OSI参照モデルとTCP/IPを初心者向けに解説|プロトコル・ヘッダー・各層の役割がわかるネットワーク基礎

通信プロトコル

ネットワークを学び始めると、OSI参照モデルやTCP/IP、プロトコル、ヘッダーなど普段のインターネット利用では意識しない言葉が多く登場します。しかし、これらはすべて「コンピューター同士が正しく情報をやり取りするための仕組み」を分けて整理したものです。

この記事では、OSI参照モデルとTCP/IPの違い、プロトコルとは何か、なぜヘッダーが必要なのか、TCPやIP、Ethernetがどのような役割を持っているのかを、初心者でも理解できるように具体例を交えて解説します。

そもそもプロトコルとは何か

プロトコルとは、コンピューター同士が通信するときの「約束事」や「ルール」のことです。

人間同士の会話で例えると、日本語で話す人と英語しか理解できない人では会話が成立しません。そこで「この言語で話す」「この順番で情報を伝える」というルールを決める必要があります。コンピューター通信でも同じように、データの形式や送信方法を決めたものがプロトコルです。

例えばHTTPはWebページをやり取りするためのルール、SMTPはメールを送信するためのルールです。一方でTCPやIP、Ethernetは、アプリケーションより下の部分で通信を成立させるためのプロトコルです。

OSI参照モデルとは何か

OSI参照モデルとは、ネットワーク通信の仕組みを7つの階層に分けて整理した考え方です。正式名称は「Open Systems Interconnection」で、日本語では「開放型システム間相互接続」と呼ばれます。

ここでいうOSIはAppleのiOSとは関係ありません。iOSはiPhoneなどで使われるオペレーティングシステムであり、OSI参照モデルとはまったく別のものです。

OSI参照モデルは以下の7層で構成されています。

名称 役割
7層 アプリケーション層 Webやメールなど利用者が使うサービス
6層 プレゼンテーション層 データ形式や暗号化などの処理
5層 セッション層 通信の開始や終了を管理
4層 トランスポート層 データ転送の信頼性を管理
3層 ネットワーク層 IPアドレスによる経路制御
2層 データリンク層 同じネットワーク内での通信
1層 物理層 電気信号やケーブルなど

ただし、現在のインターネットではOSI参照モデルをそのまま使って通信しているわけではありません。主にネットワークを理解するための教科書的なモデルとして利用されています。

TCP/IPモデルとは何か

TCP/IPは現在のインターネットで実際に使われている通信方式の集合です。名前の通り、代表的なプロトコルであるTCPとIPを中心に発展しました。

TCP/IPモデルは一般的に4つの層で説明されます。

役割 代表的なプロトコル
アプリケーション層 ユーザーが利用する通信 HTTP、SMTP、DNS
トランスポート層 データの届け方を管理 TCP、UDP
インターネット層 相手まで届ける経路を管理 IP
ネットワークインターフェース層 実際の通信媒体を扱う Ethernet、Wi-Fi

OSIの7層とTCP/IPの4層は分類方法が違うだけで、考えている内容は似ています。OSIでは細かく分けて説明し、TCP/IPでは実際のインターネット通信に合わせてまとめています。

なぜデータにヘッダーを付けるのか

通信では、送信するデータに「ヘッダー」と呼ばれる情報を追加します。ヘッダーとは、荷物に貼る送り状のようなものです。

例えば宅配便では、中身だけ送っても配達員は届け先が分かりません。そこで住所や名前を書いた伝票を付けます。コンピューター通信でも同じように、データの送り先や種類、順番などを判断するための情報を追加します。

例えばIPヘッダーには送信元IPアドレスや宛先IPアドレスが入り、TCPヘッダーには通信を管理するための番号などが含まれます。コンピューターはこの情報を読み取ることで、どこへ送ればよいか判断できます。

TCPとIPは何をしているのか

TCPとIPは役割が異なります。IPは「どこへ届けるか」を担当し、TCPは「正しく届いたか」を担当します。

例えば東京から大阪へ荷物を送る場合、IPは住所を見て大阪へ向かう経路を決める役割です。一方TCPは、荷物が途中でなくなっていないか、順番通り届いているか確認する配送管理のような役割になります。

Webページを見る場合でも、HTTPだけで通信しているわけではありません。HTTPの下ではTCPが通信を管理し、そのさらに下でIPが相手までデータを届けています。

Ethernetはヘッダーなのか

Ethernetはヘッダーそのものではなく、データリンク層で利用される通信規格です。LANケーブルやネットワーク機器の間で、どのようにデータを送るかを決めています。

Ethernetの通信データにもヘッダーは存在します。そこにはMACアドレスなど、同じネットワーク内で相手を識別するための情報が含まれています。

URLにEthernetが書かれていないのは、URLがアプリケーション層の情報だからです。URLはWebサイトの場所を指定するもので、下の層で使われるEthernetやIPの情報は利用者には見えません。

通信データは何層にも包まれて送られる

ネットワーク通信では、データは各層で情報を追加されながら送信されます。この仕組みをカプセル化と呼びます。

例えばWebページを見る場合、まずHTTPのデータが作られます。そのデータにTCPの情報が追加され、さらにIPの情報、Ethernetの情報が追加されてネットワークへ送られます。

受信側では逆に、Ethernet、IP、TCP、HTTPの順番でヘッダーを取り外しながら元のデータを取り出します。

まとめ

OSI参照モデルやTCP/IPは、コンピューター通信を理解するために役割ごとに分けた考え方です。プロトコルとは通信のルールであり、ヘッダーはデータを正しく届けるための追加情報です。

TCPは通信の信頼性、IPは届け先や経路、Ethernetは同じネットワーク内での通信を担当しています。それぞれが別の役割を持つことで、世界中のコンピューターがインターネットでつながることができます。

最初は複雑に感じますが、「アプリのデータを、複数の担当者が順番に配送する仕組み」と考えると、OSIやTCP/IPの関係が理解しやすくなります。

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