NEC IX3110は、高機能なエンタープライズ向けルーターであり、VLAN(仮想LAN)を利用することで、1台のルーターで2〜3つのネットワークを構築することが可能です。本記事では、IX3110を使ってVLANを設定し、物理的に複数のルーターを設置したのと同じような使い方をする方法について解説します。
1. NEC IX3110でVLANを活用するメリット
VLANを活用することで、以下のようなメリットがあります。
- 1台のルーターで複数のネットワークを構築できる
- ネットワークの分離ができ、セキュリティが向上する
- 異なるネットワーク間の通信制御が可能(ルーティング機能の活用)
- 機器の物理的な配置を変えずに、仮想的にネットワークを構成できる
2. VLANの基本概念
VLAN(Virtual LAN)とは、物理的なネットワークを仮想的に分割する技術です。VLANを設定すると、1台のスイッチやルーター上で複数の異なるネットワークを構築できます。
たとえば、オフィス内で以下のようなネットワーク分離が可能になります。
VLAN ID | 用途 | IPアドレス帯 |
---|---|---|
10 | 社内ネットワーク | 192.168.10.0/24 |
20 | ゲストWi-Fi | 192.168.20.0/24 |
30 | IoTデバイス | 192.168.30.0/24 |
3. NEC IX3110でVLANを設定する手順
VLANの設定を行うには、以下の手順に従います。
① VLANの作成
まず、ルーターの管理画面にアクセスし、VLANを作成します。
interface vlan10 ip address 192.168.10.1/24 ! interface vlan20 ip address 192.168.20.1/24 ! interface vlan30 ip address 192.168.30.1/24
② ポートへのVLAN割り当て
次に、スイッチのポートにVLANを割り当てます。
interface gigabitethernet 0/1 switchport mode access switchport access vlan 10 ! interface gigabitethernet 0/2 switchport mode access switchport access vlan 20 ! interface gigabitethernet 0/3 switchport mode access switchport access vlan 30
③ VLAN間ルーティングの設定
異なるVLAN間で通信が必要な場合、ルーティングを設定します。
ip routing interface vlan10 ip address 192.168.10.1/24 ! interface vlan20 ip address 192.168.20.1/24 ! interface vlan30 ip address 192.168.30.1/24 ! ip route 192.168.20.0/24 192.168.10.1 ip route 192.168.30.0/24 192.168.10.1
4. VLANでのネットワーク運用のポイント
- 適切なIPアドレス管理: 各VLANに適切なIPレンジを割り当てる
- VLAN間の通信制御: 必要な場合のみ通信を許可し、ファイアウォールルールを設定
- DHCPの設定: 各VLANに対して別々のDHCPスコープを用意する
5. まとめ
NEC IX3110を使用すれば、1台のルーターでVLANを活用し、物理的に複数のルーターを設置するのと同様のネットワーク分離が可能です。VLANを適切に設定することで、セキュリティや運用の柔軟性を向上させることができます。ぜひ本記事を参考に、VLANの設定にチャレンジしてみてください。
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