Cisco 2901ルーターを使って、NTTのISDN回線を経由し、FXSポートに接続された電話機を使用する際に発生する問題は、正しい設定と配線が行われていないとよく見られます。特に、ダイヤル通話や着信がうまくいかない場合、設定や接続の見直しが必要です。本記事では、CiscoルーターとNTTのISDN回線をうまく連携させるための設定方法や、よくあるトラブルの解決方法について解説します。
1. Cisco 2901ルーターとVIC2-2BRI-NT/TEカードの基本的な設定
Cisco 2901ルーターには、ISDN回線接続用にVIC2-2BRI-NT/TEカードを搭載することで、ISDN回線を通じた音声通話が可能になります。このカードは、NTTのISDN回線に対応しており、ISDN BRIインターフェースを提供します。まず、ルーターにカードが正しくインストールされているかを確認しましょう。
設定を行う前に、VIC2-2BRI-NT/TEカードが正しく認識されているか、Ciscoルーターのコンソールで確認します。以下のコマンドで確認できます。show version
コマンドを実行し、カードが表示されるかを確認します。
2. FXSポートを使用した電話機の接続方法
FXSポートは、電話機を接続するためのポートで、電話機と直接接続できます。電話機の発信を受け付けるためには、FXSポートが正しく設定されている必要があります。Cisco 2901ルーターの設定で、FXSポートに電話機を接続し、通話ができるように設定します。
電話から0発信でISDN回線を通じて外部通話ができるようにするには、以下のような設定が必要です。dial-peer voice 1 pots
というコマンドを使用し、POTS(Plain Old Telephone Service)発信を設定します。
3. NTT ISDN回線での着信設定
ISDN回線にかかってきた通話が着信できない場合、ルーターの設定に問題がある可能性があります。ISDN回線で着信が受けられない理由としては、ISDNの設定や呼び出し番号の設定ミスが考えられます。
NTTのISDN回線の場合、ISDN BRIの設定において、呼び出し番号(DNIS)の設定が必要です。これを正しく設定しないと、着信の呼び出しがうまく処理されません。設定には、isdn incoming-voice-number
を使用して、着信番号を設定します。
4. 日本固有のISDN回線設定の注意点
日本のISDN回線には、特有の設定が必要です。特に、NTTのISDN回線を利用する場合、isdn switch-type
コマンドでISDN回線のスイッチタイプを指定する必要があります。NTT回線では、通常、isdn switch-type primary-ni
を使用します。この設定を行うことで、NTTのISDN回線に対応した通信が可能になります。
また、日本ではISDNの音声通話において、isdn protocol
の設定も重要です。日本のISDNプロトコルに合わせた設定を行い、音声通話がスムーズに行えるようにします。
5. トラブルシューティングと設定の確認方法
設定後に問題が発生した場合、まずはコマンドで状態を確認しましょう。例えば、show dial-peer voice
やshow isdn status
などを使って、ISDN回線やダイヤルピアの状態を確認します。これにより、設定ミスや回線の不具合を早期に発見できます。
さらに、通話のトラブルシューティングとして、debug isdn q931
コマンドを使用して、ISDNの呼び出しプロトコルを追跡することができます。これにより、呼び出しや着信の失敗原因を特定する手助けとなります。
6. まとめ:CiscoルーターとNTT ISDN回線の設定をうまく行うためのポイント
Cisco 2901ルーターを使ってNTTのISDN回線経由で通話を行うためには、VIC2-2BRI-NT/TEカードとFXSポートの設定が正確であることが重要です。特に、ISDN回線における日本特有の設定や、着信番号の設定に注意を払いましょう。
また、設定後には状態を確認し、トラブルが発生した場合にはデバッグコマンドを使って問題の切り分けを行うことが必要です。これらの手順を踏むことで、Cisco 2901ルーターとNTTのISDN回線をスムーズに連携させ、通話トラブルを解決できます。
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