SAP S/4HANAを使用して在庫管理を効率化することは、多くの現場で求められています。特に、有効在庫を計算する際に必要となるデータをどのように抽出し、精度高く管理するかは非常に重要です。この記事では、在庫、未入荷、未出荷のデータを組み合わせて有効在庫を算出する方法と、それに役立つT-codeについて解説します。
SAP S/4HANAにおける在庫計算
在庫計算の基本的な式は「有効在庫 = 在庫 + 未入荷 – 未出荷」となります。この式を基に、日々の在庫管理が行われます。SAP S/4HANAでは、これらのデータをT-code(トランザクションコード)を用いて抽出することが可能です。具体的には、在庫データを表示するために「MB52」T-codeを使用し、未入荷データには「ME80FN」T-code、未出荷データには「COOISPI」T-codeがよく利用されます。
未出荷データの取り扱い
未出荷データには日付制限があり、通常、出荷伝票が作成された2日後までのデータしか表示されません。この制限により、未出荷品の中でも、出荷伝票が先付けされているものや、まだ処理されていないものが漏れがちです。そのため、出荷伝票がまだ作成されていない未出荷品を含めた在庫計算を行うことが重要です。
未出荷データの取得方法
未出荷データを取得するために、通常のT-code「COOISPI」では2日以内のデータしか表示できません。この制限を突破するためには、以下の方法が考えられます。
- カスタマイズされたレポートの作成:未出荷データのカスタムレポートを作成し、出荷伝票が未作成のデータを抽出する
- 特定のフィルタを活用:出荷伝票が先付けされた未出荷品に関連するデータをフィルタリングして抽出する
このような方法を駆使することで、従来のT-codeでは取得できなかった未出荷データも正確に管理することができます。
有効在庫の精度を高めるための実例
実際の運用例として、A社では「MB52」、「ME80FN」、「COOISPI」を用いて在庫計算を行っています。しかし、出荷伝票が先付けされている未出荷品については、通常の「COOISPI」では情報が不十分でした。そこで、A社ではカスタムレポートを作成し、先付け出荷伝票を未出荷データに加えて有効在庫を算出しました。このカスタマイズにより、在庫計算の精度が大幅に向上しました。
まとめ
SAP S/4HANAにおける有効在庫計算は、在庫、未入荷、未出荷のデータを適切に取り扱うことがカギとなります。未出荷データについては、標準のT-codeに加えて、カスタムレポートの作成や特定のフィルタを活用することで、精度の高い在庫計算が可能です。これにより、在庫管理の効率化が進み、現場での業務負担が軽減されるでしょう。


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