異なるネットワーク間での通信:プライベートIPアドレスとNATの仕組み

ネットワーク技術

ネットワークに関する質問でよく挙がるのが、「異なるネットワークにいる端末に情報をどのように届けるのか?」という点です。特に、インターネットを介した通信において、送信元から受信先に届くまでの経路とその過程が気になる方が多いです。この記事では、異なるネットワークに存在する端末間の通信がどのように行われるのか、特にプライベートIPアドレスとNAT(Network Address Translation)の仕組みについて解説します。

ネットワーク間でのデータ送信の流れ

異なるネットワーク間でデータが送信されるとき、送信元は必ずしも受信先のプライベートIPアドレスを知っているわけではありません。送信元が知っているのは、受信先のグローバルIPアドレス(インターネット上での一意な識別子)だけです。このグローバルIPアドレスを使って、データが送信され、最終的に目的のネットワークに届きます。

まず、送信元端末はインターネットに接続しているルータを経由してデータを送信します。ルータは、受信先のグローバルIPアドレスを見て、データをインターネット上の正しい経路を通して目的地へ届けます。

NAT(Network Address Translation)の役割

異なるネットワーク間でデータが送られる際、重要な役割を果たすのがNAT(Network Address Translation)です。NATは、主にプライベートIPアドレスを使っているネットワーク(家庭や企業内のネットワーク)からインターネットにアクセスする際に必要な仕組みです。

たとえば、家庭内のネットワークで複数のデバイスがインターネットにアクセスしている場合、それぞれのデバイスはプライベートIPアドレスを持っていますが、インターネット上ではグローバルIPアドレスが使用されます。ルータは、家庭内のプライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換し、インターネット上でデータを送信します。この変換を行うことで、複数の端末が1つのグローバルIPアドレスを共有することが可能になります。

データが届いた後のLAN内での処理

目的のネットワークにデータが届いた後、データはルータを通してそのネットワーク内の端末に届けられます。しかし、ここでのポイントは、目的の端末(端末A)のプライベートIPアドレスは送信元には分からないという点です。

この問題を解決するために、ルータはNATテーブルを利用します。NATテーブルは、送信元と受信先のIPアドレスの対応を管理するリストです。受信したデータのグローバルIPアドレスがNATテーブルに一致すると、ルータはそのデータを正しいプライベートIPアドレスに転送します。このプロセスにより、送信元は受信先のプライベートIPアドレスを知らなくても、正確にデータを届けることができます。

実際のNATの動作例

例えば、家庭内の端末Aに情報を送信したいとします。送信元は端末AのグローバルIPアドレスを知っており、そのIPアドレスを使ってルータにデータを送ります。ルータは、このデータがどの端末に送られるべきかをNATテーブルを参照して決定し、端末Aに正しくデータを送信します。

この際、端末AはプライベートIPアドレスを持っており、グローバルIPアドレスはルータが変換したものです。したがって、外部から直接プライベートIPアドレスを知ることはできませんが、NATの仕組みによって、ルータが適切にルーティングします。

まとめ

異なるネットワークにある端末間でデータを送信する際、グローバルIPアドレスを使用して通信が行われ、最終的に目的の端末のプライベートIPアドレスにデータが届きます。NATという仕組みが重要な役割を果たしており、送信元は受信先のプライベートIPアドレスを知ることなく、データを正しく届けることができます。これにより、家庭内や企業内のネットワークで複数の端末が1つのグローバルIPアドレスを使ってインターネットにアクセスすることができるのです。

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