IPアドレスのネットワークアドレスとホストアドレスの数え方に関して、ネットワーク設定やトラブルシューティングの際にしばしば疑問が生じます。特に、サブネットマスクを使ってIPアドレスを分割する方法については、初めて学ぶ方にとって少し難しく感じるかもしれません。本記事では、IPアドレスとサブネットマスクを使ったネットワークアドレスとホストアドレスの数え方をわかりやすく解説します。
ネットワークアドレスとホストアドレスの概念
IPアドレスは、コンピュータネットワーク内で各デバイスを一意に識別するための番号です。IPアドレスは通常、32ビット(IPv4)で表され、4つのオクテット(8ビット単位)に分けられます。また、IPアドレスはネットワーク部とホスト部に分かれています。
ネットワーク部は、どのネットワークに属するかを示し、ホスト部はそのネットワーク内で特定のデバイス(ホスト)を識別します。サブネットマスクは、どの部分がネットワーク部でどの部分がホスト部であるかを決定するための重要な役割を果たします。
ネットワークアドレスとホストアドレスの計算方法
サブネットマスクを使用すると、IPアドレスのネットワーク部とホスト部を区別することができます。サブネットマスクは、ネットワーク部を「1」で、ホスト部を「0」で表すビット列です。これに基づいて、ネットワークアドレスやホストアドレスを求めることができます。
例えば、IPアドレス「192.168.1.107」とサブネットマスク「255.255.255.240」の場合、ネットワーク部とホスト部はどのように計算するのでしょうか。以下の手順でネットワークアドレスとホストアドレスを求める方法を説明します。
実例:IPアドレスとサブネットマスクを使ったネットワークアドレスの計算
以下のIPアドレスとサブネットマスクを例にとり、ネットワークアドレスを求める方法を解説します。
IPアドレス: 192.168.1.107 11000000.10101000.00000001.01101011
サブネットマスク: 255.255.255.240 11111111.11111111.11111111.11110000
ネットワーク部は、IPアドレスとサブネットマスクの論理積を取ることで求められます。例えば、4番目のオクテット(107)を基に計算すると、次のようになります。
IPアドレス(第4オクテット): 01101011
サブネット(第4オクテット): 11110000
論理積: 01100000(64 + 32 = 96)
この結果から、ネットワークアドレスは「192.168.1.96」となります。
ホストアドレスの計算方法
次に、ホスト部を計算する方法を見ていきましょう。ホスト部は、IPアドレスからネットワーク部を引いた部分です。サブネットマスクのホスト部のビット数をカウントし、そのビットで割り当て可能なホストアドレスを計算します。
前述の例では、サブネットマスクの4番目のオクテットが「11110000」となっており、ホスト部は「00001111」の部分です。この場合、ホスト部のビット数は4ビットであり、ホストアドレスとして割り当て可能な数は14個(16 – 2)となります。ネットワークアドレスを含めた範囲は次の通りです。
ホストアドレス: 192.168.1.97~192.168.1.110(14割り当て可能)
なぜホストアドレスの数え方が変わるのか
ホストアドレスの数え方が変わる理由は、サブネットマスクのホスト部にある「0」のビット数に関係しています。一般的に、IPアドレスの最初と最後のアドレスは、それぞれネットワークアドレスとブロードキャストアドレスとして予約されているため、ホストとして使用することができません。
例えば、上記の例では、ホスト部が4ビットであれば、最大16個のアドレスが割り当て可能ですが、最初の1個はネットワークアドレス、最後の1個はブロードキャストアドレスとして予約されているため、実際に割り当て可能なホストアドレスは14個になります。
まとめ
IPアドレスのネットワークアドレスとホストアドレスを計算する際、サブネットマスクを使ってネットワーク部とホスト部を区別します。ネットワークアドレスは、IPアドレスとサブネットマスクの論理積を取ることで求め、ホストアドレスはホスト部のビット数を基に計算します。ホストアドレスの数が変わるのは、最初と最後のアドレスがそれぞれ予約されているためです。
これらの基本的な計算方法を理解することで、ネットワーク設計やトラブルシューティングの際に役立てることができます。
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