害対応力、要件整理、コミュニケーションなど、実務ではさまざまな能力が評価されます。この記事では、ITエンジニアとプログラミングの関係を職種別に整理し、「コードを書くのが得意ではなくても優秀なエンジニアは存在するのか」を具体的に解説します。

  1. ITエンジニア=プログラマーではない
  2. ソフトウェアエンジニアは基本的にコーディング能力が必要
  3. インフラエンジニアは大量のアプリコードを書かないことも多い
  4. ネットワークエンジニアもプログラミングが主業務とは限らない
  5. クラウドエンジニアはプログラムより設計能力が重要になることもある
  6. セキュリティエンジニアも職種によってコーディング量が異なる
  7. QAエンジニアやテストエンジニアにもさまざまなタイプがある
  8. エンジニア職ごとのコーディング量をざっくり比較
  9. 「プログラミングができる」の基準も人によって違う
  10. コーディングが下手でも優秀なエンジニアは現実に存在する
  11. 優秀なエンジニアは「たくさんコードを書く人」とは限らない
  12. 設計が得意でも実装速度が遅いエンジニアはいる
  13. 障害対応が得意なエンジニアも非常に価値が高い
  14. 要件を正しく理解できる能力も重要
  15. コードレビューが上手な人も優秀なエンジニア
  16. コミュニケーション能力も技術職では重要
  17. ではコーディングが苦手でも勉強しなくてよいのか
  18. 「コーディングが下手」の意味も分けて考える必要がある
  19. 文法を暗記していなくても問題ない
  20. コードを書く速度だけで比較しないほうがよい
  21. 「動けばいいコード」と「良いコード」は違う
  22. AI時代でもプログラミングの基礎は重要
  23. シニアになるほどコードを書く時間が減ることもある
  24. 逆に、プログラミングだけ得意でも優秀とは限らない
  25. 優秀なエンジニアに共通しやすい能力
  26. プログラミングが苦手なら職種選びも重要
  27. 初心者なら「上手いか」より「基礎を理解できているか」を見る
  28. 実務では「分からないことを解決できる力」が重要
  29. まとめ:ITエンジニア全員がコーディングの達人ではない

ITエンジニア=プログラマーではない

まず理解しておきたいのは、「ITエンジニア」という言葉が非常に広い範囲の職種を含んでいることです。

代表的な職種として、ソフトウェアエンジニア、Webエンジニア、インフラエンジニア、ネットワークエンジニア、クラウドエンジニア、セキュリティエンジニア、データベースエンジニア、SRE、QAエンジニアなどがあります。

このうちソフトウェア開発を中心とする職種ではプログラミング能力が重要ですが、それ以外では設定、設計、監視、調査、運用、セキュリティ対策などが仕事の中心になる場合があります。

ソフトウェアエンジニアは基本的にコーディング能力が必要

Webアプリ、スマートフォンアプリ、業務システムなどを開発するソフトウェアエンジニアの場合は、基本的にプログラミングが仕事の重要な部分を占めます。

例えばWebバックエンドエンジニアなら、Java、Python、Go、PHP、Rubyなどを使ってAPIやデータ処理を実装します。フロントエンドエンジニアならJavaScriptやTypeScriptなどを使います。

したがって、ソフトウェア開発職で「コードをまったく読めない・書けない」という状態では業務を続けるのは難しいでしょう。一方で、必ずしも競技プログラミングのように高速で複雑なコードを書ける必要があるわけではありません。

インフラエンジニアは大量のアプリコードを書かないことも多い

インフラエンジニアは、サーバー、OS、ネットワーク、クラウドなどシステムが動く基盤を設計・構築・運用する仕事です。

業務ではLinuxコマンド、シェルスクリプト、PowerShell、設定ファイルなどを扱うことがありますが、Webサービスの機能を何千行も実装するようなプログラミングとは性質が異なります。

近年はInfrastructure as CodeによってTerraform、Ansible、Pythonなどを書く機会も増えていますが、インフラの構造、可用性、バックアップ、監視、障害対応などの知識も同じくらい重要です。

ネットワークエンジニアもプログラミングが主業務とは限らない

ネットワークエンジニアは、ルーター、スイッチ、ファイアウォールなどを利用してネットワークを設計・構築・運用します。

必要になるのは、IPアドレス、ルーティング、VLAN、DNS、VPN、TCP/IPなどネットワークに関する知識です。機器のCLIへコマンドを入力することはありますが、それを一般的なアプリ開発のコーディングと同じものとして考える必要はありません。

自動化のためPythonなどを使えると仕事の幅は広がりますが、ネットワーク設計や障害解析能力が非常に高いエンジニアであれば、プログラムを書く能力が平均的でも高く評価されることがあります。

クラウドエンジニアはプログラムより設計能力が重要になることもある

AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなどを扱うクラウドエンジニアも、職場によってコーディング量は大きく異なります。

例えばクラウドアーキテクト寄りの仕事では、「どのサービスを組み合わせるか」「障害が起きても止まらない構成にするにはどうするか」「コストをどう抑えるか」といった設計判断が重要になります。

Terraformなどのコードを書くことはあっても、優秀さを決めるのは単純なタイピング速度ではなく、セキュリティ、可用性、性能、コストを総合的に判断できる能力です。

セキュリティエンジニアも職種によってコーディング量が異なる

セキュリティ分野も非常に幅広く、コードを書く職種とあまり書かない職種があります。

脆弱性診断やマルウェア解析ではPython、C、アセンブリなどの知識が役立つことがあります。一方で、SOCでの監視、セキュリティポリシー設計、インシデント対応、リスク評価などは、必ずしも大量のプログラムを書く仕事ではありません。

そのため「セキュリティエンジニアなら全員プログラミングが得意」というわけでもありません。

QAエンジニアやテストエンジニアにもさまざまなタイプがある

QAエンジニアは、ソフトウェアの品質を確認し、問題を見つけ、開発プロセスを改善する仕事です。

テスト自動化を担当する場合はJavaScript、Python、Javaなどを書くことがあります。一方で手動テスト設計、品質分析、仕様確認などを中心にする場合は、コーディングの比重が低いケースもあります。

優秀なQAエンジニアには「どこに不具合が起きそうかを予測する能力」「仕様の矛盾を見つける能力」などが求められます。これらは単純なプログラミング技術とは別の専門性です。

エンジニア職ごとのコーディング量をざっくり比較

もちろん会社や担当業務によって大きく変わりますが、一般的な傾向を整理すると次のようになります。

職種 コーディング量の傾向 重要になりやすい能力
ソフトウェアエンジニア 多い 設計・実装・テスト
Webエンジニア 多い 実装・Web技術・設計
インフラエンジニア 少~中 OS・サーバー・可用性
ネットワークエンジニア 少~中 ネットワーク設計・障害解析
クラウドエンジニア クラウド設計・自動化
セキュリティエンジニア 職種次第 分析・防御・インシデント対応
QAエンジニア 少~中 品質管理・テスト設計
SRE 中~多 自動化・信頼性・運用設計

このように「ITエンジニア」という一つの言葉だけでは、どの程度プログラミングする人なのか判断できません。

「プログラミングができる」の基準も人によって違う

「プログラミングできる」という言葉自体にもかなり幅があります。

簡単なPythonスクリプトを書けるレベルを「できる」と考える人もいれば、大規模システムを設計・実装できることを指す人もいます。

そのため、「ITエンジニアの大半はプログラミングできるか」という問いでは、少なくともコードを読んだり簡単な処理を書いたりできる人は多いものの、高度なアプリケーションを一人で設計・実装できる人ばかりではない、と考えると実態に近いでしょう。

コーディングが下手でも優秀なエンジニアは現実に存在する

結論として、コードを書くことが特別得意ではなくても、優秀と評価されるエンジニアは十分に存在します。

例えば、複雑なシステムの構造を正しく設計できる人、障害発生時に原因を短時間で特定できる人、曖昧な要件から本当に必要な機能を整理できる人などです。

こうした能力はシステム開発の成功に大きく影響します。コードを書く速さだけでは代替できません。

優秀なエンジニアは「たくさんコードを書く人」とは限らない

経験を積んだエンジニアほど、必要以上にコードを書かないことがあります。

例えば若手エンジニアが500行のコードを書こうとしている問題を、既存ライブラリや設計変更によって50行で解決できる場合があります。場合によっては設定変更だけで解決でき、コードそのものが不要なこともあります。

優秀なエンジニアとは「コードを書く人」ではなく、「技術を使って問題を適切に解決できる人」と考えると分かりやすいでしょう。

設計が得意でも実装速度が遅いエンジニアはいる

エンジニアによって得意分野は異なります。アルゴリズムやタイピング速度には自信がなくても、システム全体の構成を考えることが得意な人はいます。

例えば「この機能をどのサービスへ分割するか」「データベースをどう設計するか」「アクセスが100倍になっても耐えられるか」といった判断には、経験と広い技術知識が必要です。

こうした設計能力が高い人は、個々の関数を実装する速度では若手に負けても、シニアエンジニアやアーキテクトとして高く評価されることがあります。

障害対応が得意なエンジニアも非常に価値が高い

本番システムで障害が起きたときは、コードを書く能力だけでは解決できないことがあります。

ログ、CPU使用率、メモリ、データベース、ネットワーク、直前の変更履歴などから原因を推測し、影響範囲を限定して復旧する能力が必要です。

こうしたトラブルシューティング能力が非常に高い人は、実装速度が突出していなくても優秀なエンジニアとして頼られます。

要件を正しく理解できる能力も重要

プログラムは、正しく動けばそれだけで良いわけではありません。「そもそも何を作るべきなのか」を正確に理解する必要があります。

例えば顧客から「検索機能を高速化してほしい」と言われたとき、単純にコードを最適化するのではなく、実際には検索条件の設計やデータベースのインデックスが問題だったということがあります。

利用者の本当の課題を見つけ、必要な技術を選択できる能力は、エンジニアとして非常に重要です。

コードレビューが上手な人も優秀なエンジニア

自分で大量のコードを書くことより、他人が書いたコードを読んで問題を発見することが得意なエンジニアもいます。

「この処理は将来バグになりそう」「この設計ではデータ量が増えたとき遅くなる」「この権限チェックではセキュリティ上危険」といった点をレビューで見抜ければ、チーム全体の品質を高められます。

シニアになるほど、自分のコード量よりもチーム全体の成果へ与える影響が評価されることも増えていきます。

コミュニケーション能力も技術職では重要

エンジニアは一人だけで仕事をするとは限りません。デザイナー、営業、プロジェクトマネージャー、顧客、ほかのエンジニアなど多くの人と協力します。

技術的な問題を非エンジニアにも分かる言葉で説明できる、他人の意図を正確に理解できる、問題点を早めに共有できる、といった能力もプロジェクト成功に大きく影響します。

コーディング能力が非常に高くても、仕様を確認せず独断で実装したり、問題を共有できなかったりすれば、チームでは高い評価を得られないこともあります。

ではコーディングが苦手でも勉強しなくてよいのか

ここは区別して考える必要があります。「コードが得意でなくても優秀になれる」と「コードをまったく理解しなくてもよい」は同じ意味ではありません。

ソフトウェア開発に関わるなら、少なくともコードを読んで処理を理解し、簡単な修正や検証ができる程度の能力は非常に役立ちます。

インフラやネットワークでも、自動化やログ解析のためにPython、Shell、PowerShellなどを書ければ仕事を効率化できます。そのため、プログラミングが主業務でない職種でも基礎を学ぶ価値は高いでしょう。

「コーディングが下手」の意味も分けて考える必要がある

自分を「プログラミングが下手」と感じていても、その理由によって状況は大きく異なります。

例えば「文法をすぐ忘れる」「タイピングが遅い」「ライブラリ名を覚えていない」という問題は、検索やドキュメントを使えば補えます。

一方で、「処理を論理的に分解できない」「他人のコードを理解できない」「バグの原因を考えられない」という状態なら、ソフトウェア開発職では基礎力を鍛える必要があります。

文法を暗記していなくても問題ない

現役エンジニアでも、すべての文法やAPIを暗記しているわけではありません。

普段使わない処理は公式ドキュメントを確認したり、IDEの補完機能を利用したりします。複数言語を扱う人なら「Pythonではどう書くんだっけ」と毎回確認することも珍しくありません。

重要なのは暗記量より、「何を調べれば実現できるか分かる」「見つけた情報が正しいか判断できる」能力です。

コードを書く速度だけで比較しないほうがよい

初心者は「隣の人は30分で作れたのに自分は2時間かかった」といった比較をしがちです。

しかし実務では、速く書いたコードが正しいとは限りません。短時間で実装して大量のバグを生むより、少し時間をかけて仕様を確認し、テスト可能で保守しやすいコードを書くほうが良い場合があります。

もちろん必要以上に遅い状態は改善したほうがよいですが、単純な入力速度だけをエンジニア能力の基準にする必要はありません。

「動けばいいコード」と「良いコード」は違う

プログラミング初心者でも、試行錯誤すれば動くコードを作れることがあります。しかし仕事では、他人が読めること、修正しやすいこと、テストできることも重要です。

例えば同じ処理を10か所へコピーするコードは一時的には動いても、仕様変更のたびに10か所修正しなければならなくなります。

優秀なエンジニアは、現在動くだけではなく、半年後や数年後にメンテナンスする人のことまで考えて設計します。

AI時代でもプログラミングの基礎は重要

生成AIによってコードを作成・補完できるようになり、以前よりプログラムを書く作業そのものは効率化されています。

しかしAIが生成したコードが正しいか、安全か、目的に合っているかを判断するには、エンジニア自身の知識が必要です。

AIを使えば文法を覚える負担は減らせても、アルゴリズム、データ構造、設計、セキュリティ、テストなどの理解が不要になるわけではありません。

シニアになるほどコードを書く時間が減ることもある

キャリアが進むと、設計、レビュー、技術選定、メンバー支援、顧客との調整などに時間を使うようになり、若手時代より自分でコードを書く時間が減るエンジニアもいます。

例えばテックリードやアーキテクトは、複数チームへ影響する設計判断を担当するため、一日中実装しているとは限りません。

それでも技術判断をするためにはコードやシステムへの深い理解が必要なので、「コードを書かない=技術力がない」という意味ではありません。

逆に、プログラミングだけ得意でも優秀とは限らない

非常に速くコードを書けても、要件を誤解して不要な機能を作ってしまえば仕事としては成功とはいえません。

また、動くものを作れるもののセキュリティを考慮しない、テストを書かない、他人が理解できないコードを書く、といった状態ではチームへ負担を与えることがあります。

優秀さは実装速度だけでなく、品質、設計、判断力、協働能力などを含めて評価されます。

優秀なエンジニアに共通しやすい能力

職種によって違いはありますが、実務で評価されやすい能力を整理すると次のようになります。

  • 問題を小さく分解できる
  • 原因を論理的に調査できる
  • 必要な情報を自分で調べられる
  • 既存コードやシステムを理解できる
  • 保守しやすい設計を考えられる
  • 技術的なリスクを説明できる
  • 分からないことを適切に相談できる
  • ユーザーや顧客の目的を理解できる
  • 障害や失敗から改善できる

コーディング能力はこの中の重要な一要素ですが、唯一の評価項目ではありません。

プログラミングが苦手なら職種選びも重要

IT業界へ入りたいものの、コードを書くこと自体がどうしても苦痛なら、職種によって適性が異なります。

ソフトウェア開発者として働くならプログラミングから完全に逃れるのは難しいですが、ネットワーク、インフラ、セキュリティ運用、QAなどではコード以外の専門能力を中心にキャリアを作れる場合があります。

ただしどの職種でも自動化の重要性は高まっているため、最低限のスクリプトを書く力を身につけると長期的には有利です。

初心者なら「上手いか」より「基礎を理解できているか」を見る

プログラミングを始めたばかりの段階では、コードを書くのが遅かったり、エラーを何度も出したりするのは普通です。

重要なのは、「なぜこのコードが動くのか」「エラーが出たらどこを確認するか」「変数・条件分岐・繰り返し・関数などの基礎を理解しているか」です。

経験を積むと同じ処理を何度も書くため、自然に速度も上がっていきます。最初から熟練者と比較する必要はありません。

実務では「分からないことを解決できる力」が重要

ITの技術は非常に広く、一人ですべてを知ることはできません。ベテランでも知らない技術や初めて見るエラーに頻繁に遭遇します。

そのときに公式ドキュメント、ログ、ソースコード、検証環境などを利用して原因を調べられるかどうかが重要です。

その意味では、優秀なエンジニアとは「何でも知っている人」ではなく、分からない問題に遭遇したときに、適切な方法で答えへ近づける人ともいえます。

まとめ:ITエンジニア全員がコーディングの達人ではない

IT業界のエンジニアだからといって、全員が同じレベルでプログラミングできるわけではありません。ITエンジニアにはソフトウェア、インフラ、ネットワーク、クラウド、セキュリティ、QAなど多くの職種があり、仕事でコードを書く量は大きく異なります。

ソフトウェアエンジニアのような開発職ではプログラミング能力が不可欠ですが、インフラやネットワークなどでは、設計、障害対応、OS、クラウド、通信など別の専門能力が中心になることもあります。

そして、プログラミングが特別上手ではなくても優秀なエンジニアは現実的に存在します。システム設計、障害解析、コードレビュー、技術選定、要件整理、コミュニケーションなど、エンジニアの価値を決める能力はコーディング以外にも多数あるためです。

ただし、コードが苦手でもまったく学ばなくてよいという意味ではありません。現在のITでは自動化やAI活用も含め、コードを読んだり簡単な処理を書いたりできる能力は多くの職種で役立ちます。

エンジニアとして重要なのは「何行コードを書けるか」より、技術を使って問題を正しく理解し、安全で保守しやすい方法で解決できるかです。プログラミング能力はそのための重要な道具の一つですが、それだけがエンジニアの優秀さを決めるわけではありません。

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