画像処理やコンピュータビジョンにおいて、座標系の変換は重要な役割を果たします。特に、車両座標系への変換を行う際、世界座標系からの変換式に関する理解が重要です。本記事では、質問者が直面した「世界座標系Ow – Xw Yw Zwから車両座標系Oc – Xc Yc Zcへの変換」に関する疑問について、異なる式の意味とその使い分けについて解説します。
1. 世界座標系から車両座標系への変換式
世界座標系から車両座標系への変換式は、基本的に回転行列(R)と平行移動ベクトル(tx, ty, tz)を使った線形変換です。一般的な形式は、
(Xc, Yc, Zc) = R * (Xw, Yw, Zw) + (tx, ty, tz)
ここで、Rは回転行列で、車両座標系の位置と方向を決定します。また、(tx, ty, tz)は車両座標系の原点から世界座標系の原点までの平行移動ベクトルを示します。
2. 質問者の疑問: 式の違いについて
質問者が参照した論文では、変換式が次のように記載されています。
(Xc, Yc, Zc) = R * (Xw - tx, Yw - ty, Zw - tz)
この式の違いは、平行移動ベクトルが加算されるのではなく、引かれている点にあります。この違いが生じる理由は、参照元の座標系における原点設定に関わるものです。つまり、平行移動ベクトルの加減算は、原点位置に基づいた調整であり、座標系の初期位置をどこに設定するかに影響します。
3. OpenCVの式とその使用方法
OpenCVの公式ドキュメントに記載されている式では、変換が加算の形式で表現されています。これは、画像処理の分野でよく使われる標準的な形式であり、座標変換をより直感的に行えるようになっています。
OpenCVでの変換式
(Xc, Yc, Zc) = R * (Xw, Yw, Zw) + (tx, ty, tz)
この式の利点は、計算が簡単で、座標系間の変換を一貫して行えるところにあります。特に、画像処理や3D再構成などのタスクでは、座標系の移動と回転を組み合わせて計算することが多いため、こちらの形式が適用されることが一般的です。
4. どちらの式を使うべきか
どちらの式を使うべきかは、プロジェクトや目的に応じて異なります。例えば、論文で記載された式は特定の座標系に基づいており、変換の背景に特定の設定がある場合に適しています。一方、OpenCVの式は標準的であり、より汎用的な座標変換に適しています。
まとめ
世界座標系から車両座標系への変換における式の違いは、平行移動ベクトルの使い方にあります。使用する座標系や目的に応じて、どちらの式を採用するかを決めることが重要です。両者の違いを理解した上で、適切な変換方法を選ぶことが、正確な画像処理や3D再構成に繋がります。


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