AIとCGの違いとは?生成AI画像・3DCG・VFXの違いを初心者向けにわかりやすく解説

プログラミング

映画やゲーム、広告、SNSなどで「AIで作った画像」「CG映像」という言葉を目にする機会が増えました。どちらもコンピューターを使って画像や映像を作るため、同じようなものに見えるかもしれません。しかし、AIとCGは本来、まったく異なる概念です。

簡単に整理すると、AIはコンピューターに認識・予測・生成などを行わせるための技術や仕組みであり、CGはコンピューターを利用して画像や映像を作る技術・制作物を指します。つまりAIは「処理する仕組み」、CGは「コンピューターで作られる視覚表現」という違いがあります。

近年は生成AIによって画像や動画を作れるようになったため両者の境界が分かりにくくなっていますが、従来型の3DCGとAI画像生成では制作方法が大きく異なります。この記事では、AIとCGの基本的な違いから、生成AI、3DCG、VFXとの関係まで具体例を交えて解説します。

そもそもAIとは何か

AIはArtificial Intelligenceの略で、日本語では「人工知能」と呼ばれます。人間が行ってきた認識、予測、分類、文章生成、画像生成などの処理をコンピューターによって実現する技術の総称です。

例えば、スマートフォンの顔認証、迷惑メールの判定、文章を生成するチャットAI、写真に何が写っているかを判定する画像認識などもAIの利用例です。

つまりAIは画像を作るためだけの技術ではありません。文章、音声、翻訳、検索、医療画像分析、需要予測など非常に幅広い分野で使われています。

CGとは何か

CGはComputer Graphicsの略で、コンピューターを利用して作成・加工される画像や映像を意味します。日本では特に、映画やゲームに登場する3D映像を「CG」と呼ぶことが多くあります。

ただし本来のComputer Graphicsは3Dだけを意味する言葉ではありません。2Dイラスト、3Dモデル、コンピューターで描いた図形、映像エフェクトなども広い意味ではCGに含まれます。

例えばゲームに登場する3Dキャラクター、建築物の完成予想図、映画の宇宙船、実在しない街並みなどはCGの代表例です。

AIとCGの一番大きな違い

両者の違いを理解するには、「何を指している言葉なのか」を考えると分かりやすくなります。

項目 AI CG
正式名称 Artificial Intelligence Computer Graphics
日本語 人工知能 コンピューターグラフィックス
主な意味 認識・予測・生成などを行う技術 コンピューターで画像・映像を作る技術や制作物
画像以外にも使うか 使う 基本的に視覚表現が中心
代表例 Chat AI、画像生成AI、音声認識 3DCG、ゲーム映像、建築パース

AIは「どうやってコンピューターに処理させるか」という技術の種類で、CGは「コンピューターを使って画像・映像を作る」という表現分野です。

従来のCGは人間が形や動きを細かく作る

従来型の3DCG制作では、CGクリエイターが専用ソフトを使ってモデルを作り、素材を設定し、ライトやカメラを配置して映像を完成させます。

例えば3DCGでリンゴを作る場合、クリエイターがリンゴの立体形状をモデリングし、表面に赤い色や質感を設定し、光源とカメラを配置します。その後、コンピューターにレンダリングさせて最終画像を作ります。

この場合、コンピューターが自分で「リンゴとは何か」を考えているわけではありません。人間が作った形状、材質、光、カメラなどの指示に従って計算しています。

生成AIは文章などの指示から画像を作れる

画像生成AIでは、「夕暮れの海辺を歩く犬」のような文章を入力すると、その内容に対応した画像を生成できます。

利用者自身が犬の3Dモデルを一から作ったり、毛を一本ずつ配置したりする必要はありません。AIモデルが学習したパターンを利用し、入力された指示に応じて画像を生成します。

この点が従来型CGとの大きな違いです。CGでは制作担当者が構造を明示的に作るケースが多いのに対し、生成AIでは完成イメージを言葉や参考画像によって指示し、AIが出力を生成します。

AIで作った画像もCGなのか

広い意味でComputer Graphicsを「コンピューターによって生成・加工された画像」と定義するなら、AIで生成した画像もコンピューターで作られた視覚表現と考えることはできます。

ただし現在の日常的な言葉遣いでは、「CG」と「AI生成画像」を区別して呼ぶことが増えています。「CG制作」と言えばBlender、Maya、3ds Max、Cinema 4Dなどを用いたモデリングやレンダリングを指し、「AI画像」と言えば生成AIモデルによる出力を指すことが多いでしょう。

そのため、実務や作品紹介では単に「CG」と表現するより、「3DCGで制作」「生成AIを使用」のように制作方法まで示すほうが誤解を防げます。

3DCGと生成AIではデータの持ち方も違う

3DCGでは、物体の形状を表す頂点や面、材質、ライト、カメラなどのデータを保持しています。そのため、制作後でもカメラを反対側へ移動したり、キャラクターの腕だけ動かしたりできます。

例えば3Dの自動車モデルがあれば、前から撮影した画像だけでなく、後ろ、横、上からの画像も同じモデルからレンダリングできます。

一方、一般的な画像生成AIが一枚の画像を生成した場合、その画像の中に完全な3Dモデルが存在しているとは限りません。そのため「この人物を真後ろから正確に見せる」と追加指示しても、別の画像として再生成され、細部が変化することがあります。

CGは細かな修正や再現性に強い

従来型3DCGの大きなメリットは、各要素を細かく管理できることです。

例えば商品の広告CGで「ボトルを右へ5cm移動」「カメラを10度下げる」「照明の強さを20%下げる」といった修正を求められた場合、元の3Dシーンを変更して正確に対応できます。

設計、工業製品、建築、商品広告など、寸法や形状の正確性が求められる用途では、このコントロール性が非常に重要です。

生成AIは制作スピードとアイデア展開に強い

生成AIのメリットは、詳細なモデリングをしなくても短時間で大量のイメージを作れることです。

例えばゲームの背景案を検討するとき、「雪に覆われた未来都市」「砂漠にある巨大都市」「海中にある都市」といった案を短時間で複数生成できます。

そのため企画初期のコンセプト作成、アイデア出し、ラフ制作などではAIが大きな力を発揮します。

AIは完成品だけでなくCG制作の補助にも使われる

AIとCGはどちらか一方を選ぶものではありません。現在はCG制作の工程そのものにAIが組み込まれています。

例えばAIによるノイズ除去、画像の高解像度化、モーション生成、背景除去、テクスチャ生成などがあります。3DCGソフトや映像編集ソフトにAI機能が搭載されるケースも増えています。

つまり「AI対CG」という関係ではなく、CG制作を効率化する道具としてAIが使われることもあるのです。

映画で使うCGとAIの違い

映画では、実際には撮影できない建物、怪物、宇宙空間、爆発などをCGで制作することがあります。3Dモデルを作成し、実写映像と組み合わせて一つの映像に仕上げます。

生成AIでも映像を作ることはできますが、映画制作では同じキャラクターやセットを複数カットにわたって正確に維持する必要があります。そのため、従来型CGやVFXの高い制御性が重要になります。

一方でAIは、コンセプトアート作成や一部の作業自動化など、映画制作工程を補助する目的にも利用できます。

VFXとCGは同じものではない

映画について調べると「VFX」という言葉もよく登場します。VFXはVisual Effectsの略で、実写映像へさまざまな視覚効果を加える技術を指します。

例えば俳優をグリーンバックで撮影し、背景へCGで作った宇宙空間を合成する作業はVFXの一例です。CGはVFXを構成する手段の一つとして利用されます。

つまり「CG=VFX」ではありません。CGで作った映像だけの作品もありますし、VFXではCG以外にも実写素材の合成や色調整などさまざまな技術を利用します。

ゲームの3DキャラクターはAIではなくCGが基本

3Dゲームに登場するキャラクターは一般にCGです。人間が3Dモデルを作り、骨格を設定してアニメーションさせています。

例えばプレイヤーがキャラクターを横から見ても後ろから見ても形が維持されるのは、ゲーム内に立体的な3Dモデルが存在しているためです。

ただし現在では、キャラクターの会話、敵の行動、モーション制作補助、テクスチャ作成などへAIを利用することもあります。このように一つのゲームの中でCGとAIが同時に利用されることがあります。

イラスト制作でもAIとCGは区別される

ペンタブレットとイラストソフトを使って人間が絵を描いた場合も、広義にはコンピューターグラフィックスに含められます。ただし日常では「デジタルイラスト」と呼ばれることが一般的です。

一方、画像生成AIへ文章を入力して出力された画像は「AIイラスト」「AI生成画像」などと呼ばれます。

見た目が似ていても、誰がどの工程を制作したのかが大きく異なるため、現在は制作方法を区別して表現することが多くなっています。

写真・CG・AI画像の違い

3種類を比較するとさらに分かりやすくなります。

種類 基本的な作り方 例
写真 現実の光景をカメラで撮影 人物写真、風景写真
CG コンピューター上で形・色・光などを制作 3Dキャラクター、建築パース
生成AI画像 学習済みAIへ指示して画像を生成 文章から生成したイラスト・写真風画像

ただし実際の作品では写真へCGを合成し、その一部にAI処理を使うなど複数の技術を組み合わせることもあります。

「AIっぽい」「CGっぽい」という見た目だけでは判別できない

非常にリアルなCGは写真のように見えることがあります。一方、生成AIも写真のような画像を作れます。そのため完成した一枚だけから制作方法を確実に判別することは難しくなっています。

「肌が滑らかだからCG」「少し不自然だからAI」といった見分け方だけでは正確ではありません。人間が意図的に同じ表現を作ることもできるからです。

制作方法を正確に知るには、作者の説明、制作工程、元データなどを確認する必要があります。

AI画像にも人間の作業が入ることがある

AI生成画像というと、「ボタンを押しただけで完成する」と思われることがありますが、作品によって制作工程は異なります。

生成した画像をPhotoshopなどで修正したり、複数画像を合成したり、色調整や加筆を行ったりする場合もあります。

そのためAIを利用した作品でも、AI生成と人間によるCG・画像編集が組み合わされているケースがあります。

3DCGにもAI機能が入り始めている

逆方向の組み合わせもあります。3DCG制作では従来、人間が大量の手作業を行っていましたが、一部の工程をAIで自動化できるようになっています。

例えば画像から材質を推定する、モーションを生成する、ノイズを除去する、人物を切り抜くといった処理です。

したがって今後は「AI作品」「CG作品」という単純な二分法ではなく、「どの工程にAIを利用したのか」を見ることが重要になっていくでしょう。

AIとCGはどちらが優れているという関係ではない

AIとCGでは目的や得意分野が異なるため、「AIのほうがCGより新しいから全部優れている」という関係ではありません。

AIは短時間で大量の案を生成することが得意です。一方、従来型CGは細かな寸法、形状、カメラ、アニメーションなどを正確に制御することに優れています。

例えば「未来都市のイメージを100案欲しい」なら生成AIが便利です。一方、「設計図通りの建物を正確な寸法で3D化したい」なら3DCGやCAD・BIMのほうが適しています。

仕事によって求められる技術も異なる

CGクリエイターの仕事では、3Dモデリング、テクスチャ、ライティング、リギング、アニメーション、レンダリングなどの専門技術が求められます。

AIを利用する仕事では、AIモデルへの指示だけでなく、生成結果の選別、修正、著作権・利用規約の確認、既存制作工程への統合などが必要になります。

今後はCGの専門知識を持ちながらAIも活用できる人材が求められる場面も増えると考えられます。

著作権や利用条件も制作方法によって確認が必要

CG制作では、他人が作った3Dモデル、テクスチャ、写真などを使う場合、それぞれのライセンスを確認する必要があります。

生成AIでも、サービスごとに生成物の利用条件や商用利用条件が異なります。また実在人物や既存キャラクターを扱う場合には、肖像権、著作権、商標など別の権利が問題になる可能性があります。

作品を仕事や販売に使用するなら、「AIだから自由」「CGだから自由」と考えず、使用した素材やサービスの規約を個別に確認することが重要です。

初心者向けに一言で説明するとどうなる?

最も簡単に説明するなら、CGは「コンピューターで絵や映像を作ること」、AIは「コンピューターに学習・判断・生成などをさせる技術」です。

3DCGでは人が模型のような立体データを作り、それをコンピューターに描画させます。画像生成AIでは、「こんな画像を作って」という指示をAIへ渡し、AIモデルが画像を生成します。

そして現在では、その二つを組み合わせて作品を作ることも珍しくありません。

まとめ:AIは技術、CGはコンピューターによる画像・映像表現

AIとCGは似た場面で目にすることがありますが、本来意味するものは異なります。

AIは人工知能というコンピューター技術の総称であり、CGはコンピューターを利用して作成される画像・映像や、その制作技術を指します。AIは文章生成や音声認識にも利用されるため、画像だけの技術ではありません。

従来型の3DCGでは、人間が3Dモデル、材質、照明、カメラなどを細かく設定します。そのため正確な形や修正、複数アングルでの再利用などに強みがあります。一方、生成AIは文章や参考画像から短時間で多くのイメージを生成することが得意です。

また現在ではCG制作の中にAIが組み込まれることも増えています。AIによるテクスチャ生成やノイズ除去、モーション制作補助などがその例です。

そのため「AIとCGはどちらか一方」というより、AIという技術をCG制作にも活用できる関係と考えると理解しやすいでしょう。完成画像だけを見るのではなく、「どのような方法で作られたか」を見ることが、AIとCGの違いを理解するポイントです。

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