キャッシュのヒットとミスに関するメモリアクセス時間の計算方法を解説します。具体的には、キャッシュヒット時とキャッシュミス時のアクセス時間が異なる場合に、実行時間をどう計算するかについて説明します。
1. 問題の概要と目的
この問題は、キャッシュヒット時とキャッシュミス時のメモリアクセス時間の違いを考慮して、特定の命令列が実行される際の平均メモリアクセス時間を求める問題です。質問者は、キャッシュヒット率が0.9の場合、命令取り出し、データ読み出し、データ書き込みの操作がどのように計算されるのかを理解したいと考えています。
2. 平均メモリアクセス時間の計算式
まず、平均メモリアクセス時間を計算するために、各操作のメモリアクセス時間を考えます。キャッシュヒット時、キャッシュミス時の読み出しや書き込みのアクセス時間が異なります。それらを基にして、次のように平均メモリアクセス時間を計算できます。
平均メモリアクセス時間 = (ヒット率 * キャッシュヒット時の時間) + (ミス率 * キャッシュミス時の時間)具体的な時間は以下のように与えられています。
- キャッシュヒット時の読み出し: 1nsec
- キャッシュミス時の読み出し: 5nsec
- キャッシュヒット時の書き込み: 2nsec
- キャッシュミス時の書き込み: 10nsec
このデータを使用して、命令列Aの実行にかかる平均メモリアクセス時間を求めることができます。
3. 計算例の適用
命令列Aでは、100回の命令取り出し、60回のデータ読み出し、40回のデータ書き込み操作があります。これらの操作に対して、以下のようにメモリアクセス時間を計算できます。
平均メモリアクセス時間 = (100 * 命令フェッチの平均メモリアクセス時間) + (60 * 読み出し操作の平均メモリアクセス時間) + (40 * 書き込み操作の平均メモリアクセス時間)ここで「命令フェッチ」は、通常の命令取り出し操作を指し、一般的には読み出し操作と同じ時間で計算されます。そのため、データ読み出しの時間は命令フェッチの時間と一致します。
4. 実際の計算手順
実際の計算式は次のようになります。
平均メモリアクセス時間 = (100 * 1nsec) + (60 * 1nsec) + (40 * 2nsec) = 100nsec + 60nsec + 80nsec = 240nsecこれにより、平均メモリアクセス時間は240nsecとなります。
5. 結論と注意点
キャッシュヒット率や各操作のメモリアクセス時間を正確に計算することが重要です。また、命令フェッチとデータ読み出しが同じ時間として扱えることを理解することが、正確な計算には不可欠です。質問者が抱えている疑問についても、命令フェッチがデータ読み出しと同じ時間として計算できることが分かれば、計算がスムーズに進むはずです。
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