AutoCAD Mechanical 2026で陰線処理を行うと、隠れている輪郭が破線として表示されます。この陰線はAutoCAD Mechanicalの自動プロパティ管理によって専用のMechanical画層へ割り当てられるため、通常のAutoCADで線を描いたときとは少し設定方法が異なります。
標準設定では、陰線はAM_3というMechanical画層に割り当てられます。Autodeskの資料でも、Hidden LineおよびHidden Line, Narrowの既定画層としてAM_3が使用されることが示されています。[参照]
ただし、AM_3の画層プロパティに「線種尺度」という項目がないのは異常ではありません。破線のピッチは画層そのものではなく、線種のパターンとAutoCADの線種尺度によって決まります。そのため、破線を細かくしたり粗くしたりするには、LTSCALEや個別オブジェクトの線種尺度、あるいはMechanical側で使用する線種そのものを調整します。
- AutoCAD Mechanicalの陰線はAM_3画層で管理される
- AM_3に「線種尺度」の欄がないのは正常
- まず試したいのはLTSCALEの変更
- LTSCALE変更の具体的な手順
- 陰線だけ変更したいならオブジェクトの「線種尺度」を確認する
- 陰線処理にはAMSHIDEが推奨されている
- AM_3で使われている線種そのものを確認する
- Mechanical側で陰線の線種を変更する方法
- Object Property Settingsを開く手順
- 線種を変える場合は図面途中よりテンプレート設定が理想
- 線種そのものと線種尺度は別の設定
- LTSCALEとCELTSCALEの違い
- モデル空間では良いのにレイアウトで崩れる場合
- 線種変更後に見た目が変わらない場合はREGENを実行
- AMSHIDEで作成した陰線を直接分解・編集するのは慎重に
- 破線を細かくしたい場合の具体例
- ただしLTSCALEを極端に変えると中心線まで崩れる
- Mechanical画層の設定は通常画層と同じ感覚で変更しすぎない
- Ver.2026でも基本的な考え方は同じ
- おすすめの確認順序
- まとめ:AM_3に尺度欄がないのは正常。陰線ピッチはLTSCALEか線種設定で調整する
AutoCAD Mechanicalの陰線はAM_3画層で管理される
AutoCAD Mechanicalには「Automatic Property Management(自動プロパティ管理)」という仕組みがあります。Mechanicalコマンドで作成されたオブジェクトは、現在選択している通常画層とは関係なく、種類ごとにあらかじめ設定されたMechanical画層へ配置されます。
Autodesk公式ヘルプでは、Mechanicalコマンドで作成されたオブジェクトについて、色、線の太さ、線種などが「layer definitions」と呼ばれる事前設定から取得されると説明されています。必要な画層が存在しない場合には、自動的にMechanical画層が作成されます。[参照]
そのため、陰線処理を実行した結果AM_3へ入ること自体は正常な挙動です。
AM_3に「線種尺度」の欄がないのは正常
AutoCADの画層プロパティ管理では、画層ごとに色、線種、線の太さなどを設定できます。しかし「線種尺度」は基本的に画層単位のプロパティではありません。
線種尺度は、図面全体へ適用されるLTSCALEと、各オブジェクトごとに持つ線種尺度の組み合わせによって決まります。Autodesk公式ヘルプでも、全体の線種尺度はLTSCALE、現在作成するオブジェクトの線種尺度はCELTSCALE、既存オブジェクトについてはプロパティパレットの「線種尺度」で変更できると説明されています。[参照]
したがって、「AM_3の設定画面を見てもピッチを変更する数値欄がない」という状態は仕様上自然です。
まず試したいのはLTSCALEの変更
図面内の破線全体のピッチを調整したい場合、最も分かりやすいのがLTSCALEです。コマンドラインへLTSCALEと入力し、数値を変更します。
LTSCALEの値を小さくすると、破線パターンの繰り返しが細かくなります。つまり、破線一本あたりの長さや隙間が短くなります。反対に値を大きくすると、破線のピッチが粗くなります。
例えば現在LTSCALEが1で破線が長すぎる場合は、0.5や0.25を試します。逆に破線が細かすぎて実線のように見える場合は、2や5など大きな値を試します。
LTSCALE変更の具体的な手順
操作はコマンドラインから簡単に行えます。
- コマンドラインへ「LTSCALE」と入力してEnterを押す
- 現在値が表示されたら、新しい倍率を入力する
- 例えば「0.5」と入力してEnterを押す
- 必要に応じて「REGEN」または「REGENALL」を実行する
- 陰線の破線ピッチを確認する
一度で適切な値を決める必要はありません。0.5、0.25、2など少しずつ変更し、印刷尺度とのバランスを見ながら決めるとよいでしょう。
LTSCALEは図面全体の線種へ影響するため、中心線などほかの破線系線種も同時に変化する点には注意してください。
陰線だけ変更したいならオブジェクトの「線種尺度」を確認する
図面全体ではなく、特定の陰線だけピッチを変えたい場合は、その陰線オブジェクトを選択し、プロパティパレットを確認します。
通常のAutoCADオブジェクトであれば、プロパティ内に「線種尺度」という項目があり、例えば1を0.5へ変更すると、そのオブジェクトだけ破線パターンを細かくできます。
ただし、AMSHIDEなどAutoCAD Mechanicalの陰線処理によって管理されている線は、通常の独立した線分とまったく同じ扱いにならない場合があります。陰線処理の「hide situation」として管理されている場合には、Mechanical側の自動更新によって設定が再適用される可能性があります。
陰線処理にはAMSHIDEが推奨されている
AutoCAD Mechanicalでは、隠れている輪郭を自動判定する機能としてAMSHIDEとAM2DHIDEがあります。
Autodesk公式では、AMSHIDEはMechanical Structure用として設計され、AM2DHIDEは非Mechanical Structure用として開発されたものの、その後AMSHIDEが拡張され、現在はAMSHIDEの使用が推奨されています。[参照]
AMSHIDEで作成された「hide situation」は、前景・背景オブジェクトを移動または変更すると陰線も自動更新されます。そのため、陰線を普通の線分として個別修正するより、Mechanicalの管理方法に沿って設定するほうが安定します。
AM_3で使われている線種そのものを確認する
破線のピッチが極端に不格好な場合は、倍率だけではなくAM_3へ設定されている線種を確認する価値があります。
Autodeskの設定例では、AM_3は陰線用画層として使用され、ISO系設定ではAM_ISO02W050というHidden系線種が使用される例が示されています。[参照]
使用している製図規格がISO、JIS、ANSIなどのどれになっているかによって、Mechanical側が採用する線種も異なる可能性があります。単純にLTSCALEを変更するだけでは好みのピッチにならない場合、線種設定そのものを確認します。
Mechanical側で陰線の線種を変更する方法
AutoCAD Mechanicalでは、Mechanicalオブジェクトに使用する線種を「Object Property Settings」で設定できます。
Autodesk公式のAutoCAD Mechanical 2026向け手順では、コマンドラインからAMOPTIONSを実行し、「AM:Standards」タブから現在の製図規格を開き、「Object properties」の「Settings」へ進むことでオブジェクトプロパティ設定を変更できます。[参照]
ここではMechanicalオブジェクトごとに画層、色、線種、線の太さなどを設定できます。
Object Property Settingsを開く手順
AutoCAD Mechanical 2026では、次の順番で確認できます。
- コマンドラインへ「AMOPTIONS」と入力する
- 「AM:Standards」タブを開く
- Standard Elementsの最上位にある現在の規格名をダブルクリックする
- Standard Settingsダイアログの「Object properties」欄にある「Settings」をクリックする
- Object Property Settingsを開く
- Hidden Lineまたは陰線に関連するカテゴリ・オブジェクトを探す
- 「Linetype」列で現在設定されている線種を確認する
Autodesk公式では、この画面からMechanicalオブジェクトのLinetypeを選択できることが明記されています。[参照]
線種を変える場合は図面途中よりテンプレート設定が理想
Object Property Settingsで陰線の線種を変更できても、すでに作成済みの陰線へ必ず反映されるとは限りません。
Autodesk公式でも、オブジェクトプロパティ設定は描画を始める前に変更することを推奨しており、途中で設定を変更した場合は既存オブジェクトが更新されない場合があると説明しています。図面整合性を優先するためです。[参照]
会社で毎回同じ体裁の図面を作るなら、適切なAM_3線種や尺度を設定したDWTテンプレートを作成しておくと効率的です。
線種そのものと線種尺度は別の設定
混同しやすいのが、「どの破線パターンを使うか」と「その破線をどの大きさで表示するか」です。
| 設定 | 役割 | 代表的な設定場所 |
|---|---|---|
| 線種 | 破線パターンそのものを決める | AM_3・Object Property Settings |
| LTSCALE | 図面全体の線種パターン倍率 | コマンドライン |
| オブジェクト線種尺度 | 特定オブジェクトだけの倍率 | プロパティパレット |
| CELTSCALE | これから作成するオブジェクトの線種尺度 | システム変数 |
「破線の種類は気に入っているが間隔だけ変えたい」という場合は、まずLTSCALEまたはオブジェクト線種尺度を調整します。「破線の長さと隙間の比率そのものが気に入らない」場合は線種を変更するほうが適しています。
LTSCALEとCELTSCALEの違い
LTSCALEは図面全体へ掛かる倍率です。それに対してCELTSCALEは、これから新しく作成するオブジェクトに設定される個別の線種尺度です。
Autodesk公式では、例えばLTSCALEが0.5でCELTSCALEが2の場合と、LTSCALEが1でCELTSCALEが1の場合には同じ見た目になる例が示されています。つまり最終的な破線表示は複数の尺度が掛け合わされて決まります。[参照]
既存図面だけ調整するならLTSCALEを確認することが多いですが、新規作図時からおかしい場合にはCELTSCALEも確認すると原因を切り分けられます。
モデル空間では良いのにレイアウトで崩れる場合
モデル空間ではきれいな破線なのに、レイアウトのビューポートで見るとピッチが不揃いに感じる場合は、LTSCALEだけでなくペーパー空間の線種尺度に関する設定も確認します。
AutoCADではPSLTSCALEなどによって、異なる尺度のビューポート内でも線種パターンを紙面上で揃えて表示することができます。
例えば1:10と1:50のビューポートが同じレイアウト上にある場合、設定によっては両者の破線表示が異なって見えます。最終成果物が印刷図面なら、モデル空間だけでなく印刷プレビューでも必ず確認しましょう。
線種変更後に見た目が変わらない場合はREGENを実行
LTSCALEや線種設定を変更しても画面表示がすぐ変わらない場合があります。
その際はコマンドラインへ「REGEN」または「REGENALL」と入力し、図面表示を再生成します。ズーム操作によって表示が更新される場合もあります。
設定値だけを何度も変更する前に、一度再生成して実際の線種パターンを確認することをおすすめします。
AMSHIDEで作成した陰線を直接分解・編集するのは慎重に
陰線が気に入らないからといって、AMSHIDEで作成したhide situationを分解し、普通の線分へ変えてから編集する方法はできるだけ最後の手段にしたほうがよいでしょう。
AMSHIDEのメリットは、前景や背景となる部品を移動・修正した際に陰線が自動的に再計算されることです。Autodesk公式でも、AMSHIDEによるhide situationでは構成オブジェクトの変更や移動に合わせて隠線が更新されると説明されています。[参照]
手動線分へ変換すると、この自動更新機能を失う可能性があります。まずは線種尺度・線種設定で体裁を整えることをおすすめします。
破線を細かくしたい場合の具体例
例えば陰線が「―― ―― ――」のように長く、機械図面として間延びして見えるとします。
現在のLTSCALEが1.0なら、まず0.5へ変更します。それでも粗ければ0.25へ変更します。線種パターンそのものが適切なら、これだけで「― ― ― ―」のように細かなピッチになります。
反対に、破線が細かすぎて印刷すると実線に見えてしまうなら、LTSCALEを1から2へ上げるなどして調整します。
ただしLTSCALEを極端に変えると中心線まで崩れる
AM_3の陰線だけを見てLTSCALEを極端に小さくすると、AM_7などで使用している中心線の一点鎖線も細かくなります。
その結果、陰線はちょうど良くても中心線の一点鎖線が判別しづらくなることがあります。LTSCALEは図面全体に効くためです。
このような場合は、全体のLTSCALEを標準的な値へ戻し、AM_3で使用している線種そのものをMechanical設定で変更する、あるいは対象オブジェクトの個別線種尺度を利用する方法を検討します。
Mechanical画層の設定は通常画層と同じ感覚で変更しすぎない
AM_3などのMechanical画層は、AutoCAD Mechanicalの自動プロパティ管理と連動しています。
通常のLAYERコマンドで色や線種を直接変更することも状況によっては可能ですが、Mechanicalコマンドが再び設定を適用した際に意図しない結果になる場合があります。
恒久的に陰線の既定設定を変えたい場合は、AMOPTIONSからObject Property Settingsを開き、Mechanical側の定義として変更するほうが適しています。
Ver.2026でも基本的な考え方は同じ
AutoCAD Mechanical 2026でも、AMSHIDEは前面・背面オブジェクトを指定して陰線を生成する機能として提供されています。Autodeskの2026公式ヘルプでは、重なった背面オブジェクトの線種を変更して隠れた輪郭を示す仕組みであると説明されています。[参照]
また、陰線を表示・非表示にする専用コマンドもあり、「Show Hidden Lines」を利用すると隠れたエッジを破線表示できます。[参照]
したがって、Ver.2026でAM_3へ入る陰線についても、画層に線種尺度欄を探すのではなく、AutoCADの線種尺度とMechanicalのオブジェクトプロパティ設定を分けて考えると理解しやすくなります。
おすすめの確認順序
陰線の体裁だけを改善したい場合は、次の順番で確認すると原因を切り分けやすくなります。
- AM_3にどの線種が割り当てられているか確認する
- コマンドラインでLTSCALEの現在値を確認する
- LTSCALEを0.5や2などへ変更して変化を見る
- REGENを実行して表示を更新する
- ほかの中心線などへの影響を確認する
- 陰線だけ問題が残る場合はAMOPTIONSを開く
- AM:Standards→Standard Settings→Object Property Settingsへ進む
- Hidden Lineの線種設定を確認する
- 必要なら適切なHidden系線種へ変更する
- レイアウト・印刷プレビューでも見え方を確認する
この順番ならMechanicalの自動管理を壊さずに調整できます。
まとめ:AM_3に尺度欄がないのは正常。陰線ピッチはLTSCALEか線種設定で調整する
AutoCAD Mechanical 2026で陰線処理した線がAM_3へ入るのは正常です。AM_3はAutoCAD Mechanicalの既定設定でHidden Line用に使われるMechanical画層です。
一方、AM_3の画層設定に「線種尺度」という数値欄がないのも正常です。線種尺度は画層の属性ではなく、AutoCADのLTSCALEによる全体尺度と、オブジェクトごとの線種尺度によって制御されます。
陰線の破線ピッチを単純に細かく・粗くしたい場合は、まずLTSCALEを変更するのが最も簡単です。値を小さくすれば破線が細かくなり、大きくすれば粗くなります。
ただしLTSCALEは中心線など図面内のほかの線種にも影響します。陰線だけ体裁が悪い場合には、AMOPTIONS→AM:Standards→Standard Settings→Object Property Settingsと進み、Hidden Lineに割り当てられている線種を確認する方法が適しています。
AMSHIDEで生成した陰線は、部品の移動や形状変更に追従して更新されるMechanical独自の管理オブジェクトです。見た目を直すためにすぐ分解・手修正するより、「全体のピッチならLTSCALE」「陰線固有のパターンならMechanicalの線種設定」という順番で調整すると、陰線処理の便利さを維持したまま図面の体裁を整えられます。


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