ロボット製作においてサーボモータを活用する場面は多くありますが、制御方法を誤ると意図しない動作や発熱の原因となることがあります。特にESP32とArduino IDEを使って制御する場合、ledcWrite()を利用するか、専用ライブラリを使うかで挙動が変わり、混乱する方も多いでしょう。この記事では、サーボモータを壊さず安定して制御するための基本的な仕組みと実装ポイントを解説します。
サーボモータの基本制御信号
一般的なサーボモータはPWM信号で制御されます。20ms周期(約50〜60Hz)の信号を送り、その中のパルス幅(およそ0.5ms〜2.5ms)がサーボの角度を決める仕組みです。例えば1.5msで中央位置、1msで左、2msで右といったイメージです。
このため、ESP32で20kHzのPWMを送ると周波数が大きく異なり、サーボが誤動作や発熱を引き起こす可能性があります。
ESP32でのledcWriteによる制御
ESP32のledcWrite()関数は高精度なPWMを生成できますが、周波数を60Hz前後に設定する必要があります。チャンネルごとに異なる周波数が設定できるため、1つのチャンネルをサーボ用に60Hzで設定し、他は20kHzのまま使っても問題ありません。
設定例は以下のようになります。
int servoChannel = 0; int freq = 60; int resolution = 16; ledcSetup(servoChannel, freq, resolution); ledcAttachPin(servoPin, servoChannel); // dutyの値を計算してledcWriteで制御
このように周波数をサーボに合わせることで、安定した制御が可能になります。
「無限ループ」現象の原因と対策
サーボモータは常に目標角度を保とうとするため、外力がかかると逆方向に補正し続けます。この結果、力が繰り返しかかるとガタつきや発熱の原因となります。
これを避ける方法は以下の通りです。
- 一定時間で信号を止める:目標位置に到達したらPWMを止めることで、サーボはフリー状態になり無駄な負荷を避けられます。
- 必要な時だけ角度指定:「開閉」のような単純な動作なら、動作完了後に信号を止める設計で十分です。
- 減速制御:目標角度に近づくにつれてパルス幅を少しずつ変化させると、ガタつきを防げます。
シンプルな実装例
例えばアームの開閉だけをしたい場合、次のように一定時間だけPWMを送り、その後停止する方法が有効です。
// 開く処理 ledcWrite(servoChannel, dutyOpen); delay(500); // 0.5秒だけ動かす ledcWrite(servoChannel, 0); // 信号停止 // 閉じる処理 ledcWrite(servoChannel, dutyClose); delay(500); ledcWrite(servoChannel, 0);
このように「角度に合わせて時間制御」を組み合わせれば、無限ループによる発熱を防げます。
より高度な制御を目指すには
将来的にスティック操作などリアルタイムの制御を目指す場合は、フィードバック制御(PID制御)を導入すると安定します。角度センサーを使って現在位置を読み取り、目標角度との差を補正する仕組みを組み込めば、外力がかかっても暴走しにくい制御が可能です。
まとめ
ESP32でサーボモータを安定制御するには、周波数を50〜60Hzに設定することと、必要な時だけ信号を送る工夫が重要です。開閉などシンプルな用途なら時間制御で十分対応可能ですし、将来的にはPID制御を導入することで、さらに高度なロボット制御に発展させることができます。最初はシンプルな構成から始めて、段階的に高度化していくのがおすすめです。


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