ドメイン駆動設計(DDD)の基本:エンティティ、ドメインサービス、アプリケーション層の責任と依存関係

アプリ開発

ドメイン駆動設計(DDD)は、ソフトウェア開発においてビジネスドメインを中心に設計を進めるアプローチです。本記事では、DDDの3つの重要な要素であるエンティティ、ドメインサービス、アプリケーション層の役割とその関係について、初心者向けにわかりやすく解説します。

1. エンティティとドメインサービスの違い

DDDにおいて、エンティティとドメインサービスは異なる責任を持っています。エンティティは、ビジネスの核心となるオブジェクトであり、その状態と振る舞い(メソッド)を管理します。エンティティには一貫性を保つためのビジネスロジックが含まれることがありますが、基本的にはその状態を保持することが主な役割です。

一方、ドメインサービスは、複数のエンティティにまたがるビジネスロジックを管理するために存在します。もしビジネスロジックが単一のエンティティに収まらない場合、ドメインサービスを使ってそのロジックを集約します。エンティティが持つべき責務を超えて、システム全体の振る舞いに関わる処理を担当します。

2. アプリケーション層からエンティティのメソッドを呼び出すのは適切か?

アプリケーション層がエンティティのメソッドを直接呼び出すことは、一般的には問題ではありません。ただし、エンティティがデータベースとの接続に強く依存するような設計が行われると、ビジネスロジックがデータアクセスのロジックに絡まってしまう可能性があります。これが気持ち悪く感じる場合、リポジトリパターンやユースケースを利用して、アプリケーション層とドメイン層の責任を明確に分けると良いでしょう。

アプリケーション層はエンティティの振る舞いを利用する役割を担っていますが、その振る舞いがDBアクセスに関わることを避け、ビジネスロジックとデータアクセスを明確に分けることが重要です。

3. ドメイン層はインターフェースを実装すべきか?

ドメイン層がインターフェースを実装するべきかどうかは、システムの設計によります。ドメイン層がアプリケーション層に依存するのは避けるべきですが、アプリケーション層がドメイン層に依存する場合、インターフェースを実装することで、依存関係を緩やかにし、テストのしやすさや保守性を高めることができます。

例えば、ドメイン層がインターフェースを提供し、アプリケーション層がそれを実装することで、ドメイン層のビジネスロジックを変更することなく、異なる実装を持つインフラストラクチャに対応できるようになります。

4. 依存関係と設計の問題点

アプリケーション層がドメイン層に直接依存してしまう場合、それが問題になるのは、ビジネスロジックがシステムの他の部分(例えばデータベース)に依存しすぎるからです。これが進むと、変更に強いシステムを作ることが難しくなります。依存関係を整理するために、設計時にはインターフェースを使用して、アプリケーション層がドメイン層を利用できるようにします。

リポジトリパターンやサービスレイヤーなど、DDDで推奨されるパターンを採用すると、依存関係が整理され、柔軟で保守性の高い設計が可能になります。

5. DDD学習のためのおすすめ書籍

DDDの理解を深めるためには、以下の書籍がおすすめです。

これらの書籍は、DDDの概念を実践的に学ぶのに非常に役立ちます。

6. まとめ

ドメイン駆動設計(DDD)は、ビジネスの複雑さを扱うための強力なアプローチです。エンティティ、ドメインサービス、アプリケーション層など、各要素の責任を理解し、適切に分けることが重要です。また、インターフェースや依存関係の管理により、保守性の高いシステムを構築できます。ぜひ、DDDの設計パターンを実際のプロジェクトに取り入れて、より良いソフトウェアを作成しましょう。

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