SNSのDM(ダイレクトメッセージ)を通じて、相手の個人情報を特定できるかどうかは、多くの人が疑問に思う点です。特に、ITエンジニアが高度な技術を持っていることから、開示請求をしなくても個人情報を取得できるのではないかと考える人もいます。この記事では、その可能性とリスク、SNSのプライバシー設定について解説します。
ITエンジニアはDMだけで個人情報を特定できるのか?
結論から言うと、通常の環境ではDMのやり取りだけで個人情報を特定することはできません。SNSの運営会社は、ユーザーの個人情報を保護するために、IPアドレスやデバイス情報などのデータを非公開にしています。そのため、DMのやり取りのみで、相手の本名や住所、電話番号などを知ることは基本的に不可能です。
ITエンジニアが可能な技術的アプローチ
1. メタデータの分析
一部のSNSでは、送信された画像やファイルにEXIF(メタデータ)情報が残ることがあります。もし相手が位置情報をオフにしていない場合、画像から撮影場所を特定できることもあります。しかし、多くのSNSではセキュリティ対策として、アップロード時にメタデータを削除する仕様になっています。
2. フィッシング攻撃
悪意のあるITエンジニアであれば、DMでリンクを送り、それをクリックさせることでIPアドレスを取得したり、マルウェアを仕込むことでデバイス情報を盗み出すことが可能です。しかし、これは違法行為であり、実行すれば不正アクセス禁止法や個人情報保護法に違反する可能性が高いです。
3. ソーシャルエンジニアリング
技術を使わず、会話の中で個人情報を引き出す手法もあります。例えば、何気ない会話の中で住んでいる地域や職業、よく行く場所などを聞き出し、それらを手がかりに個人情報を特定することができます。
開示請求が必要なケース
通常、SNSの運営会社が持っているユーザーのIPアドレスやログイン履歴などの情報は、裁判所や警察の要請がなければ開示されません。以下のようなケースでは、正式な開示請求が必要になります。
- 誹謗中傷・名誉毀損の被害を受けた場合
- なりすましや不正アクセスの被害にあった場合
- 詐欺や脅迫などの犯罪行為が発生した場合
プライバシーを守るためにできること
1. DMで個人情報を話さない
たとえ親しい相手であっても、DMで個人情報(住所、電話番号、勤務先など)を伝えないことが重要です。
2. SNSのプライバシー設定を確認する
アカウントのプライバシー設定を見直し、以下のような設定を行うことをおすすめします。
- DMの受信を制限する
- 投稿を「友達のみ」または「フォロワー限定」にする
- 位置情報の共有をオフにする
3. 不審なリンクを開かない
見知らぬアカウントから送られてきたリンクはクリックしないようにしましょう。特に「このリンクを開くと○○が見れる」などの誘導がある場合は注意が必要です。
まとめ
ITエンジニアであっても、通常のSNSのDMのやり取りだけで個人情報を特定することはできません。ただし、悪意のある方法(フィッシングやソーシャルエンジニアリング)を使えば情報を引き出せる可能性はありますが、それは違法行為となります。プライバシーを守るために、SNSの設定を見直し、慎重な対応を心がけましょう。
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