Gコード G2とG3の円弧補間におけるノーズR補正の理解

Gコードでの円弧補間を使用する際、ノーズR補正について理解することが重要です。特にG2とG3での補正の違いが、どのように加工に影響を与えるかを理解することで、正確な加工が可能となります。この記事では、G2（時計回りの円弧）とG3（反時計回りの円弧）におけるノーズR補正について詳しく解説します。

1. ノーズR補正とは？

ノーズRとは、工具の先端の丸みを指します。切削工具の先端部分が丸くなっているため、実際の刃先位置は工具の中心ではなく、工具の先端部分にあります。この丸みが影響を与えるため、Gコードの円弧補間を使用する際には、ノーズR補正が必要となります。

ノーズR補正を行わないと、仮想刃先（プログラムで指定された座標）を基準に加工が進むため、実際には加工物に対して削り過ぎや削り残しが生じることがあります。

G2とG3はどちらも円弧補間のためのGコードですが、進行方向が異なります。G2は時計回りの円弧、G3は反時計回りの円弧を指定します。この進行方向の違いにより、ノーズR補正の扱い方が異なります。

G2（時計回り）の場合、刃先が内側に食い込むため、補正値をプラスにする必要があります。つまり、工具の先端が実際に進む位置は仮想刃先よりも外側にずれるため、補正を加えることで正しい加工が行えます。

一方、G3（反時計回り）では、刃先が外側に食い込むため、補正値をマイナスにする必要があります。これにより、正しい刃先位置で加工が行われるようになります。

例えば、G2での円弧補間では、工具が時計回りに円を描くとき、ノーズRの影響で実際には刃先が仮想刃先より外側に出るため、その分補正を加えます。これを「プラス補正」と呼びます。

逆に、G3での反時計回りの円弧では、ノーズRの影響で刃先が内側に食い込むため、補正はマイナスになります。これによって、切削部分が正しい位置に調整されます。

ノーズR補正は、一般的には機械のコントローラーに設定されるか、加工プログラム内で補正を加える必要があります。特にG2やG3で円弧を加工する際には、ノーズRを正しく補正しないと加工精度に大きな影響が出るため、補正の設定方法をしっかり理解しておくことが大切です。

補正値の設定方法は、使用する機械や制御システムにより異なる場合があるため、マニュアルや仕様書を参照することをお勧めします。

G2とG3でのノーズR補正の違いを理解し、適切な補正を行うことは精度の高い加工を実現するために不可欠です。G2では補正値をプラスに、G3ではマイナスに設定することで、工具の刃先が正しい位置に合わせられ、削り過ぎや削り残しを防ぐことができます。