KEYENCEのKV STUDIOからラダーなどをPDF化しようとした際、Microsoft Print to PDFを選択するとKV STUDIOが「応答なし」になり、保存先にはPDFファイルが作成されているものの容量が0KBのままになることがあります。この状態ではPDFの生成処理が最後まで完了していないため、Adobe Acrobat Readerなどで開こうとしてもエラーになります。
原因としては、印刷対象データが大きくて処理に時間がかかっている場合だけでなく、Windowsの印刷スプーラー、Microsoft Print to PDF、KV STUDIO側の印刷処理、特定プロジェクトの印刷データなどが考えられます。20分以上0KBのまま変化せず、アプリも応答なしであれば、単純に待てば完成する状態とは限りません。
重要なのは、いきなりKV STUDIOやプロジェクトを再インストールするのではなく、「KV STUDIO固有の問題なのか」「そのプロジェクトだけなのか」「Microsoft Print to PDF自体の問題なのか」を順番に切り分けることです。
- 0KBのPDFはまだ正常なPDFとして完成していない
- 最初に別のアプリからMicrosoft Print to PDFを試す
- KV STUDIOで小さい範囲だけ印刷してみる
- データが重い場合はPDFを分割して出力する
- 特定ページで必ず止まる場合はそのページを疑う
- Print Spoolerを再起動する
- 印刷キューに停止中のジョブが残っていないか確認する
- Microsoft Print to PDF自体を入れ直す方法
- Windows Updateを確認する
- 保存先をローカルの短いパスに変更して試す
- Cドライブの空き容量と一時フォルダも確認する
- タスクマネージャーでCPU・メモリの状態を見る
- KV STUDIOの別プロジェクトで印刷してみる
- KV STUDIOのバージョンを確認する
- 強制終了する前にプロジェクトの保存状況を確認する
- データ量が原因かどうかを切り分けるチェック表
- 大規模データなら最初から分割PDFを運用する方法もある
- それでもKV STUDIOだけ停止する場合はKEYENCEサポートへ確認する
- まとめ|0KBなら待つだけでなく「小分け印刷」とPrint to PDFの切り分けを行う
0KBのPDFはまだ正常なPDFとして完成していない
Microsoft Print to PDFで印刷を開始すると、保存先にファイル名だけ先に作成される場合があります。しかし、その時点ではPDF内部のデータがすべて書き込まれているとは限りません。
保存先にファイルが存在していてもサイズが0KBであれば、PDF生成処理が途中で停止している可能性が高い状態です。そのため、PDFを開こうとして「この文書を開く時にエラーが発生しました」「別のアプリケーションで使用中です」と表示されても、PDF閲覧ソフト側の故障とは限りません。
0KBの状態では、まずPDFビューアーではなく「なぜ印刷処理が完了していないのか」を調べる必要があります。
最初に別のアプリからMicrosoft Print to PDFを試す
原因を切り分ける最も簡単な方法は、KV STUDIO以外のアプリからMicrosoft Print to PDFを使ってみることです。例えばメモ帳で数行の文章を作り、「印刷」からMicrosoft Print to PDFを選択してPDF化します。
これで正常なPDFを作成できるのであれば、WindowsのPDFプリンターそのものは動作しており、KV STUDIO側または印刷しようとしているプロジェクト側に原因がある可能性が高くなります。
反対に、メモ帳や別のアプリでもPDF化できない、0KBになる、印刷が止まる場合には、KV STUDIOより先にWindowsの印刷機能を修復したほうがよいでしょう。Microsoftも印刷障害の切り分けとして、別のアプリや別ファイルから印刷を試す方法を案内しています。[参照:Microsoft「Word、Excel、またはその他のアプリでの印刷の問題を修正する」]
KV STUDIOで小さい範囲だけ印刷してみる
他のアプリではPDF化できる場合、次はKV STUDIOで印刷対象を小さくして試します。全プログラムや大量のラダーを一度にPDF化しているなら、数ページだけ、あるいは一つのプログラムだけを選択して印刷します。
例えば全体では数百ページ相当になるプロジェクトを印刷して応答なしになる場合、まず1~5ページ程度をMicrosoft Print to PDFへ出力します。小さい範囲なら正常に生成でき、ページ数を増やすと止まるのであれば、印刷処理の負荷が原因である可能性が高くなります。
この方法であれば、プロジェクトデータそのものを変更せずに「データ量が原因か」を確認できます。
データが重い場合はPDFを分割して出力する
大きなラダープログラムを一括PDF化すると、印刷データの生成に大量のメモリや一時領域を使用することがあります。この場合は一度に全ページを出力せず、範囲を分けてPDF化する方法が有効です。
例えば500ページ相当を一括で出力するのではなく、「1~100ページ」「101~200ページ」のように複数ファイルへ分割します。正常にPDF化できれば、必要に応じて後からPDF結合ソフトで一つにまとめることもできます。
大容量データでだけ停止するなら、分割印刷は原因確認と実用的な回避策を兼ねた方法です。特に印刷プレビュー生成の段階で負荷が高い場合には効果があります。
特定ページで必ず止まる場合はそのページを疑う
分割して印刷すると、例えば1~100ページは成功するのに101~200ページだけ止まる、といった違いが分かる場合があります。この場合は単純な総データ量ではなく、その範囲に含まれる特定の印刷データが原因である可能性があります。
さらに101~150、151~200のように範囲を狭めていけば、問題が起きるページを特定できます。特定のページだけPDF化できないなら、そのページのコメント、図、特殊な文字、印刷設定などを確認します。
プロジェクトそのものが正常に動作していても、印刷時だけ利用される情報によって問題が起こることはあります。そのため「PLCプログラムが正常=印刷データも必ず正常」とは限りません。
Print Spoolerを再起動する
Windowsでは、印刷ジョブを「Print Spooler」というサービスが管理しています。このサービス内でジョブが詰まると、アプリ側が印刷完了を待ち続けて応答なしのようになる場合があります。
まずKV STUDIOを終了できる状態にしたうえで、Windowsキー+Rを押し、services.mscと入力します。「Print Spooler」を探して右クリックし、「再起動」を選びます。
Microsoftも印刷トラブルの対処方法としてPrint Spoolerの再起動を案内しています。[参照:Microsoft 印刷トラブルシューティング]
印刷キューに停止中のジョブが残っていないか確認する
一度PDF保存に失敗すると、Windowsの印刷キューに失敗したジョブが残り、その後の印刷処理まで止めることがあります。
「設定」→「Bluetoothとデバイス」→「プリンターとスキャナー」からMicrosoft Print to PDFを開き、印刷キューを確認します。保留中やエラー状態のジョブが残っていればキャンセルします。
ジョブを削除できない場合は、先ほどのPrint Spooler再起動後にもう一度確認します。その後KV STUDIOを再起動し、まず少量のページでPDF化できるか試します。
Microsoft Print to PDF自体を入れ直す方法
別のアプリからもPDFを正常に作れない場合は、Microsoft Print to PDF機能自体に問題が起きている可能性があります。
Windowsで「Windowsの機能の有効化または無効化」を開き、「Microsoft Print to PDF」のチェックを一度外して再起動し、その後再びチェックを入れて有効化することで機能を再構築できます。
Microsoft Print to PDFについては過去にWindows 11の一部更新プログラムによって正常に動作しない既知の問題も発生しており、Microsoftは後続アップデートで修正しています。そのためWindows Updateを最新状態にすることも重要です。[参照:Microsoft Windows 11更新情報]
Windows Updateを確認する
Microsoft Print to PDFはWindowsの標準機能なので、Windows側の不具合が原因になる場合があります。実際、2025年には一部のWindows 11更新後にMicrosoft Print to PDFが利用できなくなる既知の問題がMicrosoftから公表され、その後の更新で修正されました。
「設定」→「Windows Update」から利用可能な更新プログラムを確認し、必要な更新を適用した後でPCを再起動します。特に長期間Windows Updateを実行していないPCでは確認する価値があります。
ただし、Windows Update直後から問題が発生した場合には、適用した更新と症状が始まった時期も記録しておくと原因を調査しやすくなります。
保存先をローカルの短いパスに変更して試す
PDFの保存先によって問題が起きている可能性も切り分けます。ネットワークドライブ、OneDrive同期フォルダ、共有フォルダ、極端に深い階層などへ保存している場合は、いったんローカルディスクの単純な場所へ保存します。
例えばC:\Temp\test.pdfのような短いパスで試します。ファイル名についても、まずは「test.pdf」のような短い英数字にすると切り分けしやすくなります。
これで正常に保存できる場合は、KV STUDIOの印刷処理ではなく、保存先へのアクセス権、同期処理、ネットワーク通信、ファイル名などが関係している可能性があります。
Cドライブの空き容量と一時フォルダも確認する
PDFの保存先に十分な空き容量があっても、印刷途中の一時データがWindowsのシステムドライブへ作成される場合があります。そのためCドライブの空き容量が極端に少ないと、大量ページのPDF生成が途中で止まる可能性があります。
「設定」→「システム」→「ストレージ」からCドライブの空き容量を確認します。数百MBしか残っていないような場合は、不要な一時ファイルなどを整理して十分な余裕を確保します。
特に大規模なラダーをPDF化する場合、完成後のPDFファイル容量だけを基準に考えず、一時処理用の余裕も確保しておくほうが安全です。
タスクマネージャーでCPU・メモリの状態を見る
「応答なし」と表示されても、内部では印刷データを生成し続けているケースがあります。判断材料としてタスクマネージャーを開き、KV STUDIOのCPU使用率やメモリ使用量を確認します。
CPU使用率が継続的に動き、メモリ使用量やPDFサイズにも変化があるなら、重い処理を続けている可能性があります。一方、長時間CPU使用率がほぼ0%で、PDFも0KBのままなら、処理が停止している可能性が高くなります。
ただしCPU使用率だけで正常・異常を完全に判断できるわけではありません。印刷キューやファイルサイズの変化と組み合わせて確認します。
KV STUDIOの別プロジェクトで印刷してみる
KV STUDIO自体の不具合なのか、特定プロジェクトだけの問題なのかを判定するには、別の小規模なプロジェクトから印刷してみる方法があります。
別プロジェクトならMicrosoft Print to PDFへ正常に出力できる場合、WindowsやPDFプリンターではなく、問題のプロジェクトに原因がある可能性が高くなります。
反対に、どのKV STUDIOプロジェクトでも同様に停止するなら、KV STUDIOのバージョン、Windowsとの組み合わせ、印刷設定、Microsoft Print to PDFなどを重点的に確認します。
KV STUDIOのバージョンを確認する
KV STUDIOはバージョンアップによって対応機種や機能、不具合修正などが更新されます。古いバージョンを新しいWindows環境で使っている場合は、現在のWindowsとの対応状況を確認したほうがよいでしょう。
KEYENCEのサポート情報やアップデート情報を確認し、使用しているKV STUDIOのバージョンが対象OSに対応しているか、新しいアップデートが提供されていないかを確認します。
業務用PLCのプロジェクトを扱っている場合は、安易にアップデートせず、社内ルールや設備側の運用条件、バックアップ状況を確認してから実施することも重要です。
強制終了する前にプロジェクトの保存状況を確認する
KV STUDIOが応答なしになった場合、タスクマネージャーから強制終了したくなります。しかし未保存のラダー変更がある場合、その変更を失う可能性があります。
印刷前にプロジェクトを保存していたか確認できない場合は注意が必要です。PDFが0KBで長時間変化しない場合でも、プロジェクトファイルそのものとは別に考えます。
今後は大量印刷を行う前にプロジェクトを一度保存し、可能であればバックアップを作成してからPDF出力を行うと安心です。
データ量が原因かどうかを切り分けるチェック表
症状別に見ると、原因を次のように絞り込めます。
| 確認結果 | 考えられる原因 | 次に試すこと |
|---|---|---|
| 他アプリでもPDF化できない | Windows・Print to PDF側 | Print Spooler再起動、Print to PDF再設定、Windows Update |
| KV STUDIOだけ失敗する | KV STUDIO側の印刷処理 | 別プロジェクト、KV STUDIO更新状況を確認 |
| 小さいページ数なら成功する | 印刷データ量・負荷 | ページ範囲を分割してPDF化 |
| 特定範囲だけ失敗する | 特定ページの印刷データ | さらに範囲を狭め問題ページを特定 |
| ローカル保存なら成功する | ネットワーク・同期・保存先 | ローカルへ保存後に移動 |
| 毎回0KBで停止する | 印刷処理開始後の停止 | 印刷キューとSpoolerを確認 |
このようにテストすれば、「データが重いから仕方ない」と推測するだけではなく、実際にデータ量が原因なのかを確認できます。
大規模データなら最初から分割PDFを運用する方法もある
設備規模が大きく、毎回ラダー全体を一つのPDFへ出力する必要がないのであれば、機能単位やプログラム単位でPDFを分けて管理する方法もあります。
例えば「メイン制御」「搬送」「アラーム処理」「通信処理」などに分けてPDFを作っておけば、一度に処理するページ数を減らせるだけでなく、必要な資料を探しやすくなるメリットもあります。
最終提出物として一つのPDFが必要な場合だけ、正常に作成できた複数のPDFを後から結合する方法も検討できます。
それでもKV STUDIOだけ停止する場合はKEYENCEサポートへ確認する
Microsoft Print to PDFが他のアプリでは正常、小規模な別プロジェクトも正常、しかし特定のKV STUDIOプロジェクトだけ再現性をもって停止する場合は、KV STUDIO固有の挙動である可能性が高くなります。
その場合はKEYENCEへ問い合わせる際に、KV STUDIOの正確なバージョン、Windowsのバージョン、印刷対象のおおよそのページ数、どの範囲なら成功するか、PDFが0KBで止まることなどを伝えると原因を切り分けてもらいやすくなります。
特に業務用設備のプロジェクトでは、ネット上の非公式な修正方法を試すより、メーカーの正式な対応情報を確認するほうが安全です。
まとめ|0KBなら待つだけでなく「小分け印刷」とPrint to PDFの切り分けを行う
KV STUDIOからMicrosoft Print to PDFへ出力した際、KV STUDIOが応答なしになりPDFが0KBのままなら、正常なPDF生成はまだ完了していません。20分以上0KBのまま変化しない場合、単にデータが重くて時間がかかっているだけとは限りません。
まずメモ帳など別アプリからMicrosoft Print to PDFが正常に使えるか確認し、次にKV STUDIOから数ページだけをPDF化します。少量なら成功するのであれば、ページ範囲を分割して出力する方法が現実的です。特定範囲だけ失敗する場合は、その範囲をさらに細分化して問題ページを特定できます。
別アプリでも失敗する場合は、Print Spoolerの再起動、印刷キューの削除、Microsoft Print to PDFの再有効化、Windows UpdateなどWindows側を確認します。反対にKV STUDIOだけで再現する場合は、KV STUDIOのバージョンとWindows対応状況を確認し、再現条件を整理したうえでKEYENCEサポートへ問い合わせるのが確実です。


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