企業が自前のDNSサーバーを持つ理由とは?メリットとパフォーマンスへの影響

ネットワーク技術

会社のWindowsパソコンで「優先DNSサーバー」や「代替DNSサーバー」の設定を行っている場合、そのDNSサーバーが社内にあるのか、それとも外部のものなのか気になる方も多いでしょう。本記事では、企業が自前でDNSサーバーを運用するメリットや、DNSサーバーのパフォーマンスへの影響について解説します。

優先DNSサーバーや代替DNSサーバーの設定とは?

Windowsパソコンでは、インターネット上のサイトにアクセスする際に、URL(例:www.example.com)をIPアドレス(例:192.168.1.1)に変換する必要があります。この変換を担当するのがDNS(Domain Name System)サーバーです。

「優先DNSサーバー」は通常使用するDNSサーバーで、「代替DNSサーバー」は優先DNSが応答しない場合のバックアップとして設定されます。社内ネットワークでは、自社のDNSサーバーを指定することもあれば、Google Public DNS(8.8.8.8)やCloudflare DNS(1.1.1.1)といった外部DNSを指定する場合もあります。

会社が自前でDNSサーバーを持っている可能性

会社のDNS設定が以下のようなアドレス(例:192.168.xx.xxや10.xx.xx.xxなどのプライベートIPアドレス)になっている場合、社内でDNSサーバーを運用している可能性が高いです。

一方、Google(8.8.8.8)やCloudflare(1.1.1.1)などの公的DNSが指定されている場合は、外部のDNSを利用していることになります。

企業がDNSサーバーを自前で持つメリット

企業が独自のDNSサーバーを運用する理由はいくつかあります。

① 内部ネットワークのドメイン名解決ができる

企業内では、イントラネット(社内専用ネットワーク)のサーバーやプリンタ、社内Webシステムにアクセスすることが多く、社内専用のドメイン名(例:intranet.company.local)を使用する場合があります。

外部のパブリックDNSではこれらの内部ドメイン名を解決できないため、企業は自前でDNSサーバーを運用することで、スムーズなアクセスを可能にしています。

② ネットワークのパフォーマンス向上

社内にDNSサーバーを持つことで、以下のようなメリットが得られます。

  • 社内端末のDNS問い合わせを高速化:インターネットのDNSサーバーよりも近いため、応答速度が向上する。
  • キャッシュ機能による負荷軽減:頻繁にアクセスするドメイン情報をキャッシュし、再度問い合わせる際の時間を短縮できる。

③ セキュリティの向上

企業独自のDNSサーバーを持つことで、フィルタリング機能を実装し、不正なサイトやマルウェアに感染したサイトへのアクセスをブロックすることができます。

また、DNSクエリのログを管理することで、従業員のアクセス履歴を記録し、セキュリティ上のリスクを可視化することも可能です。

④ ネットワーク障害の影響を軽減

外部のDNSサーバーがダウンした場合、インターネットへのアクセスが遅くなったり、社内システムが機能しなくなる可能性があります。社内にDNSサーバーを設置しておけば、最低限の業務を継続することが可能です。

自前のDNSサーバーは本当に高速なのか?

一般的に、企業のDNSサーバーは内部ネットワークの名前解決には高速ですが、インターネット上のサイトにアクセスする際は、Google Public DNS(8.8.8.8)やCloudflare DNS(1.1.1.1)のような最適化されたDNSのほうが高速な場合があります。

そのため、多くの企業では、以下のような構成を採用することが多いです。

  • 社内専用の名前解決 → 社内のDNSサーバー
  • インターネットの名前解決 → 外部の高速DNS(Google DNSなど)

まとめ

企業が自前のDNSサーバーを運用する理由は、社内ネットワークの効率化やセキュリティ向上、パフォーマンス最適化など多岐にわたります。社内のDNSサーバーを経由することで、イントラネットのドメイン名解決が可能になり、外部のDNSサーバーよりも高速に処理できるケースもあります。

ただし、インターネットの名前解決に関しては、Google Public DNS(8.8.8.8)やCloudflare(1.1.1.1)などの最適化されたDNSのほうが優れている場合もあるため、企業ごとに適切な設定を行うことが重要です。

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