中規模WEBシステムのインフラ設計: Application Gateway + WAF vs. L4負荷分散 + Cloudflare

ネットワーク技術

WEBシステムのインフラ設計において、コスト、性能、運用の観点から最適なアーキテクチャを選択することは非常に重要です。本記事では、パターン1: Application Gateway + WAFパターン2: Azure Load Balancer (L4) + Cloudflare WAF + Nginxの2つの構成を比較し、それぞれの特徴を詳しく解説します。

パターン1: Application Gateway + WAF の特徴

1. コスト

Azure Application Gatewayはトラフィック量に比例して費用が増加し、大規模なシステムでは運用コストが高くなります。

  • 固定費用: 約$300/月
  • トラフィック課金: $0.025/GB
  • 月間PV 1800万の場合: 約$750/月
  • 月間PV 数億の場合: 約$2,800/月

2. 性能

Azure Application GatewayはL7レイヤーのロードバランシングを提供し、SSLオフロードやリクエストルーティング機能を備えています。ただし、トラフィックが増加するとスケールアウトが必要となり、レスポンス時間に影響を与える可能性があります。

3. 運用

Azureポータルを通じた管理が可能ですが、スケーリングの設定やWAFのチューニングが必要になるため、運用負荷が高くなります。

パターン2: Azure Load Balancer + Cloudflare WAF + Nginx の特徴

1. コスト

Cloudflareを活用することで、トラフィックコストを大幅に削減できます。

  • Azure Load Balancer (ALB): $25/月
  • Cloudflare WAF: $20〜25/月
  • Azure VM (Nginx): 約$40/月
  • トラフィック課金: $0.005〜$0.01/GB
  • 月間PV 1800万の場合: 約$360/月
  • 月間PV 数億の場合: 約$1,590/月

2. 性能

Cloudflare WAFによるDDoS対策やキャッシュ機能を利用できるため、負荷を軽減できます。L4ロードバランサーとNginxを組み合わせることで、スケーラビリティの高いシステム構成を実現できます。

3. 運用

Cloudflareの管理画面を活用すれば、設定の変更が容易で、WAFのカスタマイズも柔軟に行えます。また、スケールアウト時にCloudflareのキャッシュ機能を活用することで、インフラの負荷を抑えることが可能です。

比較まとめ

項目 パターン1 (Application Gateway + WAF) パターン2 (ALB + Cloudflare + Nginx)
コスト 高い ($750〜$2,800/月) 安い ($360〜$1,590/月)
性能 スケールアウト時の負荷増加が懸念 CloudflareのキャッシュとNginxの最適化で負荷軽減
運用 Azure WAFの管理が必要 Cloudflareの管理が簡単でスケーラブル

将来的なスケールアップを考慮した選択

将来的にユーザ数が増加し、月間UU100万〜数百万規模になる場合、パターン2 (ALB + Cloudflare + Nginx) の方がスケーラビリティに優れ、コスト効率も良い選択となります。

結論

現時点の要件では、パターン2 (ALB + Cloudflare + Nginx)の方がコスト効率、スケーラビリティ、運用負担の観点から適していると言えます。ただし、Azureエコシステムに依存した運用を希望する場合は、パターン1を選択するメリットもあります。

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