従業員アンケートの回答率を会社別に集計する際、組織再編や人事異動が発生していると単純な計算では正確な数値になりません。特に合併・分割・転籍が多い企業グループでは、回答率が100%を超えたり、新設会社の回答率が極端に低く見えたりするケースがよくあります。この記事では、実務で使われる考え方をもとに、できるだけ実態に近い会社別回答率の算出方法を解説します。
なぜ回答率が100%を超えてしまうのか
回答率が100%を超える最大の原因は、分母と分子の基準時点が異なっているためです。
例えば、アンケート回答時にはA社所属だった社員が、その後B社へ異動した場合、回答者数はA社でカウントされる一方、社員数はB社に含まれることがあります。
また年度途中で会社が合併した場合、回答時点と集計時点で所属会社が変わるため、単純に年度末社員数を分母にすると実態と乖離します。
回答率計算で重要なのは「回答権利者数」
本来の回答率は次の考え方で計算するのが理想です。
回答率=回答者数÷回答対象者数
ここでいう回答対象者数とは、アンケート期間中に回答資格を持っていた従業員数を指します。
単純な年度末社員数や現在の社員数ではありません。
| 項目 | 望ましいデータ |
|---|---|
| 分子 | 回答者数(重複除外) |
| 分母 | 回答対象となった従業員数 |
| 所属会社 | 回答時点または基準日時点の所属 |
今回のケースで最も現実的な集計方法
手元の資料から判断すると、回答者リストに回答日時と回答時所属会社が記録されているため、まず分子は回答時所属会社で集計するのが自然です。
次に分母は各月末社員数を利用し、年間平均在籍人数を算出します。
具体的には毎月末の社員数を12か月分合計し、12で割ります。
これにより年度途中の合併や分割による影響をある程度平準化できます。
合併・分割がある場合の考え方
9月にB社とC社がA社へ合併した場合、合併前の回答は元会社として扱い、合併後はA社として扱う方法が一般的です。
また12月に新設されたα社については、年度初めから存在していた会社と同じ基準で比較すると不公平になります。
例えば12月設立であれば、12月以降の在籍者のみを対象にした回答率を別途算出する方法が望ましいでしょう。
新設会社は設立前に回答済みの従業員が存在するため、単純な会社別比較では回答率が低く見えやすくなります。
会社間異動が多い企業で採用される方法
異動が頻繁な企業では、回答時所属会社で全て管理する方法がよく採用されます。
例えば4月にA社で回答し、10月にα社へ異動した社員がいた場合でも、その回答実績はA社に帰属させます。
これは回答行動が発生した時点の組織風土や職場環境を評価するという考え方に基づいています。
一方で年度末時点の所属会社で再配分する方法もありますが、過去回答の帰属先が変動するため運用が複雑になります。
より正確に算出するために必要なデータ
理想的には人事システムから月次の所属履歴を取得できると精度が向上します。
- 社員番号
- 所属会社履歴
- 異動日
- 入社日
- 退職日
- 回答日時
これらを組み合わせれば、回答日時点の所属と回答資格の有無を正確に判定できます。
特に回答率が95%を超える高水準の場合、数%の誤差でも会社順位や評価に影響するため、所属履歴ベースの管理が有効です。
まとめ
会社別アンケート回答率を正確に算出するには、年度末社員数を分母にする方法では限界があります。合併・分割・異動が発生している場合は、回答時点の所属会社を基準に回答者を集計し、分母には年間平均在籍人数や回答対象者数を使用するのが実務的です。
特に新設会社や合併会社は単純比較すると歪みが生じるため、組織再編の影響を考慮した補足指標を併用することで、より実態に近い回答率を把握できるようになります。


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