企業の人事担当者や労務管理に携わる方にとって、社員の定年退職日を正確に把握することは非常に重要です。特に、定年退職日が「60歳到達後の入社日の前日」といった特定のルールで定められている場合、手作業での計算はミスや手間のもとになります。
この記事では、Excelの関数を使って、生年月日と入社日から定年退職日を自動計算する方法をわかりやすく解説します。人事業務の効率化を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。
定年退職日のルールをExcelで再現するには
まず、今回の定年退職日の定義を明確にしましょう。「定年退職日は、60歳到達後の“入社した日の前日”」とされています。つまり、60歳の誕生日に達した後、初めて迎える“入社記念日”の前日が定年退職日です。
このルールをExcel関数で再現するには、2つの要素を組み合わせて考える必要があります。ひとつは「60歳の誕生日」、もうひとつは「入社記念日(60歳到達以後)」です。
60歳の誕生日を求める関数
生年月日がセルA1に入力されていると仮定して、60歳の誕生日を算出するには以下のようにします。
=DATE(YEAR(A1)+60, MONTH(A1), DAY(A1))
この式は、A1の年に+60年した年月日を算出しており、60歳の誕生日を正確に求めることができます。
入社記念日が60歳の誕生日より前か後かを判定する
入社日がセルB1に入力されている場合、入社記念日が60歳の誕生日よりも前か後かによって定年年が異なります。60歳の誕生日より前なら同じ年、後なら翌年に入社記念日が来ることになります。
この処理は、IF
関数を用いて、以下のようにして制御します。
=IF(DATE(YEAR(DATE(YEAR(A1)+60, MONTH(A1), DAY(A1))), MONTH(B1), DAY(B1)) < DATE(YEAR(A1)+60, MONTH(A1), DAY(A1)), DATE(YEAR(DATE(YEAR(A1)+60, MONTH(A1), DAY(A1)))+1, MONTH(B1), DAY(B1)), DATE(YEAR(DATE(YEAR(A1)+60, MONTH(A1), DAY(A1))), MONTH(B1), DAY(B1)))
この式で、60歳の誕生日を起点に、その後に迎える入社記念日を求めることができます。
定年退職日(前日)を算出する関数
上記で求めた入社記念日から1日引けば、定年退職日となります。最終的には以下のような式で完成します。
=IF(DATE(YEAR(DATE(YEAR(A1)+60, MONTH(A1), DAY(A1))), MONTH(B1), DAY(B1)) < DATE(YEAR(A1)+60, MONTH(A1), DAY(A1)), DATE(YEAR(DATE(YEAR(A1)+60, MONTH(A1), DAY(A1)))+1, MONTH(B1), DAY(B1))-1, DATE(YEAR(DATE(YEAR(A1)+60, MONTH(A1), DAY(A1))), MONTH(B1), DAY(B1))-1)
この関数を用いることで、「60歳到達後の入社記念日の前日」を正確に算出できます。
具体例:生年月日と入社日から定年退職日を求める
たとえば、以下のような例を考えてみましょう。
生年月日(A1) | 入社日(B1) | 定年退職日 |
---|---|---|
1965/3/15 | 1990/5/10 | 2025/5/9 |
1965/7/20 | 1990/3/1 | 2026/2/29 |
このように、関数を使えば毎回手作業で計算する必要がなくなり、制度変更があっても柔軟に対応できます。
運用の際の注意点とアドバイス
この関数を実務で使う際には、社員の生年月日や入社日が正しく入力されていることが前提になります。また、うるう年や2月29日などの日付の扱いにも注意が必要です。
また、シート上で目立つように定年退職日を色付けしたり、データの整合性チェックを入れることで、より信頼性の高い管理が実現できます。
まとめ:Excel関数で定年退職日を正確に管理しよう
この記事では、「60歳到達後の入社記念日の前日」を定年退職日とする制度に対応した、Excel関数の作成方法を解説しました。関数の組み合わせにより、複雑な条件も自動で処理できるため、人事業務の効率化に大いに役立ちます。
日々の業務で「一人ひとりの定年を手作業で管理するのが大変…」と感じている方は、ぜひ今回紹介した方法を取り入れてみてください。
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