ARP要求を受け取った機器がARPテーブルにエントリを作成するのか、またVRRPのバックアップ機器が送信するGARP（Gratuitous ARP）の目的についての理解は、ネットワーク設計やトラブルシューティングにおいて非常に重要です。この記事では、ARP要求を受け取った機器の動作と、VRRPによるGARP送信の目的について詳しく解説します。
ARP要求を受け取った機器の動作
ARP（Address Resolution Protocol）は、IPアドレスをMACアドレスに変換するためのプロトコルです。ARP要求を受け取った機器がARPテーブルにエントリを作成するかどうかは、その機器がどのような役割を果たすかに依存します。
一般的に、ARP要求を受け取った機器は、自分自身に対する要求でない限り、そのARP要求をARPテーブルに記録することはありません。ARPテーブルは、IPアドレスとMACアドレスのマッピングを保存しており、ARP要求は通常、送信者のMACアドレスをレスポンスとして返すために使われます。
ARP要求の送信元IPアドレス/MACアドレスの記録
ARP要求を送信した機器は、ARP応答を受け取った際に、相手のIPアドレスとMACアドレスの組み合わせを自らのARPテーブルに記録します。具体的には、ARP応答は、要求元に対してIPアドレスとそれに対応するMACアドレスのマッピングを提供します。このデータは、ARPテーブルに保存され、今後の通信に利用されます。
ただし、ARP要求を受け取った機器（例えばルーターやスイッチ）は、必ずしもその要求の送信元のIPアドレスやMACアドレスをARPテーブルに記録するわけではありません。これは、その機器が直接的なARP応答を行わないためです。
VRRPとGARP（Gratuitous ARP）の役割
VRRP（Virtual Router Redundancy Protocol）は、冗長性を持たせたルーティング構成において使用され、マスタおよびバックアップのルーターを設定する際に役立ちます。バックアップルーターがマスタルーターに切り替わる場合、GARP（Gratuitous ARP）が発信されます。このGARPは、ネットワーク上のL2スイッチやその他の機器に新しいMACアドレスを認識させるために利用されます。
GARPの主な目的は、「経路上にあるL2スイッチのMACアドレステーブルを更新する」ことです。これにより、スイッチが新しいマスタルーターのMACアドレスを正しく認識し、通信が途切れずに続行されることが保証されます。GARPは、バックアップルーターが新たにマスターとして機能する際に、ネットワーク全体にその変更を即座に通知する重要な手段です。
GARPの誤解とその重要性
GARP（Gratuitous ARP）は、単なるMACアドレスの更新だけでなく、ネットワークの冗長性と安定性を保つための重要な役割を果たします。誤解されがちですが、GARPが送信される目的は、スイッチなどのL2機器が新しいマスタールーターを正しく認識するために不可欠です。
また、GARPはネットワークの冗長性を高めるために、障害発生時でも即座にマスターロールの切り替えを行い、通信のダウンタイムを最小限に抑えるために使用されます。
まとめ
ARP要求を受け取った機器は、送信元のIPアドレスやMACアドレスをARPテーブルに記録することはありませんが、ARP応答を受けた際には、送信元の情報をARPテーブルに記録することが一般的です。また、VRRPにおけるGARPの役割は、経路上にあるL2スイッチのMACアドレステーブルを更新することにあります。このプロセスにより、ネットワークの冗長性が保たれ、切り替えがスムーズに行われます。
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