AVRマイコン(例:AVR128DA28)を使用したスイッチ操作の割込み処理について、チャタリング対策のためにdelay関数を使用する方法が一般的です。しかし、他の回答者から「割込み関数内でのdelayは適切でない」といった意見を受け、少し疑問に感じることもあります。本記事では、AVRマイコンの割込み処理におけるチャタリング対策とdelayの使用について、注意点と推奨されるアプローチを解説します。
AVRマイコンでのスイッチ操作と割込み処理の基本
AVRマイコンを使ってスイッチの押下を検出する際、通常は外部割込み(例えばINT0)を使います。スイッチが押されたことを検出すると、割込み処理が発生し、関連する処理が実行されます。しかし、物理スイッチを使用する際に問題となるのが「チャタリング」です。
チャタリングとは、スイッチを押したときに内部接点が瞬間的に複数回接触してしまい、意図しない動作を引き起こす現象です。これを防ぐために、割込み処理内で時間待機を行うことが一般的です。
チャタリング対策としてのdelay関数使用
スイッチのチャタリングを防ぐため、割込み処理内で_delay_ms()や_delay_us()などの関数を使用して一定時間待機する方法は多く見られます。この方法では、スイッチが安定するのを待つことで、誤検出を防ぎます。
例えば、以下のようなコードでは、スイッチが押された際に割込み処理内で1ミリ秒の待機時間を設定しています。この処理によって、スイッチのチャタリングを抑制し、安定した操作が可能となります。
if (PORTA.INTFLAGS & (PIN0_bm)) { flag_INT0 = 1; _delay_ms(1); while (!(PORTA.IN & (PIN0_bm))); PORTA.INTFLAGS = PIN0_bm; }
ただし、この方法が常に適切であるとは限りません。次のセクションで、delay関数使用に関する注意点を確認しましょう。
割込み処理内でdelayを使うことの問題点
一部のエンジニアや専門家は、割込み処理内でのdelay関数の使用に対して懸念を抱いています。その理由として、delay関数は時間待機中にCPUをブロックしてしまうため、他の重要な処理が遅延する可能性がある点が挙げられます。
割込みはリアルタイムで処理されるべきであり、delayを使うことで、他の割込みや処理が遅延してしまう場合があります。特に、複数の割込みが発生する可能性があるシステムでは、delayを使用しない方がシステム全体のパフォーマンスを維持するのに有利です。
delayを使わないチャタリング対策
delayを使用せずにチャタリング対策を行う方法としては、以下のようなアプローチが推奨されます。
- ソフトウェア的なデバウンス:スイッチの状態を数回チェックし、安定した信号を確認してから処理を行う方法です。これにより、誤検出を防ぎます。
- ハードウェア的なデバウンス:外部回路を使用して、スイッチのチャタリングを物理的に防ぐ方法です。RCフィルタやシュミットトリガー回路を使うことで、スイッチの信号を安定させます。
- 割込みの無効化:スイッチが押された際に、一定時間割込みを無効化して、再度安定した状態で割込みを再開する方法です。
まとめ
AVRマイコンでのスイッチ割込み処理におけるチャタリング対策として、delay関数を使用する方法は一つのアプローチですが、割込み処理内でのdelay使用には注意が必要です。delay関数を使うことで、他の処理が遅延する可能性があるため、ソフトウェア的・ハードウェア的なデバウンス技術を使う方が望ましい場合もあります。システムの要件に合わせて、適切な方法を選択することが大切です。
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