Illustratorを使用中に「鮮やかな色が出ず、全体的にくすんだ色しか表示されない」と感じるケースは珍しくありません。CMYKやRGBのカラーモードを変更しても改善しない場合、原因は別の設定に隠れている可能性があります。この記事では、代表的な原因と解決策を詳しく解説します。
カラーモードと表示の仕組み
Illustratorには大きく分けて「CMYKモード」と「RGBモード」があります。印刷向けのCMYKでは、画面上の発色がRGBよりくすんで見えることが多いです。しかし、質問のように両方のモードで同じくくすんで見える場合、単純なカラーモードの問題ではなく「表示設定」や「カラープロファイル」に関係していることが考えられます。
原因1:プレビューが”オーバープリントプレビュー”になっている
Illustratorには「オーバープリントプレビュー」という機能があり、これを有効にすると画面表示が沈んだ色に変わります。確認方法は[表示]→[オーバープリントプレビュー]のチェックを外すことです。これだけで色が元に戻る場合もあります。
原因2:カラープロファイルの設定
もう一つよくあるのが「カラープロファイル」の影響です。
[編集]→[カラー設定]からプロファイルを確認してください。特に「Japan Color 2001 Coated」や「sRGB」などが設定されている場合、環境によっては色が沈んで見えます。
解決策としては「モニター用のRGBプロファイル」に変更して様子を見たり、「カラー管理をオフに近い状態」にして確認すると改善がわかりやすいです。
原因3:GPUプレビューとCPUプレビューの違い
IllustratorはGPU(グラフィックボード)を使ったプレビューとCPUプレビューを切り替えることができます。稀にGPU表示が正しく機能せず、色がくすんで見えることがあります。
[表示]→[プレビュー]→「GPUプレビュー」または「CPUプレビュー」を切り替えて違いを確認してみてください。
原因4:透明グリッドや効果の影響
透明や効果がかかったオブジェクトがあると、全体の見え方が暗くなることもあります。背景に透明グリッドを表示していると、色が沈んで見える場合もあるので注意が必要です。
[表示]→[透明グリッドを表示]のオンオフで変化を確認してみましょう。
実例:印刷前と画面表示のギャップ
例えば、RGBで鮮やかに見えていた青色も、CMYKに変換するとくすんだ紺色になります。これは正常な挙動ですが、同じ現象がRGBモードでも発生するなら、上記の設定を確認することで改善する可能性が高いです。
あるデザイナーの事例では、納品前に気づかずRGBデータを印刷したところ、画面よりも大幅に暗い色で出力されてしまったそうです。このようなギャップを防ぐためにも、プロファイルやプレビューの理解は重要です。
まとめ
Illustratorで色がくすんで見える原因は、単なるカラーモードの違いだけでなく、オーバープリントプレビューやカラープロファイル、GPUプレビューの設定など複数考えられます。まずは表示設定を見直し、改善しない場合はプロファイルを確認してみましょう。環境に応じて調整することで、本来の鮮やかな色を再現できるはずです。


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