AWS Lambdaは非常に便利なサーバーレスアーキテクチャですが、「1つのリクエストにつき1つのLambdaしか使えない」という制約に対して疑問を抱く方も多いです。この記事では、Lambdaの制約とその解決策、そしてECS(Elastic Container Service)への移行のメリットについて詳しく解説します。
1. AWS Lambdaの制約とそのメリット
AWS Lambdaは、コードをアップロードするだけでインフラの管理を気にせずにコードを実行できるサーバーレスなサービスですが、特にリクエストごとに1つのLambdaしか実行できないという制約が一部のユーザーにとっては難点です。
Lambdaはその特性上、非同期で並列処理を得意としていますが、リクエストごとに単一のLambda関数で実行されるため、内部で非同期処理をしてもそのLambda内で完結してしまい、他のLambda関数を呼び出すなどの複雑な処理が必要になる場合があります。
2. サーバー内部で非同期処理をしても意味がないのか?
サーバーレスアーキテクチャであるLambdaの特性上、サーバー内部で非同期処理を行うことはそのLambda内での処理時間やコストの最適化にはつながりますが、外部のサービスやAPI、他のLambda関数と連携しない限りは、最適化の範囲が限られる場合があります。
非同期処理は、複数のリクエストが並列に処理される場面で効果を発揮します。Lambda内で非同期処理を行い、その結果を次のLambdaで扱うためには別途、AWSのSQSやSNS、Step Functionsなどを利用して複数のLambdaを連携させる必要があります。
3. AWS LambdaからECSへの移行のメリット
もしLambdaが抱える制約により、より柔軟でスケーラブルなアーキテクチャを望むのであれば、ECS(Elastic Container Service)への移行を検討する価値があります。
ECSは、コンテナ化されたアプリケーションを簡単に管理・スケールできるサービスで、より複雑な処理やマイクロサービスアーキテクチャに適しています。ECSはリクエストごとの制約がないため、複数の処理を同時に並列実行できる点が大きな魅力です。
4. AWS LambdaとECSを選ぶべきシナリオ
LambdaとECSはそれぞれに適したシナリオがあります。Lambdaは短期間の処理やイベント駆動型の処理に優れており、インフラ管理が不要な点が強みです。ECSは、より複雑なアプリケーションの処理や長時間の実行が必要な場合に強力です。
- Lambdaを選ぶべきケース: 短時間のリクエスト、定期的なイベント処理、インフラ管理を最小限にしたい場合。
- ECSを選ぶべきケース: 複雑なシステムやマイクロサービス、長期間実行するプロセスを処理する場合。
5. まとめ
AWS Lambdaはその利便性とスケーラビリティに優れていますが、リクエストごとに1つのLambdaを使う制約に悩まされることもあります。複雑な処理や非同期処理を効率的に行いたい場合は、ECSの使用を検討するのも一つの選択肢です。システムの要件に応じて、LambdaとECSをうまく使い分けることが重要です。


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