VLANを複数作成し、L2スイッチを束ねているL3スイッチのネットワークにおいて、ARP要求が発生した場合のブロードキャスト通信の挙動に関して疑問を持たれる方が多いです。この記事では、VLAN内で発生するARP要求とその通信の範囲について解説します。
VLANとは
VLAN(Virtual Local Area Network)は、物理的に異なるネットワーク機器を論理的にグループ化し、同一のネットワークセグメントとして扱う技術です。これにより、ネットワーク管理者はトラフィックの分離やセキュリティの向上を図ることができます。
各VLANは異なるサブネットとして設定されることが一般的で、L2スイッチはこれらのVLAN間でデータの転送を行います。ただし、VLAN間の通信を実現するには、L3スイッチまたはルーターが必要となります。
ARP要求とブロードキャスト通信
ARP(Address Resolution Protocol)は、IPアドレスをMACアドレスに変換するためのプロトコルで、ネットワーク内のホストがIPアドレスに対応するMACアドレスを解決するために使用されます。
ARP要求は基本的にブロードキャスト通信であり、同じネットワーク内のすべてのホストに対して送信されます。これは、ARP要求を受け取ったホストが自分のIPアドレスに一致する場合のみ、レスポンスを返すという仕組みです。
VLAN内でのARP要求の挙動
質問にあったシナリオでは、あるVLAN内のホストがARP要求を発した場合、そのARP要求は同じVLAN内のホストにのみ届きます。つまり、VLANに属するホストの間でのみARP要求がブロードキャストされ、他のVLANには届きません。
これは、VLANが物理的に同じネットワークに存在していても、論理的には独立したネットワークとして振る舞うためです。そのため、VLAN内のホスト同士であれば、ARP要求はそのVLANに接続されているすべてのホストに届きますが、他のVLANに接続されているホストには届きません。
VLAN間の通信とL3スイッチの役割
L2スイッチは、VLAN間の通信を直接扱うことはできませんが、L3スイッチ(またはルーター)がVLAN間の通信を管理します。もしVLAN間でのARP要求や通信が必要な場合、L3スイッチがそれを転送し、異なるVLANのホストとの通信を可能にします。
例えば、VLAN 10のホストがVLAN 20のホストにARP要求を送る場合、L3スイッチがARP要求を転送する必要があります。しかし、L2スイッチだけではVLAN間のARP要求を転送することはできません。
まとめ
VLAN内で発生したARP要求は、同じVLAN内のホストにのみ届き、他のVLANには影響を与えません。VLAN間の通信が必要な場合は、L3スイッチやルーターが介在して、それぞれのVLAN間でARP要求を転送する必要があります。
これにより、VLANを活用したネットワーク構成であっても、各VLAN内でのブロードキャスト通信は適切に制御され、ネットワーク全体のトラフィックを効率的に管理することが可能になります。

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