Power AppsのOCR(光学文字認識)機能を使って、様々なフォーマットの請求書から必要な情報を抽出する方法は、企業の業務効率化に大いに役立ちます。特に、複数の仕入先から送られた請求書から、会社名、品目、単価、数量、納入先などを一元的に抽出し、Excelにまとめるという課題に直面している方も多いでしょう。
Power AppsのOCR機能とは?
Power AppsのOCR機能は、画像やPDF内のテキストを自動的に識別し、データとして取り出すためのツールです。これを利用することで、手動でデータ入力を行う手間を大幅に削減することができます。
ただし、OCR機能は万能ではなく、請求書がスキャンされた画像やPDF形式で提供されている場合、その品質やフォーマットにより精度が変動することもあります。したがって、OCRを利用する際にはその精度向上のために工夫が必要です。
請求書からのデータ抽出に必要なフロー
Power Appsを使用して請求書から情報を抽出するには、以下のようなフローを構築する必要があります。
- ステップ1: OCRの設定
Power Apps内でOCR機能を設定し、請求書データが含まれる画像やPDFファイルを読み取ります。OCRを正確に設定するためには、ドキュメントのレイアウトに合わせた適切な調整が必要です。 - ステップ2: データ抽出
OCRを使って会社名、品目、単価、数量、納入先などの情報を抽出します。ここでは、OCRツールが自動的にデータを識別し、テキストデータとして出力します。 - ステップ3: データの正規化
抽出したデータはそのままだと不正確な場合があるため、データの正規化(フォーマットの統一)を行います。例えば、数量が誤って認識された場合などには、手動での修正が必要です。 - ステップ4: Excelへのデータ転送
正規化されたデータをExcelファイルに転送します。Power Automate(Power Appsと連携する自動化ツール)を使って、このプロセスを自動化することが可能です。
AIプロンプトを利用した実装について
Power AppsはAIを活用したデータ抽出にも対応していますが、AIプロンプト(例えば、Azure AIサービスやCustom Visionなど)を使った高度な実装も可能です。これにより、より複雑なデータ抽出が可能になり、請求書のレイアウトや構造が異なる場合でも、精度を向上させることができます。
たとえば、仕入先によって異なる請求書のフォーマットに対応するために、AIを使って自動的にフィールドをマッピングし、異なるパターンを学習させることが可能です。この場合、AIモデルに適切なトレーニングデータを提供する必要があります。
実例:請求書データを抽出してExcelにまとめるフロー
以下は、Power Appsを使って請求書データを抽出し、Excelにまとめる実際のフロー例です。
- 1. 請求書画像をアップロード:Power Appsのアプリケーションを使用して、請求書画像をクラウドストレージにアップロードします。
- 2. OCRを実行:Azure Cognitive ServicesやPower Automateを利用してOCRを実行し、請求書内のテキストを抽出します。
- 3. データの抽出とマッピング:抽出されたデータをPower Appsで整理し、必要な項目(会社名、品目、単価、数量、納入先)を正確にマッピングします。
- 4. Excelシートに転送:整理されたデータをPower AutomateでExcelシートに転送し、自動的にデータを入力します。
Power Apps OCR機能を使ったデータ抽出のポイント
OCRを使用して請求書からデータを抽出する際、いくつかのポイントに注意が必要です。
- 文書の品質を向上させる:OCRの精度を高めるために、請求書画像の品質を改善することが重要です。解像度が低い場合、文字が読み取れないことがあります。
- 異なるフォーマットに対応:複数の仕入先から請求書が送られる場合、各フォーマットに合わせたカスタマイズが必要です。Power AppsやAIツールを使って、複数のフォーマットに対応できるように学習させることが重要です。
- 誤認識データの修正:OCR技術は完璧ではないため、間違ったデータが抽出される場合があります。そのため、データを手動で修正する機能を追加すると便利です。
まとめ
Power AppsのOCR機能を活用して、請求書から会社名、品目、単価、数量、納入先などのデータを自動的に抽出し、Excelにまとめることは、業務の効率化に大いに役立ちます。AIプロンプトを利用することで、さらに高精度なデータ抽出が可能となりますが、正確なデータを得るためには、文書の品質向上や異なるフォーマットに対応するカスタマイズが必要です。
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