楽曲の一部分で聞こえる「ガビガビした音」「壊れたラジオのような音」「デジタルっぽいノイズ感」は、単純なイコライザー調整だけでは作るのが難しい表現です。このような音は主に音質を意図的に劣化させるエフェクトを使って作られます。この記事では、無料音声編集ソフトのAudacityを使って、ビットクラッシュ系の質感やデジタル歪みを再現する方法を解説します。
ガビガビした音の正体はイコライザーではなく音質劣化系エフェクト
音声の「ガビガビ感」は、多くの場合、音の情報量を減らしたり、波形を歪ませたりすることで作られています。イコライザーは特定の周波数を強調・削減するための機能なので、音色を変化させることはできますが、デジタル的に壊れたような質感を作る用途には向いていません。
代表的な加工方法としては、ビットクラッシャー、サンプルレート低下、ディストーション、ハードクリップなどがあります。これらを組み合わせることで、ゲーム音声のような荒い音や、電子的に崩れたボーカル表現を作れます。
例えば、普通のボーカル音源にビットクラッシュを少しかけるだけでも、音が粗くなり、昔のデジタル機器で再生したような独特の質感になります。
Audacityでビットクラッシュ風の音を作る方法
Audacity標準機能だけで完全なビットクラッシャーを再現するのは難しいですが、サンプルレートを下げることで近い効果を作ることができます。
手順は以下の通りです。
- 加工したい音声部分を選択する
- メニューから「エフェクト」を開く
- 「再サンプリング」やサンプルレート変更系の処理を行う
- 低いサンプルレートに変換して音質を劣化させる
- 必要に応じて元のサンプルレートへ戻す
例えば44100Hzの音源を8000Hz〜12000Hz程度まで下げると、音がざらつき、昔の電子音のような質感になります。
ディストーションでさらに荒い歪みを追加する設定
ガビガビした音を強調したい場合は、Audacityのディストーション系エフェクトを追加します。歪みを加えることで、音の波形が崩れて攻撃的な質感になります。
設定例としては、以下のような調整から試すと近い音を作りやすくなります。
| 項目 | 設定例 |
|---|---|
| 歪み量 | 20〜50%程度 |
| クリッピング方式 | ハードクリップ系 |
| 出力音量 | 加工後に調整 |
最初から強くかけると音が潰れてしまうため、弱めに歪ませてから必要に応じて追加する方が自然な仕上がりになります。
ローファイ加工で特徴的なデジタルノイズ感を作る
楽曲の一部分だけを「壊れたような演出」にしたい場合は、ローファイ加工を意識すると近づけやすくなります。ビットクラッシュだけではなく、ノイズやフィルター処理を組み合わせることがポイントです。
具体的には、以下のような順番で加工すると効果的です。
- 高音域を少しカットする
- サンプルレートを下げる
- ディストーションで歪みを追加する
- ノイズを少量加える
- 音量を調整する
例えば、イントロや間奏の一瞬だけ音を荒らす場合は、加工した音と通常の音を切り替えることで、印象的な演出になります。
より本格的なガビガビ音を作るならVSTプラグインを利用する
Audacity標準機能では限界があるため、より細かくビットクラッシュを調整したい場合はVSTプラグインを追加する方法があります。
ビット数、サンプルレート、量子化ノイズなどを細かく調整できるプラグインを使うと、ゲーム音楽やEDMで使われるような強烈なデジタル加工も再現できます。
ただし、プラグインを使う場合でも、基本は「音質を劣化させる→歪ませる→必要ならフィルターで整える」という流れを意識すると、狙った音に近づきやすくなります。
まとめ
Audacityで聞いたことのあるようなガビガビした音を作る場合、イコライザーだけではなく、サンプルレート低下やディストーションなどの音質劣化エフェクトを使うことが重要です。
まずは音源の一部分をコピーして、サンプルレートを下げる加工と歪みエフェクトを組み合わせて試すと、デジタル的に壊れたような音を作りやすくなります。
音作りは正解が一つではないため、加工量を少しずつ変えながら、楽曲の雰囲気に合うガビガビ感を探していくことが大切です。


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