テレワークやクラウドサービス利用が一般化した現在、リモートネットワークの速度低下は業務効率に大きな影響を与える問題です。原因が単純な回線不足の場合もあれば、ネットワーク設計や機器設定、運用体制など複数の要因が関係している場合もあります。
ネットワークが遅いと、利用者からは「情シスは何をしているのか」と感じることがありますが、実際には予算、設備、設計、運用スキル、人員などさまざまな条件によって改善の難易度が変わります。この記事では、社内ネットワークが遅くなる原因と、情シスが担うべき役割、改善するための確認ポイントを解説します。
ネットワークが遅い原因は情シスの問題だけではない
社内ネットワークやリモート接続が遅い場合、まず考えるべきなのは「どこがボトルネックになっているか」です。ネットワーク速度は、インターネット回線、VPN装置、ルーター、スイッチ、サーバー、クラウドサービスなど多くの要素によって決まります。
例えば、契約しているインターネット回線が1Gbpsでも、VPN装置の処理能力が不足していれば、リモート接続時には数十Mbps程度しか出ないことがあります。
また、社員全員が同じ時間帯にオンライン会議やクラウドストレージを利用すると、回線やネットワーク機器に負荷が集中して速度低下が発生します。
情シスが担当するネットワーク管理の範囲
情報システム部門(情シス)の役割は、単にパソコンの設定を行うことではありません。企業のIT環境を安定して利用できるように、ネットワークやサーバー、セキュリティ環境を管理することも重要な業務です。
一般的な情シスのネットワーク関連業務には以下のようなものがあります。
- 社内LANの設計・管理
- インターネット回線やVPN環境の管理
- ネットワーク機器の設定・更新
- 障害発生時の原因調査
- セキュリティ対策
- 通信状況の監視や改善提案
ただし、すべての企業の情シスが高度なネットワーク設計技術を持っているとは限りません。特に中小企業では、少人数でパソコン管理、アカウント管理、システム運用など幅広い業務を担当しているケースもあります。
ネットワーク設計や構築を現場に依頼するケースがある理由
本来、大規模なネットワーク設計や構築は専門的な知識が必要な作業です。しかし企業によっては、情シスの人員不足や経験不足により、現場の詳しい社員へ協力を求める場合があります。
例えば、製造業では工場設備や業務システムについて現場担当者のほうが詳しいことがあります。そのため、ネットワーク変更時に現場の知識を借りながら進めること自体は珍しいことではありません。
一方で、ネットワーク全体の設計やセキュリティ判断まで現場任せになっている場合は、企業としてIT管理体制を見直す必要があります。
リモートネットワークが遅い場合に確認すべきポイント
ネットワーク改善では、感覚的に「遅い」と判断するだけでは原因を特定できません。まずは通信経路ごとに問題箇所を確認することが重要です。
具体的には以下のような確認を行います。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| インターネット回線 | 契約帯域や利用時間帯の混雑状況 |
| VPN装置 | 同時接続数や暗号化処理能力 |
| 社内LAN | スイッチや無線LANの性能 |
| サーバー | CPUやメモリ、ディスク負荷 |
| 利用アプリ | クラウドサービス側の遅延 |
例えば、在宅勤務者だけが遅い場合はVPNや認証環境が原因の可能性があります。一方、社内でも遅い場合はLAN設備や回線そのものに問題がある可能性があります。
ネットワーク改善には経営側の投資判断も重要
ネットワーク環境を改善するには、情シスの努力だけでは解決できないケースもあります。古いルーターやスイッチを交換したり、回線を増強したりするには費用が必要です。
経営側がネットワークを単なるコストと考えて投資を抑えると、業務効率低下や社員のストレスにつながります。
例えば、社員100人が毎日30分ずつネットワーク遅延で待たされる場合、年間では大きな時間損失になります。ネットワーク改善は単なる設備更新ではなく、生産性向上への投資として考えることが重要です。
優秀な情シスに求められるネットワーク対応とは
ネットワーク管理で重要なのは、障害が起きてから対応するだけではなく、問題が起きにくい環境を作ることです。
具体的には、通信量の分析、機器の定期更新、障害時の手順整備、外部専門業者との連携などが求められます。
また、すべてを社内だけで対応する必要はありません。高度なネットワーク設計が必要な場合は、ネットワーク専門会社やベンダーへ相談し、情シスは全体管理や調整役を担う方法もあります。
まとめ
リモートネットワークや社内ネットワークが遅い原因は、情シスの能力不足だけで決まるものではありません。回線容量、ネットワーク機器、設計、予算、人員など複数の要素が関係しています。
情シスにはネットワークを安定運用する役割がありますが、必要な設備投資や人材確保がなければ十分な改善は難しくなります。
ネットワーク速度の問題を解決するには、まず原因を技術的に分析し、その結果をもとに適切な改善策を実施することが重要です。情シス、経営層、利用部門が協力してIT環境を整備することが、快適な業務環境につながります。


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