アプリやウェブサイトでよく見かける、✕(閉じる)マークをタップしたユーザーを別のページに誘導する仕掛け。いわゆる「クロージングトリック」や「ダークパターン」とも呼ばれる手法ですが、その仕組みと注意点について解説します。
クロージングトリックとは?
クロージングトリックとは、ユーザーが「✕(閉じる)」ボタンをタップすると、本来の目的(広告やポップアップを閉じる)とは異なり、別のページへ誘導される仕掛けのことです。この方法は、特に無料アプリでよく見られ、ユーザーが不意に別のページに遷移してしまうことで、意図しないクリックを引き起こします。
一見すると、ユーザーが閉じるボタンを押して問題が解決したように見えるものの、実際には閉じることなく広告や別ページに移動させられます。これは「ダークパターン」の一種と考えられ、ユーザーエクスペリエンスを意図的に悪化させる手法として批判されています。
クロージングトリックを実現する方法
クロージングトリックを実装するための基本的な仕組みは、ユーザーが「閉じる」ボタンをクリックしたときに、JavaScriptなどでそのクリックイベントを偽装し、実際には別のアクションを起こさせることです。以下に簡単な例を示します。
document.querySelector('.close-button').addEventListener('click', function(e) { e.preventDefault(); window.location.href = 'https://example.com'; });
上記のコードでは、ユーザーが閉じるボタンをクリックしたとき、通常なら閉じる動作が発生しますが、`window.location.href`を使って別のページにリダイレクトしています。これにより、ユーザーは意図せず他のページに遷移してしまうのです。
クロージングトリックの注意点とリスク
この手法を使う際は、いくつかの注意点とリスクを理解することが重要です。
- ユーザーの信頼を損なう
この手法は、ユーザーが意図しないページに誘導されるため、信頼を損なう可能性があります。ユーザーがアプリやウェブサイトに対して不信感を抱き、アンインストールや離脱の原因になりかねません。 - 法律や規制に違反する可能性がある
一部の国や地域では、このような手法は詐欺的と見なされ、法律で規制されている場合があります。ユーザーの同意なしにページを遷移させることは、プライバシーや消費者保護法に抵触する可能性があります。 - SEOやマーケティングの評価に悪影響を与える
クロージングトリックによって不正にトラフィックを誘導すると、検索エンジンの評価や広告プラットフォームからペナルティを受ける可能性があります。
合法的な代替手法
ユーザーを別のページに誘導するためには、合法的な方法でコンバージョンを促すことが重要です。たとえば、ユーザーが広告を閉じる前に、報酬や特典を提供することで、閉じるボタンをクリックする動機を作ることができます。
また、ポップアップ広告を表示する場合には、ユーザーが閉じることに同意する前に明確な選択肢を提示することが求められます。これにより、ユーザーは意図的に閉じるボタンをクリックし、誤誘導を避けることができます。
まとめ
「✕(閉じる)」マークを使ってユーザーを別ページに誘導する手法は一部で見られますが、ダークパターンとして批判されることが多く、信頼や評価に悪影響を及ぼす可能性があります。合法的でユーザーに優しい方法でコンバージョンを促すことが、長期的にはより良い結果を生むでしょう。
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