VLAN間ルーティング(Inter-VLAN Routing)は、異なるVLAN(仮想LAN)間での通信を可能にする技術です。今回は、L3スイッチ(Layer 3 Switch)を用いて、異なるVLAN間で通信を行う際の仕組みと、それに関連する問題について解説します。
1. VLANとは?
VLANは、物理的に同じネットワーク上に存在する複数のデバイスを論理的にグループ化するための技術です。これにより、ネットワークトラフィックの分離、セキュリティの向上、帯域幅の最適化などが可能になります。VLANを設定することで、異なるVLAN間での直接的な通信を防ぐことができます。
2. VLAN間ルーティングとは?
VLAN間ルーティングは、異なるVLANに所属するデバイスが通信できるようにするための技術です。通常、VLAN内のデバイスは互いに直接通信できますが、異なるVLAN間では通信ができません。VLAN間ルーティングを行うためには、ルーターまたはL3スイッチを使用して、異なるVLAN間でトラフィックをルーティングする必要があります。
L3スイッチは、VLANごとにインターフェース(SVI: Switch Virtual Interface)を作成し、これを通じてVLAN間の通信を実現します。SVIは、各VLANに対してIPアドレスを割り当て、ルーティング機能を有効にします。
3. L3スイッチによるVLAN間ルーティングの仕組み
L3スイッチでは、異なるVLAN間で通信を行うためには、次の手順が必要です。
- 各VLANに対応するSVIを作成
- SVIにIPアドレスを割り当て
- ルーティング機能を有効化
これにより、L3スイッチはVLAN 10とVLAN 20の間でデータをルーティングできるようになります。例えば、VLAN 10に所属するPCからVLAN 20にあるサーバにアクセスする際、L3スイッチが中継し、データを転送します。
4. アクセスポートとトランクポートの違い
アクセスポート(Access Port)とトランクポート(Trunk Port)は、スイッチにおけるポートの種類です。アクセスポートは1つのVLANに属するデバイスを接続するために使用され、通常、VLANタグは付加されません。これに対して、トランクポートは複数のVLANを通過させることができ、VLANタグを付加して送信します。
VLAN間ルーティングでは、L3スイッチのインターフェースにおいて、各VLANに対して適切に設定されたIPアドレスが使われます。そのため、L3スイッチのポートは、VLAN間でデータを転送できるようにトランクポートとして設定されることが一般的です。
5. VLAN間ルーティングで問題が発生する場合の対処方法
VLAN間ルーティングに関する問題が発生する場合、以下の点を確認してください。
- VLAN間での通信がブロックされていないか
- 各VLANに適切なIPアドレスが割り当てられているか
- SVIの設定が正しいか
- L3スイッチのルーティング機能が有効化されているか
また、L3スイッチが正しく動作しているか、アクセスリスト(ACL)がVLAN間のトラフィックをブロックしていないかも確認しましょう。
まとめ
VLAN間ルーティングは、異なるVLANに所属するデバイスが通信できるようにするために必要な技術です。L3スイッチを使用することで、異なるVLAN間での通信が可能となります。設定には、各VLANのSVIの作成とルーティング機能の有効化が重要です。また、問題が発生した場合は、VLAN設定やルーティング設定、ACLの確認を行うことが解決の手助けとなります。


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