Unityでアバターに“箱が開く・閉じる”ギミックを導入し、さらにVRChatのExpressionメニュー(エクスプレッションメニュー)から「開く」「閉じる」を切り替えられるように設計する方法について、初心者にもわかりやすく解説します。アバターを変えた時だけ動作するようにしたいというご要望にも対応できる構成です。
ギミック設計の概要と要件整理
まず、今回実装したい動作は以下の通りです。
- アバターが切り替わったときにだけ「箱」が開いて閉じる動作を自動で実行
- さらに、Expressionメニューから「開く」「閉じる」をユーザーが手動で切り替えられるようにする
このために必要な要素を整理します:▶ AnimationClip(開く/閉じる)▶ AnimatorController+パラメーター▶ Expression Parameters/Expression Menu設定▶ 条件制御(アバター切り替え時など)
ステップ①:箱ギミック用アニメーションの用意とAnimator設定
Unity上で「箱が閉じている状態」「箱が開く動作」「箱が閉じる動作」の3つのAnimationClipを用意します。例えば “BoxClosed” “BoxOpen” “BoxClose” など。
次に、アバターに付属のAnimator Controller(Playable LayersのうちActionやFXあたりが適当)にステートを作ります。
例:Bool param_IsOpen を用意し、param_IsOpen=trueでBoxOpenステートへ、falseでBoxCloseステートへ遷移するようにトランジションを設定。
ステップ②:Expression Parameters と Expression Menu の設定
VRCSDK3‑AV3を使ったVRChatのアバター制作において、Expression Parameters(パラメーター定義)とExpression Menu(UIメニュー定義)は必須です。〔参照〕Expressions Menu and Controls(公式ドキュメント)
例えば、Expression Parameters アセットに以下のように定義します:Bool Box_IsOpen (default false, Saved, Synced)
次に Expression Menu アセットでメニューに「箱を開く」および「箱を閉じる」ボタンを追加し、それぞれがパラメーター Box_IsOpen を切り替える操作を行うよう設定します。
ステップ③:アバターを変えた時だけギミックを動かす制御
「アバターを変えた時だけ」ギミックを自動再生させたい場合、Animator内に“On Avatar Changed”のような条件トリガーを作る必要があります。例えば、Animatorの「Enter」ステートで BoxClosed を起点にして、BoxOpen → すぐBoxClose へ遷移するトリガーを設けます。
具体的には、アバターDescriptorの「Expressions」や「Playable Layers」に入れたAnimator Controllerの初期状態を BoxClosed にしておき、ステート「AvatarInitialized」などを用意して、EntryからAvatarInitializedに遷移したら Box_IsOpen = true を Animator Parameter Driver 等を使って設定し、次に自動で Box_IsOpen = false に戻るという流れにできます。
ステップ④:メニューからの手動制御との整合性
Expression Menuから「開く」「閉じる」が操作された際には、Box_IsOpen パラメーターがユーザー操作で切り替わるため、Animatorはその値に応じてアニメーションを再生します。これにより手動制御が可能です。
さらに、アバター切り替え時の自動再生と手動制御を両立させるために、パラメーター Box_IsOpen の既定値を false にしておき、アバター初期読み込み時に一度 true に切り替えてから false に戻す処理を入れておくと望ましいです。
実例:Animatorとメニュー設定の実装例
以下は実装例です。Animator Controller のパラメーター:Bool Box_IsOpen
ステート遷移:BoxClosed → [Box_IsOpen==true] → BoxOpen → [Box_IsOpen==false] → BoxClose
Expression Menu の設定例:
Control Type:Toggle
Name:“箱を開く/閉じる”
Linked Parameter:Box_IsOpen(Toggle)
注意点とトラブルシューティング
• AnimationClipのループ設定や遷移のExit Timeを適切に設定しないと、「開く」→「閉じる」が意図したタイミングで行えないケースがあります。
• Expression ParametersでSavedやSyncedの設定を誤ると、アバター切り替え時にパラメーター値が残ってしまったり、他ユーザーに同期されないという問題が起きます。〔参照〕Animator Parameters
• メニューが多階層・サブメニューを使っている場合、並び順やUI設計を意識しておかないとユーザーが目的のボタンを探しにくくなります。公式ドキュメントの“Control Types”を参照してください。〔参照〕Expressions Menu and Controls
まとめ:使いやすく・管理しやすいギミック構築を目指そう
今回紹介した構成により、アバター切り替え時のみ“箱が開く→閉じる”というギミックの自動実行と、Expressionメニューからの手動切り替えという二つの操作パスを両立させることができます。
ポイントは Animatorパラメーターの一元管理と Expressionメニューとの整合性です。これらを意識することで、複数アバターでも安定して動作するギミック設計が実現できます。
ぜひ、今回の手順を参考に目的に合ったギミックを実装し、オリジナルアバターの楽しみ方を広げてください。


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