PLCを用いた位置決めプログラムにおいて、動作を柔軟に制御するために、移動量を動的に設定することはよくあります。特に、移動量が固定値でない場合、どのようにプログラムを組み立てるべきかが悩みの種となります。この記事では、三菱PLC(GXworks)を使用し、コンベアの前進・後退の移動量をGOT(Graphic Operation Terminal)で都度設定する方法について解説します。
三菱PLCでの位置決めプログラムの基本構造
三菱PLCを用いた位置決めプログラムでは、通常、移動量を設定するために位置決めデータ(PMD)を使用します。これにより、コンベアの動作を精密に制御できます。しかし、移動量が固定でなく、ユーザーが都度指定する場合、どのようにプログラムを変更すればよいのでしょうか。
PLCプログラムにおいて、位置決めのためには通常、位置決めデータを設定し、そこから指令を出してモーターを駆動します。しかし、この位置決めデータが動的に変更される場合、その変更方法が鍵となります。
GOTで移動量を都度設定する方法
まず、GOT(Graphic Operation Terminal)を用いて移動量を動的に変更する場合、GOTで設定したデータをPLC側に伝送する仕組みが必要です。この場合、GOTから送信されたデータをPLC内で受け取り、そのデータを基に位置決め指令を出すことになります。
具体的には、GOTに入力された移動量をPLC内の特定のメモリ領域に格納し、そのメモリの値を位置決めデータとして使用します。例えば、移動量が「X方向の移動量」「Y方向の移動量」といった形で入力されると、PLC内のデータレジスタにその値を格納し、位置決めプログラムに反映させる形です。
プログラム内で動的なデータを扱う方法
PLC内で動的にデータを扱う方法として、一般的には「データレジスタ」や「インデックスレジスタ」を使用します。GOTから受け取った移動量をこれらのレジスタに格納し、その後、位置決め用の命令でそのデータを参照することができます。
例えば、三菱PLCでは「位置決め命令(PMD)」や「MOV」命令を使用して、指定された位置に移動することができます。GOTで指定された移動量をそのままPMD命令に渡すことで、動的に移動量を変更することが可能です。プログラム内で、このようにデータを格納し、位置決め命令に適用する方法が一般的です。
移動量を柔軟に制御するための注意点
移動量を動的に変更する場合、いくつか注意点があります。まず、移動量が適切な範囲内で設定されているかどうかをチェックすることが重要です。例えば、過剰な移動量が設定された場合、機械の動作に支障をきたす可能性があります。
また、位置決めプログラムでは、移動中にエラーや異常が発生した場合のエラーハンドリングも重要です。動的に設定された移動量に基づいてエラーチェックを行い、安全に動作できるようにプログラムを組むことが求められます。
実例:GOTでの移動量設定とPLCプログラムの連携
実際のプログラムでは、以下のようにGOTから移動量を受け取り、PLC内で処理を行う流れとなります。
1. GOTで移動量(例:X方向:100mm、Y方向:50mm)を入力。
このデータは、PLC内の特定のメモリ(例:D100、D101)に格納されます。
2. PLC内の位置決め命令(PMD)で、D100(X方向)とD101(Y方向)の値を使用。
これにより、指定された移動量に基づいてコンベアを前進または後退させることができます。
まとめ:動的な移動量設定の実現方法
三菱PLCを用いた位置決めプログラムで、GOTを使用して動的に移動量を設定する方法について解説しました。GOTから入力されたデータをPLC内で処理し、位置決め命令に適用することで、柔軟な動作制御が可能になります。
プログラム内で動的なデータを扱う際は、データの格納方法やエラーチェックに注意し、確実に動作するように設計することが大切です。この方法を使えば、複雑な制御を簡単に実現できます。
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