歌声合成ソフトのUTAUと、読み上げに特化したVOICEVOXは、それぞれ異なる用途で広く使われています。UTAUで作成した音源をそのままVOICEVOXで利用できれば便利ですが、両者は仕組みが異なるため直接的な互換性はありません。本記事では、UTAU音源をVOICEVOXで語らせたいと考えている方に向けて、その実現方法や代替手段について詳しく解説します。
UTAUとVOICEVOXの違い
UTAUは主に歌声合成を目的としたソフトで、原音設定されたサンプル音声を組み合わせて歌唱を生成します。一方、VOICEVOXはニューラルネットワークを用いた音声合成技術により、滑らかな日本語の読み上げを実現するソフトです。このため、両者の音源フォーマットや処理方式が根本的に異なります。
例えば、UTAUの音源は「あ」「い」「う」といった発声を収録したwavファイル群に基づいていますが、VOICEVOXは学習済みモデルにより音声を生成するため、UTAU音源をそのままインポートして使うことはできません。
UTAU音源をVOICEVOXで活用する方法
直接的な利用は不可能ですが、以下の方法で間接的にUTAU音源を「語り」に応用できます。
- UTAUで単音階的な発声を作成し、録音・書き出して音声素材として利用する
- その素材を音声編集ソフト(例:AudacityやAdobe Audition)で加工し、文章読み上げ風に整える
- VOICEROIDやCeVIOなど、UTAU音源に近い表現が可能な別ソフトに読み上げ部分を委託する
これらは直接的な「UTAU→VOICEVOX変換」ではありませんが、歌声音源を読み上げに活かす実用的な手段となります。
他の代替手段
UTAUの音源をそのまま読み上げに使うことが難しい場合、以下のような代替手段があります。
- VOICEVOXの公式音声ライブラリを活用:豊富なキャラクター音声が用意されており、自然な読み上げが可能です。
- AI歌声合成ソフトを併用:CeVIO AIなどでは歌唱・読み上げの両方に対応したキャラクターが存在します。
- 独自学習モデルの作成:専門知識が必要ですが、UTAU音源をデータセットとしてAI音声合成用に学習させる試みもあります。
特に、既存のVOICEVOX音声を使うのがもっとも手軽かつ高品質な方法です。
実例:UTAU音源を語りに応用する流れ
例えば、UTAU音源「シレズ」で簡単な台詞を作りたい場合、まずUTAU上で「あ」「え」「ん」といった必要な発声を並べて書き出します。その後、Audacityで不要な間をカットしたり、ピッチを調整することで、疑似的な「読み上げ音声」として利用できます。
さらに、必要に応じてBGMやエフェクトを追加すれば、ナレーション的な音声作品を作ることも可能です。
まとめ
UTAUの音源をVOICEVOXで直接使うことはできませんが、音声素材として書き出して編集することで「語らせる」ことは可能です。また、CeVIOやVOICEROIDといった別ソフトを利用するのも現実的な選択肢です。用途や制作環境に合わせて、最適な方法を取り入れてみてください。


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