通信プロトコルの理解を深めるためには、RTT(Round Trip Time)のカウント方法に関する混乱を解消することが重要です。特に、TCPの3-wayハンドシェイクやTLS、QUICなど、異なるプロトコルにおけるRTTのカウント基準は一貫していないように感じることがあります。この記事では、RTTの数え方、そして「0RTT」や「0.5RTT」の違いについて解説します。
RTTとは?
RTT(Round Trip Time)は、通信パケットが送信元から宛先まで往復するのにかかる時間を指します。つまり、データを送信してからその応答を受け取るまでの時間です。この値は、ネットワークの遅延や通信の応答速度を測るために重要な指標です。
RTTは、通信のパフォーマンスを評価する際に最も基本的な指標の一つであり、ネットワークの品質や速度を測る上で非常に重要です。
TCP 3-wayハンドシェイクとRTT
TCPの3-wayハンドシェイクでは、最初にクライアントがSYNパケットをサーバに送信し、サーバからSYN-ACKパケットが返され、最後にクライアントがACKパケットを送信します。このプロセスで、SYN → SYN-ACKのやりとりを「0.5RTT」と表現することがあります。
なぜ、SYNの送信を0RTTとし、SYN-ACKの受信で0.5RTTとしてカウントされるのでしょうか?これは、最初のSYNパケット送信は、サーバからの応答が待たれる前段階にあたるため、往復の時間を測定するにはまだ「完了していない」段階だからです。
TLSとQUICのハンドシェイクでの0RTTと0.5RTT
TLSやQUICの通信では、ClientHelloメッセージの送信が「0RTT」と表現されることがあります。ClientHelloメッセージの送信時点で、通信の開始に向けた準備が整っているため、最初のアクションとして0RTTがカウントされるのです。
一方で、TLSやQUICでは「0.5RTT」という表現が使われる場合もありますが、これは通信の応答が返ってくる段階を示すものとして、1回の往復時間に対する半分の時間を指します。これにより、0RTTと0.5RTTの違いが生じます。
RTTのカウント基準の違い
RTTを「パケット数」で計測するのではなく、「時間」として定義することが一般的です。パケットが送信されてから応答が返ってくるまでの所要時間がRTTとして計測されます。
通信プロトコルごとにRTTのカウント基準が異なる理由は、プロトコルの設計や目的、処理方式に基づくものであり、パケットの送受信時点やネットワークの特性によってカウント方法が変化します。
まとめ:RTTの理解とプロトコルごとの違い
RTTは通信パフォーマンスの指標として重要な役割を果たしますが、プロトコルごとにそのカウント基準が異なるため、適切に理解することが求められます。TCP、TLS、QUICなど、異なる通信手段でRTTをどのように数えるかについて把握しておくことで、ネットワークのパフォーマンスをより正確に評価できるようになります。


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