本記事では、HAD(Health and Adjustment Diary)を用いて、性差を検討するためのt検定におけるデータの取り扱い方法について解説します。特に、「父親」「母親」「親友」「先生」それぞれのサポートについて、どのようにデータを処理するか、また「共行動的サポート」「道具的サポート」「情緒的サポート」の3因子を使ったサポート総合スコアの作成方法を説明します。
1. 連続変数としてのサポート総合スコア作成
まず、サポート総合スコアを作成する際に重要なのは、3因子(共行動的サポート、道具的サポート、情緒的サポート)の得点をどう扱うかという点です。この場合、得点を合計値のまま使用するのか、それとも平均値を算出して使用するのかの選択肢があります。
合計値を使用する方法は簡便ですが、平均値を使用することで尺度間のバランスを保つことができます。どちらを選ぶかは、研究の目的やデータの特性に応じて決定する必要があります。
2. 平均値を使用する場合の計算方法
もし「父親のサポート総合スコア」を作成する際に平均値を使用する場合、各因子(共行動的サポート、道具的サポート、情緒的サポート)の得点を合計し、その合計を因子の数(3因子)で割ることが基本的な方法です。例えば、各因子の得点が以下のようになった場合。
共行動的サポート = 4, 道具的サポート = 5, 情緒的サポート = 6
その合計は15となります。この15を3で割ることで平均値を算出し、5が「父親のサポート総合スコア」として得られます。
3. t検定を行うためのデータ準備
t検定を行うためには、まず性別に基づいてグループを分け、各グループのサポートスコアを比較する必要があります。この時、上記の方法で得られたサポート総合スコア(平均値または合計値)をもとに、性別間で有意差を検定します。
データは性別ごとに分け、t検定を行い、p値が有意水準を下回れば、性差があると判断されます。
4. 性差検討における注意点
性差を検討する際、サンプルサイズや分布、正規性の確認が必要です。特に、サポートスコアが正規分布していない場合には、t検定の使用が適切でない可能性があります。その場合、非パラメトリック検定(例えば、マン・ホイットニーのU検定など)を考慮する必要があります。
5. まとめ
「父親」「母親」「親友」「先生」それぞれのサポートに性差を検討するためには、サポート尺度をどのように計算するかが重要です。平均値を使用することで、尺度間のバランスを取りながら、性別による有意差を検定することができます。データの正規性やサンプルサイズに留意しながら、適切な統計手法を選んで分析を進めることが求められます。


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